スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

Toboのサマーコース開始

2008-07-15 19:09:06 | 2008年夏
Toboのサマーコースは前も取ったことがあるので、どうしようかなぁと迷っていた。
日本からまだ計画中の時にソニア(先生、兼職員)に電話をして「エケビホルムのサマーコースも取るけど、どう思う?
Toboのコースもとったら、やり過ぎって思う?」と聞いた。
するとソニアは「エケビホルムはエケビホルム。トボはトボ。二つは全く違うカリキュラムだから、やり過ぎとか何とかは関係ない。
時間とお金に余裕があるならどっちも取ってみたら?」と。
時間にもお金にも余裕はなかったけど、「機会」という意味で将来どうなるか分からないのでどちらも取ることにしたのだ。

今回のコースは、他に日本から二人(うち一人はスウェーデン在住)参加している。
他に、アメリカ人二人、フランス人。ドイツやスイスの人もいる。
このコースは参加者が多いので相部屋になる。
私のルームメートはカナダ人のK、素晴しい声を持つプロのシンガー(ジャンルはアーリーミュージック。初期バロック?)。
部屋担当のアンナに以前「誰と一緒がいい?アメリカ人?スウェーデン人?何でも言ってごらん」と聞かれていた。
もちろん、返事はせず「アンナが良いと思う人」とだけ言っておいた。
アンナは組み合わせを本当に考えてくれたんだと思う。
まるで日本人のように控えめで、私の数倍気のきくチャーミングな人だ。
アンナが後から言っていた。メールが控えめなすっごく感じの良い人だったと。
Kは日本人の音楽仲間がいるそうで、最初の夜には「うさぎ、ぴょこぴょこ♪」と私の聞いたことのない日本の歌を歌ってくれた。
他にも「おしっこいきたい」とか「お金がはいる」とか、非常に現実味あふれる日本語を知っていた。
さてKが部屋にいると聞いてきた。
「朝ごはん出るのかな?授業は何時からか知ってる?」
「さあね。朝、な~んとなく行ってみたら分かるんじゃない?」
Toboだとスタッフも先生も建物も良く知ってるから、いつもにもまして超テキトー人間になってしまう。
第一、スタッフのアンナは「アンタは、もうええわ」と言ってコース概要や案内も何もくれなかったのだ。

さて、なーんとなく朝行ってみると、簡単な軽食(サンドイッチとコーヒー)が用意されていた。
そしてディッテから概要説明があり、クラス分けがドアにはりだされる。
全部で4グループ+クラリネット1グループ
一応、レベル別のようだけど、さほど大きな差はない印象。
(これは毎回の参加者によるので今回がそうだから次は・・・とは分からない)

私はグループ4で早速Davidのレッスンだ。
ダービッド・エリクソンは、ESI卒業生で今王立音楽院(KMH)に通っている。
いくつか音楽活動もしていて、若手実力派。
顔は時々出かけた先でみていたけど話したりレッスンを受けるのははじめて。
いかにも学生!という雰囲気のフレッシュな先生だ。
正直いって、先生という言葉もピンとこない。
実は他の人と「15歳くらいにみえるよね?」とヒソヒソ話をしていた。
fika(コーヒーブレイク)に本人がやってきて、早速自分から「何歳だと思う?」という話に。
15歳に見えると言っていた私のルームメートKは、ごくっと唾を飲み込み「・・・27歳?」とにっこり
「Yes!大当たり!」と嬉しそうなダービッド。よかったね、K。セーフ!
そしてダービッドが続けた。「こないだバーで弾いててさ、周りの人に『君、15歳?』って言われたんだ!
はぁ!?って感じ!!15歳!?そんなこと言われたらショック死するよ」と
頭をテーブルにうちつけ、大げさに語る。
いやはや。皆さん、彼に15歳?ってきいちゃダメよ。

さて、ダービッドにはこの日3曲習いました。どれも知った曲で、新曲が習いたかった私はちょっぴり不満。
曲数というかスピードもちょっと遅く感じる。
まあ、仕方ない。沢山曲を覚えるにつれ、こういう障害が出てくることを分かって参加したし、第一初日だ。
(ちなみに彼もエスビョンの楽器を持っています。弓はお決まりの、フランス製)

写真は、今日のランチ。ミートローフのブラウンソースかけ。いんげん豆とポテト、サラダ。久々のスティーナの料理は相変わらずウマイ。
そういえば、この皮がついたまま丸ごとポテトゆでるの、日本でもやった。
丸ごとというのは結構時間がかかる。急いでいた私は途中であきらめて電子レンジに突っ込んだ。
ある日、その話を日本でした。みんなはどうやって丸ごとゆでてるんだろ?コツがあるのかな、と思って。
すると話を聞いていた人達「は?」と言ったきり、目が点
「この子、芋を皮ついたまま丸ごとゆでるらしい」と伝説か何かのように周囲に言いふらされている。いまだに。
何が変なのか全く分からない。
後日、ノルウェイに音楽留学していたkさんに話すと「ねー」と分かってくれた。
なんか変?

今日は、Puma(Peter Hedlund)が遊びに来ている。
楽器職人のソーレン・オーケル(Sören Åhker)もサマーコースを取りに来ていて、二人は仲良しなのだ。
夕食後、皆はToboツアーに出かけ、Pumaや残った人達は外でビール片手にセッションを始めた。
(外は0時頃までかなり明るい。0時以降も薄暗いけど真っ暗にはならない)
そうそう!そうこなくっちゃね、と楽器をつかんで参加。
でもねー、毎回思うのだけど、Pumaとソーレンのレパートリーはいつも決まっていて、そしてそれが毎回
私はついていけないのだ(つまり毎回、あー二人が良く弾く曲ね、と聞き覚えがあるのに、知らない曲ばかり)。
とはいえ、皆で弾くのはやはり楽しい。Pumaの素晴しい音色にもうっとり。
Pumaがチャンピョン取ったときの超難関ワルツを弾きはじめ、一人、また一人とついていけず脱落していくうちに
Toboツアーにでかけた皆が戻ってきてPumaを取り囲みはじめた。
最後は、一人Pumaの超絶テクで周囲をうならせ拍手で幕を閉じた。

さて、夜は夜でfika(コーヒーブレイク)があります。ちゃんと重いサンドイッチもアリ。

一息ついて、さぁ今度こそ、セッション!? と期待していた私はがっかり。
グループで集まって今日のレッスンの曲のおさらいをしている。
えー!?
じゃあ、うちのグループは?と探すとイヤホンつけて一人で練習してたり、Pumaと酒飲んだり。
大きなサロンで何人かでアルスペル(Allspel låtar:良く知られた一般的な曲)を弾いている。
アルスペルを弾くのは何も悪くない。でも、たまーにウンザリと思ってしまうことがある。
例えば今日とか。弾くぞー!っていう初日のテンションが、ちょっぴり下降↓してしまう。
注:アルスペルといっても、1.簡単シンプルという場合と、2.かっこいい&人気曲というのがある。2が弾きたかったのだ。
難しい曲という意味ではない。そういう曲を弾き続けるとそれはそれで周囲に嫌な顔をされる。

ふーん、一人で弾いたってちっとも面白くないし仕方ないと思い、一緒に弾くことにした。
でもどこかで別のセッションが始まったらすぐに移動できるよう、ちょっと離れた暖炉に腰掛けて。
(椅子に座ってちゃんと弾き始めると『ほな、サイナラ』と言いにくくなる)

そこには同じグループのフィンランド人Oがいたので、隣にこしかけた。
このOは、スウェーデン語圏のフィンランドに住んでいる。
真っ白なひげが胸までとどき、サンタクロースみたい!
さっそく、先週ウプサラの学校で覚えた、あやしげなスウェーデン語を試してみた。
すると「おー、君、スウェーデン語はなすんだね。よかったー!英語は全く分からないから君とは話ができないかと思ってたよ」
ほっほっほー。でも、私のスウェーデン語は先が続かないのです。
かまわず、おじちゃんは話続ける。
普段はクラシックバイオリンを弾いているらしい。
何か弾けというので"Femtonen"を弾いてみた。
すると、おっちゃん、めちゃくちゃ上手いkomp(伴奏)をつける。
弾いてて気持ちよくハイテンションになるkompの付け方だ。
この曲知ってるの?すごい、上手いね!というと、「知らない曲だけど、自分の特技はこれなんだ。
ニッケルハルパはまだ上手くないから、メロディ弾くのは大変だけど」と。
0時をまわって、アルスペル弾いていた一団が帰ってしまったので、二人で数曲弾いた。
どれを弾いても、曲の特徴をつかんでメロディを活かす伴奏をつける。
どうやってんの?と聞いても、おっちゃんは「これが特技だから」としか言わない。
そんな話をしていると、サロンの向こうの小部屋から演奏する音が聞こえてきた。
「あっちで、セッションやってるよ。」と二人で移動すると、酔っ払ったPumaとソーレンとその他数人、皆さん出来上がってます。
ちょっとだけここで弾いたけど、完全に皆酔っててバラバラな感じだったので、早々に引き上げた。

戻る途中、先に引き上げたフィンランド人のおっちゃんが外で立ち止まって上を見上げていた。
上の窓からはコントラバスの頭が見え、窓からタンゴが聞こえていた。
「きっと先生達だね。今夜は姿を全く見ないと思ったら、あそこにこもってたんだ」
フィンランド人のおじちゃんはタンゴが好きなのだそう。「フィンランドではタンゴが人気なんだ」
そういえばそんな話を聞いたことがある。見上げるおじちゃんを残して先に部屋へ戻った。

明日に期待。おやすみなさい。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Toboへ移動 | トップ | ヴェステルボッテンのノリ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

2008年夏」カテゴリの最新記事