小田原周辺のマイナースポットや些細な出来事を少しずつ
小田原の端々



地元で看板屋を営む知人がいる。その知人は看板制作の合間に、古材を利用した家具や銅板でオブジェを作っている。以前、作業場を訪れたときに、流木を材料に作品を作っていた。知人は台風後に、酒匂川河口に流れ着く流木を拾いに出かけることや、河口に積み重なった流木の姿の素晴らしさを話してくれた。それから数年後、その知人の話を思い出して台風後の酒匂川の河口に出かけた。台風の去った河口には、酒匂川の上流から流れてきた流木やゴミが積み重なり、荒涼とした風景が広がっていた。その風景のなかに心を揺さぶられるような漂着物が数多くあり写真を撮った。以来、台風後には酒匂川の河口に出かけては心に残った風景を写真に残している。先週末の酒匂川河口。水は濁っているが水位は低くなっていた。相模湾の潮流の関係からなのか、流木などは毎回、右岸側に多く漂着する。小田原ビジネス総合高等学校の裏手から河口へ向かう。河口の波打ち際には酒匂川の上流から流れてきたと思われる流木やゴミが多く漂着していた。流木やゴミを避けるように歩きながら被写体を探す。川の流れや波に洗われ裸になった流木。ここに流れ着く前はどんな場所に植わっていたのだろうか。漂着物の中には農作物も混じっている。大きな夏みかんや玉葱もいくつか転がっていた。波打ち際の漂着物の中で目に付くのがゴルフボール。半径3mほどのなかに9個も落ちていた。ゴルフボールは心惹かれない被写体。流木の積み重なった場所に、藤の椅子も流れ着いていた。どんな人が座っていたのだろうか。茶色い流木の風景の中に、子供が使っていたものがあるとドキっとする。赤いビニールボールが寂しく転がっていた。同じ趣味の人がいるようで、誰かが砂浜の片隅にボールを集めて置いていた。持ち主の手から離れて今はこんな場所で身を寄せ合っている。流木が積み重なり自然の厳しさを感じる荒涼とした風景。その中に、かつての持ち主を想像させる漂着物が点在する台風後の酒匂川河口。砂浜に流れ着き、朽ちていく物の姿に侘しさや儚さを感じ写真に残している。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 台風後の酒匂... 銀座通りのア... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。