スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

ベルムランド地方の曲

2008-07-04 23:22:07 | 2008年夏
ヴェルムランド(Värmland)地方の曲は勢いがあるからか、リズムが面白いせいか、メロディもかっこいいし若い人に特に人気がある。
ダーラナに住む友人Eによると「最近急に人気が出ててきている」と。
今は年齢に関係なく広がっているようだ。

私もヴェルムランドの曲が好きでもっと習いたかった。
けど「ダーラナ地方の曲も、ニッケルハルパの曲も」とやっているとヴェルムランドまで行くのは時間が足りない。
(ちなみにここで言うニッケルハルパの曲=ウップランド地方とは限らない。毎回、"流行"なる曲がある)

そこで今回、数人ニッケルハルパ仲間にメールした。
誰かベルムランドの曲を沢山知ってないか、そういう人を紹介してくれないか、と。
ほぼ全滅。ウップランド地方やニッケルハルパ仲間では、ヴェルムランド地方の曲はまだ珍しいのだ。

ベルムランドど言えば、マッツ・ベリルン(Mats Berglund)が神様的な存在。
直接連絡しようか、夏季休暇中で嫌がるかとかグルグル考えてしまう

ところが今回友人Eがヴェルムランド地方の曲が好きで小さなグループを作って講習会を開いていたことをふと思い出したのだ。

それで昨日も少し触れたが、マッツに会うことが実現し、丁度プライベートでそのグループが開く
講習会にも参加させてもらえたのだ。
公開しないという約束で譜面も沢山もらえた。(グループ内個人作製のため)
こんなに希望通りに行くとは、どこかでバチがあたるんじゃないかと怖くなる。

ベルムランド地方の曲で一番の特徴はリズムだ。
kort 1:a(1拍目が短い3拍子)と、kort 3:a(3拍目が短い3拍子)とがある。

またメロディの雰囲気がノルウェイ国境付近ということもあり、ノルウェイにも似た雰囲気の曲が多い。

雑談
ヴェルムランドの曲をやると良くフィンスコーグ(Finnskog)と呼ばれる地方をよく目にする。
これは、詳しいことをここで書くほどの知識がないので、誰か詳しい人がいたらぜひとも教えて欲しいところ。
とりあえず確認せず聞いたままの話を書くので、以下、さらっと流してください。

昔、ノルウェイとスウェーデンの国境付近の荒地を当時貧しかったフィンランド人に税金を免除して住まわせ(開拓させ)たエリアらしい。
一般的にはFinnskogはノルウェイだといわれている。けど、ヴェルムランドの曲を弾く人は今のスウェーデンにもある、と言う。
(ノルウェイの大部分が昔スウェーデンだったので、「今の」という意味)
そして一つのエリアではなく、あちこちに点在するとも聞いた。
ビングシューにも一部あると聞いた気がするが、記憶が曖昧ではっきりしない。
ウィキペディアをみると、スウェーデンのダーラナ地方やヴェルムランドにも入植したと書いてある。


この日は、さすがにバイオリンにはバイオリンで習いたいと楽器を借り、4曲習った。
まず1曲目は、ブライダル・マーチとその変化形。
歩いて入ってきた二人がそのまま踊りだす曲なんだって。
変化形というのはマーチと同じメロディで3拍子になって、まずは均一の拍で。
続けてバリエーションで、kort 1:aとkort 3:aのリズムに変えて演奏。
同じメロディで次々リズムが変わって難しい。
これは、この曲はこう弾かねば!というルールはない。好きなリズムで弾いてよし!という例で習った。

さらにハッリング(Halling)などカッコイイ曲を教えてくれた。
この講習会はプライベートなもので、ここのグループのレベルに合わせている。
なのでフォークでよくある「区切って教える」ということをしない。
まるまる最後まで弾く。それもフォークでは、あんまりやらない一人ずつとか二人ずつとかで弾かせる。
4曲目にもなると頭もパンパンになって入らなくなってしまった。疲れた!

友人Eはマッツから良く習っていて、私にFinnskog polsの特徴について貴重なアドバイスをくれた。
「弓でアクセントをつけないこと。一弓ごとをガシガシっと均一にフラットな感じで激しく弾くこと」
出だしでプッシュしたり、プレッシャーを変えることがないように、だそうです。了解!

その後、ボーダ(Boda)のステンマへ。
19時頃行くと人の入りが7割くらいの感じがした。
これが21時頃になると、すごっく人が多い!午後や夜で終了と宣言しているステンマをのぞけば
このように夜遅くからが本番なので注意。もし行く人がいれば参考までに。

さて、この友人のベルムランド・グループ、今日はダンスの伴奏予定もあり。
「一緒に弾く?」
「あんまり曲知らないからいい」という私に
「関係ないから。こうやっておぼえるんでしょ」と別の人にも言われた。

早速、演奏が始まると・・・踊る人が次々ぶつかってくる!危ない!
借り物のバイオリンだから知った曲かどうかよりも気になって弾けない。
危ないので踊る人の中央へ移動し輪になり再び演奏。
「ダンサーがぶつかるからもっと中央によって!」何度も言われたけど
そんなに中央にぎゅっと集まったら、弾いている隣の人とぶつかると思いなかなか密着できない。
「ここにこうやって構えたら当たらないから。これも慣れ!」と教えてくれる。
まるでパズルを組み合わせたような、びっしりとバイオリンが重なった円になる。

激しいベルムランドの曲にダンサー達も興奮気味だ。
終わると「En gång till!(もう一曲!)」の声が飛び交う。
コンサートではなく後のスケジュールも決まったダンスの伴奏なので、アンコールは無理なのです。
その後もそのメンバーでセッションしていると、後から聞いたら「他の人が結構見てたよ」だって。
人気が出てきた上、他の地方だと曲を習う機会も少ないので、注目を浴びるようです。

今日も午前2時をまわり帰り際に、途中ボーダ(Boda)のダンスを見ようかと小屋に立ち寄った。
ダーラナ地方のレトビック、ボーダ、ウッシャの村のダンスは皆が憧れる、そしてちょっと難しい踊りだ。
「ボーダの曲は、3拍子の2拍目が長いけど、自分がこのくらい?と思うよりももっと長い」
「"エン(1)・トゥヴォーーー(2)・トゥレ(3)"じゃなくて"エン(1)・トゥヴォーーー(2)・オ(&)・トゥレ(3)"くらいが丁度いい」
と教えてくれた。
それがダンスでも分かるというので目を凝らした。(私はボーダは踊ったことありません)
そして「あの民族衣装来た男の人見て。すっごく上手くて有名な人」
見ると、すごい!
姿勢もバランスも美しくて木彫りの人形がくるくる回っているみたい。

そしてここでも心にとめておくべきことを教えてくれた。
「踊りは、上手ければいいという訳ではない。どれだけ心をこめているか、どれだけパートナーとコミュニケーションを取っているか
そしてどれだけ楽しんでいるか。上手いかどうかはその次に来るもの」

しばし皆でため息をつき見とれてから会場を後にしました。
(窓ごしに4人で見てたので変な人っぽい?)
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