ブログの更新頻度があきれるくらい低くなっている。
なぜか?
ウチ(高齢者住宅)に
面白いジイサン、バアサンがいないのだ。
1、2年前までなら
さんざん世話を焼かせながらも
どこか憎めないジイサン、バアサンがいた。
笑わせてくれるジイサン、バアサンがいた。
それが、みんな逝ってしまった。
つまらん時代になったもんである。
あ、でも一人だけいた。
12/13付のブログ「ここは駆け込み寺ではありません」にも登場した
ミチコ、89歳。
認知症による短期記憶の抜け落ちが凄まじい
現在のスーパースターだ。
きのうも彼女は事務所を訪ねてきた。
気になることがあると誰かに聞かずにいられないのだろう。
事務所訪問回数は
多い時で1日に何十回にも及ぶ。
ミチコは先月やってきた息子と喧嘩したらしいのだが
それが今になっても気になって仕方ない。
「私は息子にひどいことを言ってしまったようです。
私はいったい何と言ったのでしょう?」
担当のケアマネージャーが優しく対応する。
「あのね、息子さんは怒っていないから大丈夫」。
エントランスのソファに腰掛けて話すこと30分。
「ああ、そういうことだったんですね。
わかりました、ありがとうございます」
ミチコはモヤモヤを払拭して帰って行った。
帰っていく姿を近くで確認した私は
ケアマネージャーがミチコから解放されたことに安堵しつつ
その後ろ姿を追うように
彼女の居室がある1階までエレベーターで降りた。
すると、1階のエレベーターホールにミチコが立っている。
え? 今帰ったっばかりだよね?
「ミチコさん、どちらへ?」
恐る恐る尋ねると、彼女は言った。
「息子と喧嘩したんで、事務所に行って話を聞こうかと…」
たった今事務所に行って、ケアマネージャーと30分もその件で
話をしたのだと、私は根気強く伝えた。
すると彼女は言った。
「そうなんですか? 覚えてませんけど。
わかりました。では、事務所に行って
私がケアマネージャーさんとどんな話をしたのか聞いてきます」
その日、ケアマネージャーは一日中
ミチコの訪問に振り回されたのだった。
病気も介護も笑い話に変えてくれるミチコ。
面倒臭いが、アナタの存在は癒しです。
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