ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

かわいらしくボケた人

2013-06-19 22:40:21 | 日記
「ペコロスの母に会いに行く」という漫画がある。
“ペコロス”こと、ハゲチャビンの岡野雄一さんが
認知症の母親の
温かくて、かわいらしくて、そしてちょっと切ないエピソードを
ほのぼのとしたタッチで描いた4コマ漫画だ。

以前NHKでもドキュメンタリータッチのドラマとして放送され
(ペコロス役はイッセー尾形さんだった)
一時期、書店でも平積みされるほど売れていた。
その人気ぶりに、映画化も決定したという。

自然と、頬が緩む。なんだかじんわり、心が温まる。
あまりのボケ具合に、思わず声を出して笑ってしまったり
後半は切なくなって、目を潤ませてしまったり…
介護職についている人、私のように勉強中の人はもちろん
介護とは無縁に生きている人にも、お勧めしたい一冊である。

その中に、「忘れていくことは悪いことばかりでもない」という
フレーズがあった。

きのうから実習で老人ホームにお邪魔している私も
そう思わせてくれる高齢者の姿、言葉と度々出会う。

今日ホームで入浴した99歳の女性は
介助担当の男性スタッフを最初は名前で呼んでいたのだが
いつの間にか「朝日新聞の方」と呼称を変え始めた。

「すみませんねえ、朝日新聞の方に
お風呂の世話までしていただいて…」
―違うよ、○○さん、ボクは△△だよ。
「あれ、そうですか?」
そんなやり取りがしばらく続き
最後には
「てっきり朝日新聞の方かと思っていました。
でも、なんでそんなウソをついたんですか?」

もちろん、彼はひと言も自分を朝日新聞の人間だとは
騙っていないのだが…。

そんなご高齢の方を見ていると
忘れるのもまんざら悪いことばかりではないと思えてきて
むしろ穏やかにかわいくボケていけるのなら
それは幸せな歳のとり方だなあと思ってしまうのである。

追伸
これはあくまでも他人事であり
実際に認知症の高齢者を抱えているご家族のご苦労を
軽視するものではありません。悪しからず。