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卵巣癌で変異して凝集したp53を回復するペプチド

2016-01-11 06:06:02 | 癌の治療法
Scientists test new strategy that could help fight ovarian cancer

January 6, 2016

http://www.sciencedaily.com/releases/2016/01/160106220518.htm


(左: ハイグレード漿液性卵巣癌の患者に由来する腫瘍オルガノイド
右: ReACp53を投与して広範囲が死滅したミニ腫瘍)

ハイグレードの漿液性serousの卵巣癌96%で見られるp53の変異は、p53を凝集させて機能しなくする
癌細胞に浸透してp53の凝集を防ぐペプチドReACp53により、そのような凝集を防ぐ
コンピュータシミュレーションで凝集タンパク質の構造を決定してペプチドを開発した


カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の科学者は、致死的な生殖器の癌である卵巣癌を治療するためのまったく新しい有望な方法を開発した
このアプローチはハイグレードの漿液性の卵巣癌serous ovarian cancerで広く共通して変異するp53というタンパク質に焦点を当てるものである
多くの女性が卵巣癌の診断を受けるまでにかなり進行しており、ゆえに治療は非常に難しい

今回の発見はUCLAジョンソン総合がんセンターのDavid EisenbergとSanaz Memarzadehという博士たちの3年に及ぶ研究の成果である
このCancer Cell誌のオンライン版で発表される研究結果は、最終的にはp53に変異を持つ他の多くの同様のタイプの癌に対する新たな標的治療につながる可能性がある


P53は『ゲノムのガーディアン』として知られ、損傷が修復されるまで細胞が増殖するのを阻止し、もし損傷が回復できなければ細胞死を促進する
しかしハイグレードの漿液性の卵巣癌患者の96%で見られる変異はp53タンパク質の凝集を引き起こし、その正常な機能を妨げる
結果として損傷した細胞は制御不能の増殖が可能になり、それが癌につながりうる

UCLAの科学者はReACp53というペプチドを開発してテストした
このペプチドは癌細胞に浸透して変異したp53が凝集するのを防ぎ、p53の正常な機能を回復して卵巣癌細胞を殺す

「我々のラボは15年間、タンパク質の凝集について研究してきた
タンパク質の凝集はアルツハイマー病やパーキンソン病のようなアミロイド病を引き起こす」
生物化学の教授でありUCLA-DOE研究所(Department of Energy/エネルギー省)の一員でもあるEisenbergは言う

「このような凝集は線維としての構造を持つようになるが、髪の毛の幅より500倍も小さいために扱いが非常に難しい」

「このアプローチは元々は神経変性疾患のために開発されたもので、それを癌の治療に応用している」
UCLAでEisenbergラボのpostdoctoral scholarであり研究の筆頭著者であるAlice Soragniは言う

「我々はコンピュータアルゴリズムを使って凝集の原因となるp53のくっつきやすい部分を同定し、その構造を決定して凝集のプロセスを阻害するようにReACp53をデザインした
ReACp53はp53タンパク質が凝集しないように防ぎ、その本来の仕事、つまり癌細胞を殺せるようにする」

研究者は腫瘍細胞を患者から単離し、増殖させて小さな腫瘍をラボで再現した
この『ミニ腫瘍』は元となる癌の特徴のいくつかを忠実に再現するため、薬剤の開発に非常に役立つ

「結果は目覚ましいもので、患者由来の腫瘍は著しく縮小した」
Memarzadehは言う

彼女はこのアプローチが生理学的モデルにおいて明らかな副作用を生じず、ReACp53が非常に良好な忍容性があるvery well toleratedことも付け加えた

進行したステージのハイグレード漿液性卵巣癌の女性の80%以上が、手術を繰り返し化学療法を何度も受けた後でさえ再発を経験する
この新しい有効な治療アプローチは癌の再発を防ぐための大きな一歩になる可能性がある
アメリカでは年間1万5千人以上の女性が卵巣癌で亡くなっている


http://dx.doi.org/10.1016/j.ccell.2015.12.002
A Designed Inhibitor of p53 Aggregation Rescues p53 Tumor Suppression in Ovarian Carcinomas.
p53凝集を防ぐデザインされた阻害剤は、卵巣癌においてp53による腫瘍抑制を回復する


Highlights
・我々はp53凝集を止めるReACp53というペプチドをデザインした
・ReACp53はp53標的遺伝子の転写とアポトーシスを回復する
・ReACp53は凝集しやすいp53を持つ腫瘍の進行をin vivoで止めて縮小させる
・癌におけるp53の凝集はReACp53を主な化合物として使う治療の標的である

Summary
ヒトのすべての癌の半分でp53はミスセンス変異により機能を失い、その中には割合は不明だが自己凝集するアミロイド様の状態のp53が含まれる

我々は細胞に浸透してp53のアミロイド形成を阻害するようにデザインされたペプチドReACp53が
癌細胞系統ならびにハイグレード漿液性卵巣癌/high-grade serous ovarian carcinomas (HGSOC) オルガノイドにおいてp53機能を回復することをここに示す
HGSOCはp53変異が広く共通する特徴の悪性の癌である

回復された53は野生型の対照p53と同様にふるまい、標的遺伝子を調節し、細胞増殖を抑制し、細胞死を増大させる

腹腔内への投与はin vivoでの腫瘍増殖を抑制して異種移植を縮小させた



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