調査員の「目」

 日常の何気ない雑感とつれづれ日記。

「指一本の執念が勝負を決める(冨山和彦著/ファーストプレス)」

2007-10-27 | 書評系
 「指一本の執念が勝負を決める」(ファーストプレス社)1,575円(税込)
著者:冨山和彦氏 1984年司法試験合格、1985年東京大学法学部卒。ボストンコンサルティンググループに入社。1986年コンサルティング会社「コーポレイトディレクション」の設立に参画し、2001年社長。この間、米スタンフォード大学で経営学修士(MBA)を取得。2003年から産業再生機構の代表取締役専務兼COO(最高執行責任者)に就任。2007年4月、株式会社経営共創基盤(IGPI)を設立、代表取締役CEO(最高経営責任者)に就任する。

 産業再生機構による企業再生を成功させた冨山和彦氏の著書。

本屋でウロウロしていたところ、版画のような特徴的な文字によるカバーが目に留まった。中身をパラパラめくってしばし立ち読みしていくと、冨山氏の想いが伝わってくるような文章があり、帰りの電車で読むべく購入。

 冨山氏は、東京教育大学付属駒場高校(現・筑波大学付属駒場高校)から東大法学部、在学中に司法試験に合格しながらも当時としては珍しく司法修習生にならず、大蔵省などの官僚にもならず、民間のボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。そのBCGも1年で退社し、新しいコンサルティング会社を設立する。 何故、弁護士や裁判官、官僚などの道を選ばずにコンサルティング会社に就職したのか、本書では自身の「家系」に遡って「挑戦したくなる血」に理由を見いだしている。
 また、自らが「プロフェッショナル」としてコンサル会社の設立から産業再生機構における数々の修羅場をくぐり抜けてきた中で身につけた真のリーダーシップのあり方、さらには「海外との競争」という視点を欠いた日本の内向きな議論に疑問を呈すなどプロとして「戦闘力」を磨きに磨いてきた方に相応しい識見を読むことができる。

 非常に興味深かったのが、前述の通りトップエリートとして周囲から認められるのに必要な学歴や資格を持ちながら、大阪での携帯電話会社のドブ板営業の経験や産業再生機構での危機に瀕した会社関係者との困難な交渉など個人としての実力やマネジャーとしての実力を磨きに磨いてきた方をして

「産業再生機構を4年間やっていて、(本気で残りの人生を棒に振ってでも差し違えにくるなって人は)、私はただの一度も、そういう恐怖を覚えたことはありません。裏を返すと、そういう恐怖を覚えた人間は、小泉純一郎と竹中平蔵、この二人だけです。」

 こう言わしめた小泉元総理と竹中氏はやはりもの凄い迫力・信念・オーラがあったのだろう。

 良書。20代前半のビジネスマンの方にお勧め。

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