スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

ビングシュー・ステンマ前日

2008-07-01 23:24:18 | 2008年夏
今日はビングシューステンマ(Bingsjöstämman ステンマと呼ばれる伝統音楽を弾く集まりの中でこれが最大と言われている)前日。

ビングシュー・ステンマは、80年代に亡くなった伝説的フィドラー、ペッコス・グスタフ(Päkkos Gustav)が自分の土地で始めた。
(今は家族が住んでいる)
写真左上がその敷地の一部。まだ人が集まっていない前日の朝に撮影。
当日はここが人で一杯になるそうです。
周辺からは馬のいななき、牛の雄たけびが聞こえて、ジャングルの様。

このステンマ、当日は演奏もダンスもしない観光客がいっぱいやってくるんだって。
「草原でギターとバイオリンとでフォークを演奏している」そんな私たちの姿を見物に集まって来るんだって。うへぇ。
なので、この前日というのが、実は本当に弾きたい(踊りたい)人だけが集まる、言ってみれば純粋なステンマの雰囲気になるのだとか。
「当日はね、観光客ばっかりだから"義務"とか喜ばせるためとかで仕方なく弾くの」と教えてくれた。

さて、朝食準備。
テーブルと椅子をセッティング。友人Eのおばあちゃんが使っていたピクニックセットなんだって。
コップや入れ物もとてもかわいらしい。
エタノールで火をつけお湯を沸かします。

朝食は全て友人Eが用意してくれました。感謝!
White teaという紅茶を初めてのんだ。香りもよくおいしい!
私のお気に入り、Nyppon soppa(ローズヒップの甘くドロっとした飲み物)も用意してくれている。おいしい!
そして・・・再び未知の食べ物に出会いました。写真右上がそれ。
Messmörって言うそう。チーズの残りかすなんだって。残りカスというだけあって、栄養価が高いらしい。
これが!黒いライ麦パンに塗って食べてみると激ウマ!
濃厚、クリーミーかつ甘みがあります。こんなオイシイもの、日本はいってきてないんじゃない!?

朝食後、隣にテントをはったFalu Spelmanslagの人と一緒に演奏。
この人は以前、Hovraのコースを取りにスウェーデン来た時に寒いからと手袋を貸してくれたこともあり
何度か会ったことがある、とても演奏が上手い人だ。(5月下旬のHovraは雪でした)

昨日からニッケルハルパでダーラナ地方の曲を弾く違和感を感じていたので、Eに借りたバイオリンを弾いた。
どうも久しぶりに触ると弓が長くてしっくりこない。
代わりにニッケルハルパの弓でバイオリンを弾くとしっくりくる。変な感じ。

その後は、どんな人が来てるかウロウロしに行った。
まずは、ニッケルハルパやアコーディオンの人が多いという教会側のテント・エリアへ。
早速、プーマ(Peter Hedlund)発見!
「久しぶり!」
すでにビールをあおって出来上がっている様子。
バイオリン片手の私にプーマがニッケルハルパを貸してくれ、ビールも勧められた。(写真左下)
私が今年もZornを受けるというと「このビールを飲んだらメダル取れるから」とプーマ。
あら、そう。じゃあ一口いただきます。
その後は、一緒にいたアコーディオンとチェロの二人と少し話をした。
Närke地方から来てるんだって。
私が「Närkeの曲ってほとんど知らない」と言うと、「それじゃあ」とかっこいい曲をいくつか弾いてくれた。
「今弾いた曲は、スウェーデンでも弾いている人はほとんどいないと思うよ」
ありがとー!ばっちり録音しました。

その後は側の小さなスーパーで買い物し、散歩しながらトイレもチェックし、昼食にテントに戻った。

前もこのブログで書いたけど、トイレは毎回重要です。
フォークのイベントは、大抵ものすごい田舎であるから。
ビングシューは「マシよ。大丈夫」と聞いていた。
今回のトイレは一つは電気もない木の小屋。ここに木で椅子くらいの高さの台が作ってある。
そこに丸い穴が開いているだけ。穴の中は丸見え。日本のように地面を掘ったりしていない。
そしてイベント用に設置された簡易トイレもたくさんある。
こちらも椅子くらいの高さの台で、穴には座る部分にだけ便座らしき枠をはめている。
でも、それだけで、その枠の中は便器は無く、ぜーんぶ丸見え。
何も知らずに日本から来て、このトイレを見れば結構卒倒ものかもね。

さて昼食は、トマト・スープ。近くの地下水を使います。
プチ・トマト、豆、そしてなんとEさんは日本の柚子ごしょうを持っていて一袋いれました。
いやぁ、これが。美味です。ウマイ、ウマイ。雨上がりで肌寒い中、体もあたたまる。
隣近所のテントの人もそれぞれポテトをゆでたり、一緒に食べました。
(ここは食べるところは無く、サンドイッチやkorv(ホットドック)くらいしかない。夜は簡単にここでつまむ)

食後は何人かでテント前で演奏。知らない人もやってきて一緒に弾きます。
私に会いたいという人が来た。
私が数年前ニッケルハルパを初めてみた後、友人Eがニッケルハルパを弾く別の友人を紹介してくれた。
その時、おそるおそる触らせてもらった時の人だ。こうして再会するのは不思議な感じ。
私が今ニッケルハルパを弾いていて留学までしたと聞いて、びっくりしたみたい。
私だって、こんな方向に人生が進んだことにびっくりです。
あの時はきづかなかったけど、この人はとても特殊なニッケルハルパを持っていた。70年代の職人さんの作品、
何と言う名前だったかな。ヨハンソン?
キー配列が上下で逆。そして4列ある、パッと見、モンスターのように見える楽器だ。

近くに、Julottanという有名な曲を作ったMats Wallman一家がきていて、一緒に。
めちゃめちゃ上手いので一緒に弾くと気持ちいい。

その後はテントへ戻り、ワインとおつまみでしばし歓談。
ほどよく酔って気持ちい。
私はすぐに顔が赤くなるから本当はスウェーデン人と飲むのが好きじゃない。
顔が赤くなるということが何?なぜ?と分からないみたいで、不思議そうにされるから恥かしいのだ。
でも今日は大丈夫。日差しを一日浴びて皆顔中まっかっか。
今何時なのかも知らない。
時間の流れがゆっくりとすぎていきます。

さて、再び動きまわる度に知った人や久しぶりの人に会う。
「どんな地方のステンマに行っても、行く人は皆一緒。同じ人が色んな田舎を移動しているだけだから
いっそのこと毎回同じ場所でやればいいのに!」なんて笑い話をよく言う。
「向こうでソニアを見たよ」と言うので行くと、ペール・ウルフ&Kさんにもバッタリあった。
その側ではソニア一家、ラーシュや双子やエケビホルムで一緒だった顔ぶれだ。
ペール・ウルフに「早く行って弾きなさい」と言われ、出遅れたか!?と楽器をつかんでかけよった。
ソニア達はキャンピングカーとその側に簡易テントをはっていたのだけど、この場所、すごい蚊が多い!
昨日のSvabenも蚊の大群に襲われて建物に避難した。

スウェーデンの蚊は2種類ある。一つは日本のように刺されると痒くなってぷくっとふくれるタイプ。
もう一つが、刺すと針で刺したようなチクっとした痛みがあるやつ(痒みや腫れはない)。
このチクッと痛い方の蚊がものすごい襲ってくるのだ。
一緒に来た友人Eは準備もしっかり、頭も刺されるからと帽子まで。

ソニア達と弾いていると、あっちもこっちも「イタイ。イタイ」と手や弓をぶんぶんふりまわす。
ところが・・・ラーシュは、ステンマの超ベテラン。
ポケットからさっとネットを出すとすっぽり頭から。(写真右下)いやー、ステンマ魂に脱帽。

昨日、テントをはる場所は大体毎年一緒と書いたけど、超有名人テント・エリアというものが実はある。
友人Eは先にそちらへ行ったので、後から私も行ってみた。
そのエリアはすごいです。
ペール・ギュドムンソン、アッレ・メレル、エリカ・フリーセル、カッレ・アルモフ、シェル・エリック・・・
ぱっと見ただけでものすごい豪華メンバーでセッション中。
しっとりしたポルスカを弾いていて、うっとり。

セッションやステンマを見ていると何となく見えてくる暗黙のルールがある。
例えばこれだ。ステンマは皆で楽しく弾くイベントとは言え、こういう超大物セッションに一般人は入らない。
周りで立って聞くだけ。人から聞いた訳じゃないけど、なんとなく感じるルール。
ここに入っていく一般人は、よほどの自信と腕前を持っているか、もしくはKY(空気読めない)。
そのせいか(弾けないから)、有名人エリアなのに見物に来る人はあまりいない。

大体この世のものと思えないくらい美しく弾いていたら、弾こうとするより思わず立ち止まって息を殺してしまう。

もちろん「弾こうよ!ほらほら!」というノリと目線があれば別。
そうなると一人、また一人とセッションに入っていく。
この時はアッレが(ビングシュー・ステンマは数年ぶりに来たらしくラッキー)そのノリを第二ラウンド風に始めたので、
周囲の人は皆楽しく演奏しはじめた。
エリカ・フリーセルも一緒に弾いていた。私はあまり彼女のことは知らなかったのだけど
とても上品な雰囲気の女性で、ウッシャ(Orsa)の曲を主に弾くらしい。
活き活きとした目をしている。

さて。今宵もすでに3時を過ぎています。
空はすでに明るくなってきた。
もう、なんかスウェーデンにいる間中こんな生活かもしれない。
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