のんスケの‥行き当たりバッタリ!

ぐうたら人生を送ってきた私が、この歳になって感じる、喜び、幸せ、感動、時に怒りなどを、自由に書いていきたいと思います。

(若かりしころ心揺さぶられた)原爆の詩を2・3篇

2019-08-28 16:30:12 | 日記

 8月9日の長崎平和祈念式典で、田上長崎市長が「平和宣言」の冒頭で引用された(当時17歳だった女学生が作られた)詩を聞きながら、

私は深く感動していた。(そのことはブログにも書いた。)

 それと同時に私は、私がまだ若く、これからの社会はいかにあるべきかなどということを、青臭くも真剣に考えていた頃に出遭った≪原爆

の詩≫の幾篇かを思い出していた。

 私は、持っていた詩の本を本箱から取り出し、それらの詩を読み返してみた。

 そしてそれらの詩が、あの頃から50年くらいは経っているのに、全く色褪せることなく、今の私に迫ってくるのを感じた。

 ここに、私が一番好きな詩を3篇、書いておくことにします。

 

                峠 三吉  『原爆詩集』 より    

                       

               ちちをかえせ ははをかえせ

               としよりをかえせ

               こどもをかえせ

 

               わたしをかえせ わたしにつながる

               にんげんをかえせ

 

               にんげんの にんげんのよのあるかぎり

               くずれぬへいわを

               平和をかえせ

 

 

                     仮繃帯所にて

               あなたたち

               泣いても涙のでどころのない

               わめいても言葉になる唇のない

               もがこうにもつかむ手指の皮膚のない

               あなたたち

 

               血とあぶら汗と淋巴液とにまみれた四肢をばたつかせ

               糸のように塞いだ眼をしろく光らせ

               あおぶくれた腹にわずかに下着のゴム紐だけをとどめ

               恥しいところさえはじることをできなくさせられたあなたたちが

               ああみんなさきほどまでは愛らしい

               女学生だったことを

               たれがほんとうと思えよう

 

               焼け爛れたヒロシマの

               うす暗くゆらめく焔のなかから

               あなたでなくなったあなたたちが

               つぎつぎととび出し這い出し

               この草地にたどりついて

               ちりちりのラカン頭を苦悶の埃に埋める

 

               何故こんな目に遭わねばならぬのか

               なぜこんなめにあわねばならぬのか

               何の為に

               なんのために

               そしてあなたたちは

               すでに自分がどんなすがたで

               にんげんから遠いものにされはてて

               しまっているかを知らない

 

               ただ思っている

               あなたたちはおもっている

               今朝がたのまでの父を母を弟を妹を

               (いま遭ったってたれがあなたとしりえよう)

               そして眠り起きごはんをたべた家のことを

               (一瞬に垣根の花はちぎれいまは灰の跡さえわからない)

   

               おもっているおもっている

               つぎつぎと動かなくなる同類のあいだにはさまって

               おもっている

               かつて娘だった

               にんげんのむすめだった日を

 

                      生ましめんかな 

                                   栗原貞子

              こわれたビルディングの地下室の夜だった。

              原子爆弾の負傷者たちは

              ローソク1本ない暗い地下室を

              うずめて、いっぱいだった。

              生ぐさい血の匂い、死臭。

              汗くさい人いきれ、うめきごえ

              その中から不思議な声が聞こえてきた。

              「赤ん坊が生まれる」というのだ。

              この地獄のような地下室で

              今、若い女が産気づいているのだ。

 

              マッチ1本ないくらがりで

              どうしたらいいのだろう

              人々は自分の痛みを忘れて気づかった。

              と、「私が産婆です。私が生ませましょう」

              と言ったのは

              さっきまでうめいていた重症者だ。

 

              かくてくらがりの地獄の底で新しい生命は生まれた。

              かくてあかつきを待たずに産婆は血まみれのまま死んだ。

 

              生ましめんかな

              生ましめんかな

              己(オノ)が命捨つとも

 

 

 これらの詩を引用しここに書き連ねることは、単なる自己満足かも知れませんが、どうぞお許しください。

 

 下に、最近の我が家のベランダの花(いつもと変わり映えしませんが)を、載せさせていただきます。

                

 

 

               

 

 

                

 

               

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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2 コメント

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原爆の詩 (じゅん)
2019-08-29 08:34:34
 原爆の詩、一番上の詩は何回か見たことがありfますが、深く感銘しました。鋭い描写ですね!
ベランダの花達は今年も元気ですね!
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じゅんさんへ (のんスケ)
2019-08-29 20:58:05
 ありがとうございます!
 詩は、あまりに有名なものばかりですが、やっぱりイイ詩だと思って載せました。
 ベランダの花は何とか元気に暑い夏を乗り切ってくれたようです。
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