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ベータトロフィンはストレスと脂肪代謝とを結びつける

2016-01-13 06:18:02 | 代謝
New details linking stress, fat metabolism revealed

January 6, 2016

http://www.sciencedaily.com/releases/2016/01/160106125046.htm

もしあなたが絶え間ないストレスにさらされていて、そして体重が落ちないなら、それには原因となるタンパク質が存在するかもしれない

細胞とマウスモデルによる実験により、フロリダ・ヘルス大学の研究者は慢性的なストレスがベータトロフィンというタンパク質の産生を刺激し、
続いてこのタンパク質が脂肪代謝に関与する酵素のトリグリセリドリパーゼを阻害することを発見した
これらの研究結果は今月号のBBA Molecular and Cell Biology of Lipids誌で発表される

※ベータトロフィン: アンジオポエチン様タンパク質8/angiopoietin-like protein 8(ANGPTL8)
http://www.genecards.org/cgi-bin/carddisp.pl?gene=C19orf80


この発見はそのストレス関連タンパク質としての役割に新たな注目をもたらす
このタンパク質はかつて糖尿病治療のブレイクスルーとして歓迎hailされたが、後に効果がないとされた

最新のベータトロフィンの性質はまだ臨床的な環境でテストされていないものの、ある研究者はこの研究結果がヒトにも意味を持つ可能性があると言う
「アンジオポエチン様タンパク質8は、体の脂肪を分解する能力を低下させる
これは慢性的なストレスと体重現象との間の関係を強調する」
フロリダ大学医科大学の病理学部・免疫学部・臨床検査医学部laboratory medicineの教授であり主任研究者lead investigatorのLi-Jun Yang, M.D.はそのように言う

今回の研究では代謝ストレスを経験するマウスモデルがベータトロフィンを有意に多く産生し、正常な脂肪燃焼プロセスが著しく遅くなった
このような観察結果が重要である理由は、これはストレスとベータトロフィンと脂肪代謝とを結びつける生物学的なメカニズムに光を当てるからである

ベータトロフィンはハーバード大学から糖尿病患者のβ細胞の数を増やす可能性を示唆する研究が発表され、2013年の科学界で盛んに騒がれていたabuzzが、後に別の研究者がそのような効果はないと結論付けた

さて、前より歓迎はされないとしても、ベータトロフィンはやはり重要な役割を持つようだ
今回の研究結果はストレスが脂肪分解を困難にするという実験上のエビデンスを提供する


Yangの研究グループはいくつか新しい発見をした
例えばベータトロフィンはストレス関連タンパク質であるということや、なぜベータトロフィンが増えるほど脂肪燃焼が低下するのかについて明らかにした
蓄えられた脂肪を分解する脂肪組織トリグリセリドリパーゼ/adipose triglyceride lipaseを、ベータトロフィンは抑制する

 ストレス→ベータトロフィン─┤脂肪組織トリグリセリドリパーゼ

体の脂肪の調節におけるベータトロフィンの役割を確認するためにマウスとヒトに由来する細胞実験が初めて使われ、さらに
マウスモデルが環境ストレスならびに代謝ストレスを経験するにつれてベータトロフィンレベルがどれくらい増加するのかが調査された
研究の結果、どちらのストレスも脂肪組織と肝臓におけるベータトロフィンの産生を加速し、ベータトロフィンがストレス関連タンパク質であることが確認された

ベータトロフィンが脂肪代謝に与える影響はまだヒトでテストする必要があるが、Yangは今回の研究結果がストレスの低下が有益でありうる理由を説明すると言う
短期間の適度なストレスは難しい状況を切り抜けて上手くやるのを助ける一方で、長期のストレスは非常に有害になる可能性がある

「ストレスは脂肪の蓄積を引き起こすか、または少なくとも脂肪代謝を遅らせる
これはなぜストレスの多い状況を解決してバランスの取れた人生を求めるのが最良であるかについてのもう一つの理由である」
Yangは言う


http://dx.doi.org/10.1016/j.bbalip.2015.11.003
Angiopoietin-like protein 8 (betatrophin) is a stress-response protein that down-regulates expression of adipocyte triglyceride lipase.
アンジオポエチン様タンパク質8(ベータトロフィン)は、脂肪組織トリグリセリドリパーゼの発現を下方調節するストレス応答タンパク質である

Highlights
・ANGPTL8はストレス応答タンパク質である
・RAS/c-RAF/MAPKシグナル伝達経路は、ANGPTL8転写を仲介する
・ANGPTL8は、ERK信号交換伝達/signal transductionの経路を活性化する
・ANGPTL8は、Egr1発現の情報調節を介して脂肪組織トリグリセリドリパーゼ/adipose triglyceride lipase (ATGL)の発現を抑制する

Abstract

Results
ANGPTL8は、in vitroでアミノ酸が枯渇した培養細胞において有意に上方調節される
ANGPTL8遺伝子転写の活性化は、通常generalのGCN2/ATF4経路よりもむしろ、RAS/c-RAF/MAPKシグナル伝達経路によって仲介される

ANGPTL8は肝細胞、脂肪細胞、膵臓β細胞においてERK信号交換伝達経路を活性化させ、
初期増殖応答転写因子1/early growth response transcription factor (Egr1) を上方調節し、
脂肪組織トリグリセリドリパーゼ/adipose triglyceride lipase (ATGL) を下方調節した

※Egr1: http://www.genecards.org/cgi-bin/carddisp.pl?gene=EGR1


Conclusion
ANGPTL8はストレス応答タンパク質であり、ATGL遺伝子発現を抑制することにより脂肪代謝を調節する
このことは哺乳類の細胞におけるANGTPL8と脂質恒常性との間の機構的な関係を明らかにする



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150723111359.htm
脂肪組織が発現する糖質コルチコイド受容体が脳のストレスと代謝の制御の仕方に影響する



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/5410eb0f0900f4f19d875c843cfb6ab9
太れば太るほど痩せなくなる理由は脂肪細胞が作るsLR11というタンパク質



関連サイト
http://syodokukai.exblog.jp/18652586/
2013-04-27
膵β細胞増殖を調節するホルモン・ベータトロフィンについて


http://diabetologistnote.blog119.fc2.com/blog-entry-459.html
2013-04-29
β細胞を特異的に増加させるホルモン、Betatrophinの報告です。マウスの結果で肝臓に強発現させると8日後にはβ細胞面積が3倍になったという強力な効果が示されている。


http://nsmcuriosity.hatenablog.com/entry/2014/04/05/192515
2014-04-05
昨年発表されたハーバードのMelton教授のラボで発見された、膵β細胞の複製を強力に活性化するホルモンであるbetatrophin(ベータトロフィン)。このbetatrophinがヒトで有効であるかを検証した論文がDiabetesで報告された。
この結果はもしかするとbetatrophinはマウスのβ細胞は増やすがヒトのは増やさないかもしれないことを示唆する結果となった。
しかし忘れてはいけないことは、betatrophinはどうやってβ細胞を増やしているのか全くそのメカニズムがブラックボックスであるということだ。


http://fm7.hatenablog.com/entry/2015/09/09/221236
2015-09-09
すい臓のβ細胞を増やす新規ホルモンとして報告されたベータトロフィンであるが、後にAngiopoietin-like protein 8 (ANGPTL8) であることが明らかになった。