靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

理想と自分のできる範囲と

2013-10-27 06:37:47 | 思うに
今週、あるネイティブアラスカンの知り合いから、携帯にテキスト&メール。14歳の息子君を週に3日1時間ほどずつ預かってくれないかと。

我が家はその息子君の通う中学校から歩いてすぐのところにある。普段スクールバスで通っているのだけれど、授業後のチューター(宿題や遅れた部分を見てくれるサービス)に参加することになったので、従兄弟が迎えに行ける5時まで預かってほしいと。

その知り合いには車がなく、シングルマザー。上の子は家を出、息子君と二人で暮らしている。福祉で暮らせるので、普段教会の活動などをしているものの、給料をもらう仕事はしていない。

14歳だし、週に3時間くらいと最初は思ったものの、考える内に頭を抱え込んでしまった。


・長い付き合い、時間にアバウトなのをよく知っている。迎えに来るという従兄弟さん、週3回、時間通りに迎えということは多分ないだろう。今日は迎えに行けないから家まで送っといてということもちょこちょこ出てくるに違いない。

・平日夕方は、家にとって最もクレイジーな時。車で5分の小学校迎え、車で30分の中学校への迎え、軽食のあと水泳、コーラス、アートクラブ、ピアノなどへの送迎が順繰りに毎日。上の子達は宿題・プロジェクトの山と取っ組み合い。

・かなり荒れた家庭環境、上の子の修羅場(様々な犯罪に巻き込まれ、更生院と自宅を何度も行き来し)も見てきた。私の「小さな親切」など、そんな背景の闇に太刀打ちなどできないだろう。

・授業後、友達を連れて来るということもあるかもしれないな。

・14歳という不安定な時期、家に来るなら家族として扱い、ルールも守ってもらうようにするけれど、それにしても私たち自身出たり入ったりで目も届かない。スマートフォンやネットに夢中と言っていたなあ。

・家に大人だけ大きい子だけだったら、引き受けただろうに。週3回これから何ヶ月も、我が家のちびっ子達への影響を思う。


それくらいしてあげればいいじゃないという声と、起こりうるリスクを並べる声が頭を駆け巡る。

夫と話し合う。「自分だったら、まず働いて車を確保し、自分の子を迎えに来られるようにする」

確かに。それでも彼らは全く違う考え方をするのというのを知っている。持てる者が持たざる者に手を貸す。頑張って自分もできるようしよう、頑張ってあなた自身できるようにするべき、というより、ただできる人ができない人に手を差し伸べ合う。

学ぶべきことがある考え方だと日頃から思いつつも、こうして実際に身近に物事を頼まれると、できない自分がいる・・・。

散々悩んだ挙句、赤裸々に夕方のクレイジーさの具体的な様子を書き、すぐ隣のアラスカ大学の図書館で待つというのはどうかなどと提案し、どうしても方法が見つからなかったらまた声かけて、とメールを返した。

自分の基盤が崩れてしまっては、結局人助けにも何もならない。自分の体は一つしかなく、自分のできることというのは限られているのだから。でもなあと、複雑な気持ちを抱えたまま。

即効でメールが返ってくる。「アラスカ大学っていい考え!Thanks! そうするわ!」

どっと肩の力が抜ける。


理想と実際に自分のできる範囲、また一つ謙虚にさせられた出来事でした。


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2 コメント

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Unknown (旅人パンダ)
2013-10-28 20:46:46
おっしゃる通り、自分の基盤が崩壊してはもともこうもないですよね~!
別の提案が出来たことは素晴らしいと思います!
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旅人パンダさんへ、コメントありがとうございます! (マチカ)
2013-11-03 07:08:14
謙虚に自分にできる限りのことをし続け、少しずつでもその範囲を広げていけたら、そう願っています。本当に、別の提案が役に立ってよかったです。ありがとうございます!
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