財産はあるらしいが
未婚のまま90代に突入した天涯孤独な女性利用者Mさん。
きのうの夜勤中、珍しく彼女から非常コールが。
「とにかく来てください」と繰り返すので
また転倒したか!?と大急ぎで居室に向かった。
すると、転倒も転落もせずベッドに寝ていた彼女が
つけっ放しになっているテレビを指して言う。
「見て!誰かが私に断りもせずに、この部屋を使って映画撮影しているの」
テレビ画面に映っているのは
タレントたちがワイワイお喋りしているだけの
深夜のバラエティ番組。
何をもって、自分の家が撮影されていると思ったからわからないが
Mさんは半分怯え、半分憤っている。
「私に無断で撮影するなんて許せない。
警察に訴えようかとも思うの」
日ごろ、あ~、う~、しか言わない彼女が
シャキシャキと言葉を発するのに驚く。
これは付き合ったほうがよさそうだな
そう判断し
「それは許せないことですね。
わかりました、私が建物の周りを見に行って
撮影している人がいたら怒ってやります。
だからどうか安心してください」
手を握り、言葉を尽くして
私はMさんに安堵感を与えようと努めた。
と、そんなときになぜか鼻がむずむず。
Mさんに真剣な視線を向けながら
ヘッ、ヘッ、へ~ックション!!!と
私はくしゃみを三連発。
これにMさんが予期せぬ反応を示し、大笑いし始めた。
しかも、止まらない。
いつも無表情で、あ~、う~しか言わないMさん。
彼女がこんなに大笑いしたのを見たのは初めてだ。
「夜遅く起こしちゃったから
アナタ、風邪を引いちゃったのねえ。ごめんなさい」
あ、いえいえ、別に風邪を引いているわけではないんですけれど。
しかしこのくしゃみ効果によって
彼女の恐怖も憤りもおさまったらしく
まもなく、彼女はストンと眠りに落ちたのであった。
安らぎを得ていただこうと言葉を駆使ししたけれど
彼女にそれをもたらしたのは“三連発のくしゃみ”だったらしい。
笑いこそ
恐怖や不安、苛立ちを取り除く特効薬であると
あらためて思い知らされた。
未婚のまま90代に突入した天涯孤独な女性利用者Mさん。
きのうの夜勤中、珍しく彼女から非常コールが。
「とにかく来てください」と繰り返すので
また転倒したか!?と大急ぎで居室に向かった。
すると、転倒も転落もせずベッドに寝ていた彼女が
つけっ放しになっているテレビを指して言う。
「見て!誰かが私に断りもせずに、この部屋を使って映画撮影しているの」
テレビ画面に映っているのは
タレントたちがワイワイお喋りしているだけの
深夜のバラエティ番組。
何をもって、自分の家が撮影されていると思ったからわからないが
Mさんは半分怯え、半分憤っている。
「私に無断で撮影するなんて許せない。
警察に訴えようかとも思うの」
日ごろ、あ~、う~、しか言わない彼女が
シャキシャキと言葉を発するのに驚く。
これは付き合ったほうがよさそうだな
そう判断し
「それは許せないことですね。
わかりました、私が建物の周りを見に行って
撮影している人がいたら怒ってやります。
だからどうか安心してください」
手を握り、言葉を尽くして
私はMさんに安堵感を与えようと努めた。
と、そんなときになぜか鼻がむずむず。
Mさんに真剣な視線を向けながら
ヘッ、ヘッ、へ~ックション!!!と
私はくしゃみを三連発。
これにMさんが予期せぬ反応を示し、大笑いし始めた。
しかも、止まらない。
いつも無表情で、あ~、う~しか言わないMさん。
彼女がこんなに大笑いしたのを見たのは初めてだ。
「夜遅く起こしちゃったから
アナタ、風邪を引いちゃったのねえ。ごめんなさい」
あ、いえいえ、別に風邪を引いているわけではないんですけれど。
しかしこのくしゃみ効果によって
彼女の恐怖も憤りもおさまったらしく
まもなく、彼女はストンと眠りに落ちたのであった。
安らぎを得ていただこうと言葉を駆使ししたけれど
彼女にそれをもたらしたのは“三連発のくしゃみ”だったらしい。
笑いこそ
恐怖や不安、苛立ちを取り除く特効薬であると
あらためて思い知らされた。
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