スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

簡素な美

2008-07-18 11:38:22 | 2008年夏
今日は、ダービッド、カイサ、マグヌスと目まぐるしく先生を変えてのレッスン。

ダービッドは、ヴェステルボッテン地方のAlfred Nilsonの曲を教えてくれた。
このアルフレド・ニルソンの曲は(その人が弾いていた曲で、作ったかどうかは記録がないので分からない。
フォーク・ミュージックの世界ではこれは普通)いつも、ジャズ調?ロック調?何と言っていいかわからないがかっこいい。
この日もかっこいいアルフレッド・ニルソンの曲を習った。3連符でノリがいいので弓使いが結構難しい。

写真左下は、全グループ集合しての写真撮影。

カイサは、ヴィクスタ・ラッセの曲。Lilla D-durと呼んでいたかわいらしい曲。
後からルームメートのKが笑いながら話してくれた。
Kのグループでは、カイサはメロディに歌詞をつけてこの曲を教えてくれたのだそう。
皆が疲れてる様子をみて、その場で適当につけた歌詞で「♪Are you tired? -Yes, a little bit」(♪疲れてる?-ええ、ちょっとね)
それがメロディとぴったりで、疲れてたけどおかげですぐに曲を覚えてしまったって。

カイサのレッスン中、うちのグループで「記念撮影しよう!」大会がはじまった。
そしてカイサが私のこのブログのことを皆に話すと「この写真のせて」と言う。なのでお言葉に甘えて(写真左上)。
ちなみに、うちのグループには、楽器職人のソーレンと、先日CDが気に入ったとブログに書いたウッレ・イ"ェルモもいる。

マグヌスのレッスンでは、ウロフの師匠でもある故Curt&Ivar Tallrothの曲を習った。何かのCDで聞いたことがある曲だった。
マグヌスはウロフに習ったと言っていた。
このTallroth一家の曲は、ウップランド地方っぽいともいえるが、ニッケルハルパの典型的な曲ではない。
派手だったり繊細だったりするバイオリン曲が多い。

さて、午後はサマーコース最後の夜ということでFestkväll、パーティーです。(写真右上
食べ、Dryck visaを歌い乾杯。
自分で作ったワインを持ってきている人も。
名乗りをあげた人達が1,2曲ずつ演奏。
グループごとに発表会のように演奏も。
ウッレ・イ"ェルモもサックピーパ(スウェーデンのバグパイプで柔らかい音色)を何曲か弾いてくれた。
素晴しい演奏にアンコールの拍手。

そうこうするうちにエスビョンがやってきた。
エスビョンは、留学前、留学中とお世話になった楽器職人で、作り手の中でナンバーワンで、このESI(学校)や基金設立など
奮起した重要な人でもある。

今回、エケビホルムのコースを先月にとった時以来連絡が途絶えていた。
おかしいなと思いつつ、多忙な人だからと様子を見ていたところ、他の人から身内が危篤状態だと聞き、連絡しないように控えていた。
だから今日来るとは思わなかった。
かけより「どう?」と聞くと、昨日、とうとう亡くなったとのこと。
私も何度も会ったことがある。とてもおっきくてあったかい、素晴しい人だった。
アンナが「イイやつほど先に行く」と言っていた。
私のほうがショックを受けてしまい、逆にエスビョンになぐさめられてしまった。

「バタバタしてたけど一段落ついたし、最後に顔をみようと思って。」と私が帰る前にきたと言う。
それはありがたい、積もる話も・・・と思ったけど、ダメでした。
ちょっと私が席をたった間に、エスビョンは次々と人に囲まれ、後で落ち着いてからまた話かけよう、と思ったけど、
常に誰かにつかまっていた。最後までずっと話こんでいた相手は、10年ぶりの予期せぬ再会だそうで
エスビョンをつかまえるのはあきらめました

パーティーは食後も続き、テーブルを片付けた後は踊る人など。
私も突然アメリカ人に「踊る?」と言われて踊り、結構ぶんぶんと振り回され、すぐに疲れてしまった。

しばらくして、ダイニングでディッテとカイサが弾き始めた。今回のコース中、ディッテはセッションに加わらなかったから珍しい。
二人は長年一緒に弾いてきているからか、息も合い、本当に美しい。
しっとり美しくダーラナ地方の曲など弾きます。

私も、さぁ昨日のノリで一緒に!と近づいたけど、やっぱり一人で入る勇気がなくてちょっと離れたところから。
ハイ、意気地なしです。
するとマグヌスとダービッドもやってきて加わった。
さきほどまでの美しかった音色が一変。派手でモダンな音色のセッションに。
しかも周りはコンサートかのようにセッションを取り囲み、1曲終わると拍手までする。
弾いているほうも拍手がやむの待ち、次の曲を選曲。そうなると曲に聞かせどころも必要になってくる。
面白くなくなった私は、今日は早々に別室に移動した。
セッションは、会話するかのように楽しむ参加型のもの。
取り囲まれ1曲ごと拍手されたら、その音楽は自分達ではなく観客のためのものになる。
それが良いとか悪いとかそういった話ではない。ただ、コンサートとセッションは全く別ものだ。
そして私はコンサートがしたかった訳ではないのです・・・。

そして若手の派手な伴奏・・・「音楽」「技術」として学ぶところは多いものの、毎晩聞くと少々胃もたれ気味に。

その点、ディッテとカイサが二人で弾いていたように、フォークはシンプルさの中に美があり、
これは何度聞いても飽きのこない「真実」のような気がした。

無駄を省いたシンプルでナチュラルな姿。ミニマリズム。

書いていてふと思った。
北欧デザインについて言われるキャッチフレーズと一緒。

もう帰ると席をたったエスビョンをやっとつかまえドアまで見送る際に、そのことを軽く話した。
「シンプルさの中にある美に気付くには年月がかかる」そうエスビョンが言う。
果たして私に分かっているのか。「気付いている」ことと、「できる」こととは違う。
追求し続ければいつか分かる日が来る・・・と信じて。

その後は、ひげのフィンランドのおじちゃんとずっと話した。
「Fråga, fråga(質問、質問!) 一杯ききたいことがある」と言われ、色々と聞かれた。
おじちゃんは英語が全く分からないというので、私の怪しげなスウェーデン語の知識とジェスチャーと全ての能力を総動員、フル出力で。
このおじちゃんの住むスウェーデン語圏のフィンランドでは、同じスウェーデン語でも単語が古いスウェーデン語なんだって。
時々簡単な言葉(家とか)でも分からなくなる。
習慣とかもちょっと古いかも、と言っていた。ダンスも、スウェーデンでは自分の決めたパートナー以外と
踊る人がいるけど、自分の住む地域ではめったにないことだ、と。
おじちゃんは自分の奥さん以外とは絶対に踊らないって言っていた。
そして「うちの嫁は美人で」とのろけていた。

今日はしゃべってしゃべって、おしまい。
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