3月30日に放映された(実は、昨年5月19日の再放送だったのだが)上の写真の題名の番組で、私は再び≪保山耕一さん
≫にお会いすることができた。
以前の番組で保山さんのことを知り、深く心を動かされると同時に、その後の彼の健康が気になっていた私は、この番組で
彼が健在であることを知って、深い安堵と喜びを感じたのだった。(と書いたが、それは誤解であることが、後で分かった)
保山耕一さん(56歳)
保山耕一さんは6年前に末期の癌を発症され、それまで打ち込んでこられたテレビカメラマンの仕事を辞めざるを得なく
なった。
彼は一時絶望の淵に立たされるが、そんな彼が何とか立ち上がることができたのは、自然の営みを見つめ、それを映像に
残すことによって、だった。
その経緯は、上にも書いたように、以前放映された番組で紹介され、それを見て大いに心を動かされた私は、保山さんのこ
とをブログにも書かせてもらった。
(調べてみたら、前回の投稿は昨年の5月14日。題名は「<花に祈り 命を祈る。映像作家・保山耕一>を見て」だった。
そして、<花に祈り 命を祈る~>という番組は、3月31日放送の番組だった。)
ということは、前回の番組と今回の番組が放映されたのは共に昨年で、その間には2ヶ月くらいしかなく、今回の番組が、
彼の今の健康を保証するものでないことが分かって、私はガックリした。
けれどそれはさて置き、今回の番組も心に沁みる素晴らしいものだったことは間違いない。
今回の番組で新たに心を動かされたのは、彼がまだ絶望の淵に立たされているときに出会われた、<ある少年(青年)の
“書”>にまつわる話だった。
その少年は、奈良・吉野にある「櫻本坊」というお寺の長男の『巽良道さん』。
しかし彼は7年前、19歳の若さで亡くなってしまう。
在りし日の、巽良道さん 良道さんの父親で、「櫻本坊」の住職・巽良仁さん
ある時櫻本坊を訪れた保山さんは、その本堂に飾られていた、亡き良道さんの“書”に出会われ、その力強さに心を奪わ
れる。
良道さんの書の前で、じっと座って見入る保山さん
「まだ10代の若者が、こんなに力強くて素晴らしい書が書けるんだ!」
「だったら、彼のようにはできないかも知れないけれど、自分も何か、人の心に残るような作品を創りたい!」
そう思われた保山さんは、「この年の桜は、櫻本坊から」と決められる。
良道さんには、次のような素晴らしい書もあった。
この「櫻」という字、私もとっても好き!
そして、「息子(良道さん)にとって“櫻”は、自ら種を撒き育てる、とても身近な存在だった。」と、父親の良仁氏は、遠くを眺
めながら言われた。
この父子の想いを胸に、保山さんは、吉野の桜に向かわれる。
櫻本坊の本堂から眺めた桜
(次からが保山さんの作品ですが、彼の作品は動画なので、この写真は、動画の一部分を、私が勝手に切り取ったもので
す。)
保山さんは言われる。
「正直、そんなに長くは生きられへんやろという覚悟はしてます。~略~でも、こんな死にかけてる自分やからこそ、見
えるもんもあるん違うかな。」
「撮影してる時だけ、病の苦しみや死の恐怖を忘れることができた。」 とも。
そんな保山さんの作品(動画)の中から、何枚かを写真に切り取って載せさせていただきます。
☆郡山城址の梅~花が散った後の「ガク」にも、美しさがある~
☆太陽が沈んだ後の「焼き返し」をねらったが、この日は美しい焼き返しは現れなかった。でも帰らないで待っていると、美
しい月が出た。 「実は一番美しい瞬間は、諦めた後にやってきたりとか…」
☆蓮の葉っぱに乗っかった、カエル花びら
☆奈良の情景
☆降り積む雪と干し柿
☆夕暮れ
☆日の出の池の風景