前々回のブログに登場したゴトウショウコ、再び!である。
排泄介助のために、ショウコの部屋を訪ねた。
ドアを開けて目に飛び込んできたのは
床に座っている彼女の姿。
パジャマ姿、そして
いつものように赤いショルダーバッグを下げた格好で
足を投げ出し
洋服ダンスに背中をもたれかけて座っている。
どーしたの、ショウコさん!?
するとショウコは悠然とした微笑みを浮かべながら言った。
「どうしたのって、私は座っているだけよ」
座ってるだけって、ショウコさん、転んだんじゃないの?
「何を仰ってるの? 私、座ってるだけよ」
ひどい認知症の彼女は
自分が置かれている状況が理解できていない。
とにかく起きましょう。
とはいえ、デブッチョの彼女を立ち上がらせるのは至難の業。
私はピッチで同僚に助けを求めた。
ショウコさん、今、若い男の子を呼びましたからね。
彼ならアナタを立ち上がらせることができるから。
ほどなくやってきた若い男の子・吉田くん(32歳)。
任せてください!と言わんばかりに
デブッチョのショウコを抱きかかえた吉田くんであったが
その彼に対してショウコは言い放った。
「若くないじゃないの~~~!?」
3秒前のことすら記憶できないのに
ショウコは
私が言った“若い男の子”という部分を
なぜかしっかりとインプットしていたらしい。
「若い男の子と言ったのに。若い男の子と言ったのに」
吉田君に抱きかかえられてベッドに運ばれるまで
彼女はずっと、そう叫び続けていたのであった。
やや老けてはいるが、吉田君はまだ32歳。
ショウコからしたら孫ほどの歳であるのだが
もはや自分の年齢もわからなくなっている彼女からしたら
吉田君は若い男子ではないのかもしれない。
事務所に帰り、上司に報告。
あのぉ、ショウコさんが転んでいたようなんですが
本人は座っていただけ、と言っているんです。
これって、事故報告書を書かなくちゃダメでかねえ。
心の広い上司は笑いながら言った。
「本人が座っているだけって言ったんでしょ?
じゃ、事故じゃないよねえ」
真相はどうあれ
今朝は面倒臭い事故報告書を書かずにすんだ。
転倒したウチの高齢者には今後
「座っているだけ」というフレーズを覚えさせよう。
排泄介助のために、ショウコの部屋を訪ねた。
ドアを開けて目に飛び込んできたのは
床に座っている彼女の姿。
パジャマ姿、そして
いつものように赤いショルダーバッグを下げた格好で
足を投げ出し
洋服ダンスに背中をもたれかけて座っている。
どーしたの、ショウコさん!?
するとショウコは悠然とした微笑みを浮かべながら言った。
「どうしたのって、私は座っているだけよ」
座ってるだけって、ショウコさん、転んだんじゃないの?
「何を仰ってるの? 私、座ってるだけよ」
ひどい認知症の彼女は
自分が置かれている状況が理解できていない。
とにかく起きましょう。
とはいえ、デブッチョの彼女を立ち上がらせるのは至難の業。
私はピッチで同僚に助けを求めた。
ショウコさん、今、若い男の子を呼びましたからね。
彼ならアナタを立ち上がらせることができるから。
ほどなくやってきた若い男の子・吉田くん(32歳)。
任せてください!と言わんばかりに
デブッチョのショウコを抱きかかえた吉田くんであったが
その彼に対してショウコは言い放った。
「若くないじゃないの~~~!?」
3秒前のことすら記憶できないのに
ショウコは
私が言った“若い男の子”という部分を
なぜかしっかりとインプットしていたらしい。
「若い男の子と言ったのに。若い男の子と言ったのに」
吉田君に抱きかかえられてベッドに運ばれるまで
彼女はずっと、そう叫び続けていたのであった。
やや老けてはいるが、吉田君はまだ32歳。
ショウコからしたら孫ほどの歳であるのだが
もはや自分の年齢もわからなくなっている彼女からしたら
吉田君は若い男子ではないのかもしれない。
事務所に帰り、上司に報告。
あのぉ、ショウコさんが転んでいたようなんですが
本人は座っていただけ、と言っているんです。
これって、事故報告書を書かなくちゃダメでかねえ。
心の広い上司は笑いながら言った。
「本人が座っているだけって言ったんでしょ?
じゃ、事故じゃないよねえ」
真相はどうあれ
今朝は面倒臭い事故報告書を書かずにすんだ。
転倒したウチの高齢者には今後
「座っているだけ」というフレーズを覚えさせよう。
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