のらのら

『No Running No Life』を合言葉に集まったいつも走っている人やたまにしか走らない人たちの集団。

リカバリーの科学(がんちゃん)

2020年02月20日 | がんちゃんの勝手な考察
丹波篠山ABCマラソンの中止が今日(2020/02/20)の午後に決定しました。
3回連続のサブ3を狙っており延岡の後もそれなりに走っていたのでとても残念です
大会関係者の方も第40回でさらに丹波篠山市誕生の記念大会だっただけに無念だと思います。
でも仕方ないと思います
出場予定だったランナーも気持ちを切り替えて、次の目標に向けてさらに自分を鍛えましょう


さて延岡西日本マラソンから10日が経過しました。
奈良マラソンの後、防府読売マラソンの後と同様に、日曜のレース後は2日間のランオフ、水木は軽く6-8kmのトレッドミル走、金曜オフ、土曜10kmジョグ、日曜15kmジョグとしました。
このぐらいが精神的にも身体的にも良いようで、故障もせずそれほど焦ることもなく回復できます。

ということで今回は回復に関するお話。
トレーニング計画、サイクル等についてはいくつかバイブルがあります。
計画を立てて故障しないように、それでいて負荷を与えていくことが重要なのは言うまでもありません。
しかしかなりのダメージを受けるレース後はもとより、日々のトレーニングでもいかに早くリカバリーするかという事も故障を防いで思うようにトレーニングを継続するために重要かと思います。
様々な「こうしたら良い」情報があふれていますが、正直言って「軟骨が増えるサプリ」みたいなものでエビデンスに欠けており科学的とは言い難いです

ということで約5年前に一度読んだ本
「リカバリーの科学」
がエビデンスをもとに書かれているので、覚え書き代わりに要約を箇条書きで記載しておきます。

「エンデュランス系種目からのリカバリー」だけでは無く、例えば「バスケのゲームを同日に2本する場合のインターバル」なども混じっておりやや煩雑な内容になっています。
また要約自体にも問題もあるかもしれませんので興味があれば成書を読んでください



① 運動トレーニングの生理学
・トレーニングは身体へのストレス刺激。
・トレーニング刺激を一定に保つとすぐに定常状態(プラトー)に達する。これは過負荷を与えることで克服できる。
・トレーニングとリカバリーのバランスが悪くなると疲労症状が現れオーバーリーチングといわれるパフォーマンスの低下が生じる。
・慢性的になるとより回復に時間がかかるオーバートレーニング症候群につながるのでリカバリーの重要性は高い。
・診断の多くは時間が経過してから後ろ向きに行うしかないのでこれを評価するツールは明らかではない。
・セッションの後に十分な休養を取れば超回復が起こりうる。

② オーバートレーニングの予防
・トレーニング不足かオーバートレーニングを避ける適切なトレーニングのためにはピリオダイゼーション(気分けされたトレーニングプログラム)の概念が必要。
・マクロ、メソ、ミクロサイクルに分割して計画する。
・伝統なピリオダイゼーションモデルを用いるのが有効であるが、個人差もありトレーニングプログラムは必要に応じて修正する。

③ アクティブリカバリー
・アクティブリカバリーとは疲労が誘発された運動後に最大下強度の運動を継続することであり、パフォーマンスレベルの維持を図ることを目的とする。
・末梢の血流量を増加させ傷ついた組織への栄養素の輸送を行うことと、筋細胞内の代謝物の除去を促進することで筋の再生過程を加速すると考えられているが、いまだ科学的根拠に乏しい。
・アクティブ、パッシブリカバリーのいずれの方法においてもその方法と期間(時間)を十分に考慮しなければならない。
・アクティブリカバリーはパフォーマンスレベルの維持に関して短時間(10-20分)の枠組では恒常性を保つために効果的であるが、数時間、数日間空くと効果的な影響を示唆する結果には至っていない。
・血中乳酸の除去に対しては無酸素性作業閾値(AT)強度が最も効果的。
・アクティブリカバリーを行うとグリコーゲン再合成がパッシブリカバリーより低くなるので、2つの試合が30分以内であれば行っても良いが、それ以上ならパッシブリカバリーの方が良い。
・アクティブリカバリーが筋の再生が始まるまでの時間を遅延させる可能性を考慮すると、下肢に大きな筋損傷を引き起こす運動後のランニングは避けた方が良い。

④ ストレッチング
・ストレッチングの有益性はわずかかマイナスの影響をもたらす場合もある。
・ストレッチングが筋力発揮を必要とする運動直前には推奨できないものの、日常的にトレーニングとしてすることで筋力が増大する。
・高強度のトレーニング後のストレッチングは避けるべき。
・遅発性筋痛(DOMS)は伸張性の収縮が含まれる高強度運動や普段行わない筋活動の12-48時間後に生じるが、痛みの消失後も通常8日間程度続く。
・ストレッチングを高強度運動の前後に実施してもDOMSは軽減できない。
・適切なリカバリー効果を得るにはストレッチングを他の方法と組み合わせることが望ましい。

⑤ 水分補給
・パフォーマンスの質とアスリートの安全は十分な水分と電解質バランスに大きく依存する。
・水分損失が体重の2%に相当すると有酸素性能力がおよそ20%減少する。
・身体には十分な水分貯蔵量がないため脱水をあらかじめ予防するのは難しい。
・水分補給の指標は運動強度、環境条件、個人差があり、喉の渇きはあてにならない。
・長時間運動後はナトリウム濃度を水とともに回復させるべきであるが、ナトリウム錠剤は推奨されない。
・糖質溶液の摂取は水だけよりも運動機能をより効率的にリカバリーする。

⑥ 栄養補給
・運動によりタンパク質は分解され、1時間の運動では合成されるより分解される方が約5g多い。
・タンパク質を摂取すると成長ホルモン分泌のピークがその90分後から4時間後まで続く。
・運動の直後にタンパク質を摂取することで合成率は改善されるが、3時間後では改善しなかった。
・運動直後に10gのタンパク質を摂取するとタンパク質再合成が改善され3時間後まで有意な効果がある。
・持久系アスリートは体重当たり1.5-1.7g/kgのタンパク質を日常的に摂取することが勧められる。
・タンパク質にロイシンを加えることで糖質のみを加えるよりもタンパク質合成がより大きく促進する。
・運動で筋グリコーゲンが消費されると糖質の摂取により、再合成率が増加し、運動前に存在するグリコーゲンを超えるレベルでのグリコーゲンが増加する。
・リカバリー中は高グリセミックインデックス(GI)の糖質を摂取すると効果的。
・競技後に糖質を摂取するのは早ければ早いほど再合成される筋グリコーゲン量は多く、最初の1時間が最も多い。長時間の運動時にはトレーニング中に摂取すべきである。
・糖質は個体でも液体でも差は見られない。

⑦ 睡眠
・睡眠は広範囲にわたる認知機能と身体的側面に対する再生あるいは準備のための様々な生理的、心理的機能を確保している。
・睡眠の1周期は約90分で適度な睡眠には4-6周期が必要である。最初に眠気の兆しを感じたら寝なければならない。
・睡眠周期の初期には大量の成長ホルモンが分泌される。
・周期が繰り返されるにしたがって深い睡眠相が短くなり最後の周期には深い睡眠相は消失する。若い人でも深い睡眠相はかろうじて20%より多い程度である。
・不十分な睡眠が続くと続いて起こる異化作用ホルモン状態により筋異化作用が増加することがある。
・身体機能を維持する自律神経系機能の低下がオーバートレーニング状態の徴候の一つであり、これを防ぐには十分な睡眠時間をとることが重要である。
・アルコール摂取は睡眠障害を引き起こすため、激しいトレーニング期間中はアルコール摂取は制限した方が良い。
・カフェインやタウリンを多く含むエネルギー飲料も睡眠の質に影響するため避けるべき。
・30分程度の短時間の昼寝が日中の覚醒レベルの維持に効果的であり、睡眠が制限されているアスリートであればパフォーマンスに対する利点がある。

⑧ マッサージと理学療法
・マッサージ効果に対しては懐疑的である。
・血流や関節可動域に対するマッサージ効果は明らかではなく、体温上昇も皮膚表面だけでありウォーミングアップとして向いていない。
・リカバリーに関しては筋力回復や血中乳酸除去にマッサージの効果が無かったとされているが、マッサージとアクティブリカバリーの組み合わせで血中乳酸が減少すると示されている研究もある。
・間欠的空気圧迫法は動脈、静脈、リンパ還流を増加することで浮腫を軽減させることができ、これは中等度の運動で得られる血流増加に匹敵する。
・気分的な健康感と精神的感情に影響を与える可能性がある。
・電気刺激は求心性神経線維を刺激して痛みを緩和する可能性があるが科学的根拠に欠け、遅発性筋痛への有意な効果もあるとは示されていない。
・アロマセラピーは心理的側面からパフォーマンスに影響する可能性がある。

⑨ コンプレッション衣類
・コンプレッション衣類による心血管系へのパフォーマンスへの影響はあってもわずかで、筋の振動の減少および神経筋の伝達がされることでエネルギーコストが改善するかもしれない。
・リカバリーに関してはコンプレッション衣類によって主観的なリカバリー感を高めるが、リカバリーが促進するかどうかは明らかではなく、骨格筋の機能改善は望めない。
・遅発性筋痛に対しては運動時に装着することで骨格筋収縮にかかる負荷軽減による効果があるかもしれない。

⑩ 温熱と冷却、温度環境、水浴療法
・運動が引き起こす高体温が運動パフォーマンスを低下させることは明らかであり、クーリングベスト着用および水分補給によって持久的運動パフォーマンスは向上する。
・暑熱環境下におけるクーリングベストによるプレクーリングは温熱および心血管系ストレスを軽減させる。
・暑熱環境下の運動後に体温を低下させる様々なリカバリー法が報告されているが、その方法、時間やタイミングは確立されていない。
・全身低温療法は寒冷環境への繰り返しの暴露による免疫系の賦活化により、感染症への感染率が低下する可能性がるが、リカバリー効果を示す研究は無い。
・スチームサウナや温かい風呂への入浴は筋の緊張と硬直をやわらげ十分なリラックスが得られる。
・筋損傷に対する水浴療法を使ったリカバリーに効果は無いが、交代浴は血流を刺激して炎症の程度と持続時間を抑制することで24時間以内のパフォーマンスに影響する。
・交代浴は運動後可及的速やかに、8-15℃の冷水浴を1-2分、38-42℃の温水浴で2分、合計15-20分行う。


以上
覚え書きでした。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (こがーりお)
2020-02-26 07:57:25
栄養とか睡眠だけじゃなくて、
浮腫や交代浴のことも書かれてて面白いですね^ ^

ストレッチや電気刺激のところ、勉強になりました!

情報のシェアありがとうございます^ ^
返信する
>こがーりお (がんちゃん)
2020-02-29 17:03:51
お久しぶり!!

この本はこがーりおに教えてもらって購入したのを覚えています。
トレーニング理論にしてもリカバリーにしてもまだまだ発展途上な分野のようですね。
返信する

コメントを投稿