入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’17年「夏」 (4)

2017年07月11日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 朝、放牧地から中央アルプスを眺めると、幾つものちぎれた雲がそのまま形を変えず、まるで青い空に引っ掛かったような状態で浮かんでいた。千切れ雲の形からしても、次の動きが今にもありそうだったのに、そうならなかった。雲だけなら、画像が停止してしまったような中途半端な印象だったが、全体では雄大な山の眺めにもなっていた。

 さすがにきょうの天気に、暑さの苦手なホルスタインは草の上に休んでばかりいた。囲いのゲートを開け、いつでも第4牧区へ移れるようにしたが、動かない。夕暮れ時になってようやく、牛の動きが活発になってきた。(7月10日記)

 きょうも、あまり牛たちの動きはよくない。気温は25度、じっとしていれば半袖の肌着に加えもう1枚、上に着るものが欲しいくらいだ。それなのに牛の動きが鈍いのは、どうしたことだろう。第4牧区に移動できるようにしておいたのに、牛たちは囲い罠内の上部にある比較的なだらかな草地に集合し、かたまって横になったまま、時折尻尾を動かすくらいだ。
 上(第1牧区)へ行ったら、いつもいる御所平には牛の姿はなく、結局、牧区内を一周した。この牧区の牛たちも怠惰を決め、何をするでもなくただ暇を持て余しているふうだった。
 下に戻ると、囲い罠の牛が水場に何頭か来ていた。そこで種牛も含め5頭ばかりを誘引して第4牧区に移した。早速電気柵の試練を受け、あっちこっちでうめき声がしたが、マッキーは得意気に踊り出し、はしゃいでいた。

 真昼間だというのに、鹿が放牧地に現れるようになった。牛がいるから安心して出てきたのだろう。

 8月につきましては、キャンプの場合も、できるだけ予約をお願い致します。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。

 
 
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    ’17年「夏」 (3)

2017年07月09日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

         Photo by Ume氏

 日の経つのが早い。七夕に一言も触れられずに、その機会を逸した。7月になったらタイトルの「初夏」を「夏」にするつもりでいて、それも忘れたまま、幾日もが過ぎた。それに、今年も、もうすでに半分が終わってしまった。

 囲い罠の中の牛を、第4牧区の広い放牧地に出してやろうとしながら、まだそれを躊躇っている。雄牛を含めてもたった9頭ばかりの牛をちゃんと管理できるか不安で、牧区替えを日延べしてきた。そろそろ草も心配になってきた。
 実は電気牧柵の電圧が、目標値の6千ボルトまで上がらない。機械も古く、距離も長いから仕方ないのだが、心配は鹿による断線で、そうなれば牛はどこへ行ってしまうか分からない。特に、小入笠の頭辺りは鹿の最も活発な領域のため心配だし、保守点検も大変となる。また、徐角してない牛が感電して、首を引っ込める際に角で電気柵を切るということも大いにありうる。ただ、鹿に比べたら、牛はかなり品行方正ではある。
 それでも万一雄牛が脱柵でもしたら、大騒ぎになる。騒ぎだけで済めばよいが、厄介なことがいろいろと考えられる。種牛牧区を電気柵だけで区画することは元々無理な話で、これは設置の安易さに負けたせいだと言える。

 管理棟の前のヤナギランが咲き始めた。ひと頃はみな鹿に食べられてしまっていたのが、鹿を誘引していた原因がなくなり、以来年々増えつつある。レンゲツツジも峠を超えて、今は白いマーガレットの天下になった。

 
 8月につきましては、キャンプの場合も、できるだけ予約をお願い致します。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。
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    ’17年「夏」 (2)

2017年07月08日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 牛にとって、頭の角(つの)がどれほど大事で、役にたっているのかは分からない。闘う、というのか、何事かを主張したり、威嚇したりする場合に、角を突き合わせている場面を目にすることはあるが、その結果流血の惨事に至ったというようなところは見たこともないし、聞いたこともない。「除角」と言って、角を取られてしまった牛も多いから、あってもなくてもよいのかも知れない。
 そこへいくと、尻尾は重要である。充分に役に立っている、どころかないと困るだろう。放牧地ではブヨやアブがひっきりなしに近付いてくるから、それを追い払うのが尻尾の重要な役目である。だから絶えず、尻尾は動いている。時折、尻尾だけでは足りず、後ろ足まで使っているところを見ることもあるが、物言わぬ牛の心中を思うと、その滑稽な姿を笑ってばかりもいられない。
 以前、尻尾が途中で切れた牛が来たことがあった。それでも期間中を何事もなく過ごして山を下りていったが、恐らくは相当のストレスが続いたと思う。障害を持った牛、と言ってもよいくらいだが、きっと畜舎にいたときに少しづつ耐性をつけてから来たのだろう。
 こういうことを書くのは偽善者的だが、家畜は人間のためだけに生かされている。そういう運命だと言ってしまえばそれまでっだが、その一生におよそ幸福などはない。動物愛護の対象でもない。最後には食べられてしまうとしても、大洋を自由に泳ぐクジラの方が、比較にならないほど恵まれていると思う。
 テレビなどで女優がしたり顔に、オックステイルを使ったスープがどうだとか、子牛のロインがああだとか・・・、結局みんな代謝だから、淑女の振る舞いとしては美しいと思わない。

 8月につきましては、キャンプの場合も、できるだけ予約をお願い致します。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。
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    ’17年「夏」 (1)

2017年07月07日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 予報されたほどの天気とはいかなかったが、この時期としては、今日の曇り空の多かった一日も良しとすべきだろう。雨が悪いということではないが、またも撮影の下見があったので、できたら青空が出て欲しいと願っていた。きょうは期待、大!

 ここはこの梅雨の時期、週末以外はほとんど訪れる人がいない。普段の日は、その静けさが当たり前になっているから、急に来訪者があるとまごついたりする。それに、あまり愛想も良くないから、歓迎されてないと思う人も中にはいるかも知れない。
 しかし実際はこのブログに書くように、大きな空の下で牧場の風景を眺め、鳥の声を聞き、季節の野草に歩を止め、緑陰に憩い、平安に浸ってほしいと願っている(あっ、星空を忘れてはいけない)。
 だから、来訪者の人数は、いつも気にし、注意していて、いくらでもドシドシおいでくださいという気持ちと、それに反して静穏がここの魅力だからほどほどに、という気持が内心では相克している。
 
 牧場が不振で、いままで以上に山小屋とキャンプ場に力を入れようとして、手始めにこのブログを始め、冬季の営業もするようになった。その効果など知れているが、今の環境を守りながら、やり方も変えずにということなら(できればそうしたい)、なかなか入牧頭数の減った牛の代わりは難しい。そこで、今度はここの絶品の風景を生かしたCMや、映画などにも目を向けるようになったというわけだ。
 先人が残してくれたこの美しい環境、景観を次の世代、さらにそのまた次の世代へと渡していくためには、牧場を何としても維持していくべきだと思う。ただ、試行錯誤を続けていく時間は、残念ながらもう、あまりない。

 愛知のNさん、良い旅で良かったです。鉢伏山、2度も行った甲斐がありましたネ。

 8月につきましては、キャンプの場合も、できるだけ予約をお願い致します。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。

 

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    ’17年「初夏」 (32)

2017年07月06日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 きょうも一日静かな牧場だった。昼過ぎて、テイ沢の方から来た女性らしきが一人、林道を通り過ぎてゆく姿を目にしただけで、他には登山者の人影は気付かなかった。また小黒の谷で伐採が始まったようで、何度か大型トラックが行き交ったが、それが周辺の静けさや、時折聞こえてくるカッコーの声に障るほどではなかった。
 第3牧区へ行く途中、入笠の登山口の方から小学生高学年くらいの団体だろう、賑やかな声が聞こえてきた。今や入笠山は、幼稚園児までやってくる山になっている。

 草の伸びが早い。いつまでこの勢いが続くのか。今年のような牛の数では、とても食べ尽くせまい。その牛たちもようやく第1牧区の〝探検″が終わったのか、本家・御所平の一画を占める放牧地をお気に入りの場所と決めたようだ。あそこなら川はあるし、暑い日でも雨の日でも、ちょっと行けば天然の古木が良い緑陰となり、また避難所にもなってくれるだろう。

 切り出した落葉松を軽トラに載せようとして支えきれず、よろけてあおりの上に置いた左薬指の上に木を落とした。ゴリッとして、激痛が走り、しばらく痛みが続いた。骨に異常はなかった。その後の皮むきは上手くいったが、むー。

 8月は、キャンプも予約をお願い致します。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。


 
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