How certain drugs alter metabolism of pancreatic cancer cells
January 21, 2016
http://www.sciencedaily.com/releases/2016/01/160121150115.htm
CDK4/6阻害剤は癌の細胞分裂を止めるcytostatic が、止めるだけではやがて抵抗性になる
驚くべきことに、CDK4/6阻害剤は膵臓癌の代謝をむしろ『活性化』していた(mTOR↑)
この変化を別の薬剤(mTOR阻害剤など)で標的にすることで、CDK4/6阻害剤の効果をcytostaticからcytotoxicにできるかもしれない
テキサス大学サウスウエスタン・メディカルセンターの研究者は、
CDK4/6阻害剤という抗癌剤が膵臓癌細胞の代謝を変化させることを発見した
この発見は膵臓癌の生物学的脆弱性を明らかにし、治療効果を得るために利用可能となりうるものである
膵臓癌は最も予後が良くない癌の一つであり、国立癌研究所によるとアメリカでは癌で死ぬ理由として三番目に多い
そのため研究者は長い間、より良い治療オプションを見つけようと探している
去年FDAは進行乳癌の特定のタイプの治療用としてサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害剤を初めて承認した
この種の薬剤は他の多くの癌に対して臨床試験で広く研究されており、膵臓癌もその内の一つである
CDK4/6阻害剤は『細胞分裂抑制剤/cytostatic』であり、その意味は癌細胞の成長と増殖の防止である
「腫瘍が増殖しないことは素晴らしいと言えるが、別の言い方をすれば患者の腫瘍はまだ残っており、結局は抵抗性になるだろう」
テキサス大学サウスウェスタン・ユージーンマクダーモット人類発育研究センター/Eugene McDermott Center for Human Growth and Developmentにおける内科の教授である首席著者のErik Knudsen博士は言う
マクダーモットセンターで病理学の准教授であるAgnieszka Witkiewiczは次のように付け加える
「CDK4/6阻害剤の背後にある生物学的な仕組みをより深く理解することに興味がある
つまり、ただ増殖を止めるだけでなく、その情報を使って腫瘍を殺すことが可能かどうかである」
今回の研究でチームはヒトの腫瘍癌細胞とマウスで成長させた腫瘍にCDK4/6阻害剤を投与した
驚いたことに、阻害剤を投与すると細胞の代謝(癌腫瘍がエネルギーを得る方法)はさらに活性化した
「CDK4/6阻害剤は膵臓癌の癌細胞に代謝的な再プログラムを誘導し、この特定の側面への攻撃を試すことが可能である」
Knudsenは言う
「例えば、腫瘍の変化した代謝を標的にすることによりCDK4/6阻害剤の効果を細胞分裂の抑制から細胞毒性へと変化させ、もしかするとpotentially本当に癌細胞を殺すことができるかもしれない」
結局のところ/The upshot is that、
腫瘍の細胞周期をCDK4/6阻害剤で妨害し、変化した代謝をさらにmTOR阻害剤のような別の薬剤で標的にすることにより
癌の治療に大きな影響を与えられるかもしれない
「これらのデータは膵臓癌におけるCDK阻害剤とシグナル伝達経路、そして腫瘍の代謝という三者間のクロストークに対する新たな価値ある洞察をもたらし、興味深い新たな治療の可能性を開く
それは臨床試験で評価することが可能だろう」
Witkiewicz博士は言う
「真の目的はこの研究が、そしてもちろん現在進行中の研究全てが、膵臓癌の患者に役立つということである」
http://dx.doi.org/10.1016/j.celrep.2015.12.094
Metabolic Reprogramming of Pancreatic Cancer Mediated by CDK4/6 Inhibition Elicits Unique Vulnerabilities.
CDK4/6阻害によって仲介される膵臓癌の代謝的な再プログラムは独特な脆弱性を引き出す
Highlights
・CDK4/6阻害は、RB経路を通じて酸化的リン酸化を増大する
・CDK4/6阻害の下流で、mTORの補償的な活性化が起きる
・組み合わせ療法は細胞代謝に対してまったく異なる種類の効果をもたらす
・CDK4/6で停止した細胞の特徴を治療として選択的に標的化することは合理的である
Therapeutically targeting select features of CDK4/6 arrested cells is feasible
Summary
膵管腺癌/pancreatic ductal adenocarcinoma (PDA) ではp16ink4aが失われているため、薬理学的にCDK4/6を阻害することは強力な治療標的の代表となりうる
PDAモデルにおいてCDK4/6阻害は細胞周期に対して可変性variableの影響を与えたが、ATPとミトコンドリアの蓄積を生じた
薬理学的なCDK4/6阻害剤はサイクリンD1タンパク質レベルを誘導したが、それにはRB活性化が必要であり、RB活性化はミトコンドリア蓄積に十分だった
CDK4/6阻害は解糖的glycolytic・酸化的oxidativeな代謝を刺激し、mTORC1活性の増大と関連した
MTOR阻害剤とMEK阻害剤は、強力にCDK4/6阻害と協力して細胞周期脱出exitを誘発elicitした
しかしながら、異種移植モデルにおいてMTOR阻害は完全に代謝を抑制し、アポトーシスさせて腫瘍増殖を抑制した
CDK4/6阻害によって仲介される代謝状態は、ミトコンドリア数を増やして活性酸素種/reactive oxygen species (ROS) を増大させる
それらと一致して、ROSの捕捉の抑制/suppression of ROS scavengingまたはBCL2アンタゴニストは、CDK4/6阻害と協力して作用した
※ROS scavenger: ROSの捕捉。ROSの捕捉を抑制して、ROSを増大させる
合わせて考えると、これらのデータはCDK4/6阻害剤治療のPDA代謝に対する効果を明らかにし、細胞分裂抑制cytostaticを腫瘍細胞殺傷killingへと変化させるための戦略をもたらす
January 21, 2016
http://www.sciencedaily.com/releases/2016/01/160121150115.htm
CDK4/6阻害剤は癌の細胞分裂を止めるcytostatic が、止めるだけではやがて抵抗性になる
驚くべきことに、CDK4/6阻害剤は膵臓癌の代謝をむしろ『活性化』していた(mTOR↑)
この変化を別の薬剤(mTOR阻害剤など)で標的にすることで、CDK4/6阻害剤の効果をcytostaticからcytotoxicにできるかもしれない
テキサス大学サウスウエスタン・メディカルセンターの研究者は、
CDK4/6阻害剤という抗癌剤が膵臓癌細胞の代謝を変化させることを発見した
この発見は膵臓癌の生物学的脆弱性を明らかにし、治療効果を得るために利用可能となりうるものである
膵臓癌は最も予後が良くない癌の一つであり、国立癌研究所によるとアメリカでは癌で死ぬ理由として三番目に多い
そのため研究者は長い間、より良い治療オプションを見つけようと探している
去年FDAは進行乳癌の特定のタイプの治療用としてサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害剤を初めて承認した
この種の薬剤は他の多くの癌に対して臨床試験で広く研究されており、膵臓癌もその内の一つである
CDK4/6阻害剤は『細胞分裂抑制剤/cytostatic』であり、その意味は癌細胞の成長と増殖の防止である
「腫瘍が増殖しないことは素晴らしいと言えるが、別の言い方をすれば患者の腫瘍はまだ残っており、結局は抵抗性になるだろう」
テキサス大学サウスウェスタン・ユージーンマクダーモット人類発育研究センター/Eugene McDermott Center for Human Growth and Developmentにおける内科の教授である首席著者のErik Knudsen博士は言う
マクダーモットセンターで病理学の准教授であるAgnieszka Witkiewiczは次のように付け加える
「CDK4/6阻害剤の背後にある生物学的な仕組みをより深く理解することに興味がある
つまり、ただ増殖を止めるだけでなく、その情報を使って腫瘍を殺すことが可能かどうかである」
今回の研究でチームはヒトの腫瘍癌細胞とマウスで成長させた腫瘍にCDK4/6阻害剤を投与した
驚いたことに、阻害剤を投与すると細胞の代謝(癌腫瘍がエネルギーを得る方法)はさらに活性化した
「CDK4/6阻害剤は膵臓癌の癌細胞に代謝的な再プログラムを誘導し、この特定の側面への攻撃を試すことが可能である」
Knudsenは言う
「例えば、腫瘍の変化した代謝を標的にすることによりCDK4/6阻害剤の効果を細胞分裂の抑制から細胞毒性へと変化させ、もしかするとpotentially本当に癌細胞を殺すことができるかもしれない」
結局のところ/The upshot is that、
腫瘍の細胞周期をCDK4/6阻害剤で妨害し、変化した代謝をさらにmTOR阻害剤のような別の薬剤で標的にすることにより
癌の治療に大きな影響を与えられるかもしれない
「これらのデータは膵臓癌におけるCDK阻害剤とシグナル伝達経路、そして腫瘍の代謝という三者間のクロストークに対する新たな価値ある洞察をもたらし、興味深い新たな治療の可能性を開く
それは臨床試験で評価することが可能だろう」
Witkiewicz博士は言う
「真の目的はこの研究が、そしてもちろん現在進行中の研究全てが、膵臓癌の患者に役立つということである」
http://dx.doi.org/10.1016/j.celrep.2015.12.094
Metabolic Reprogramming of Pancreatic Cancer Mediated by CDK4/6 Inhibition Elicits Unique Vulnerabilities.
CDK4/6阻害によって仲介される膵臓癌の代謝的な再プログラムは独特な脆弱性を引き出す
Highlights
・CDK4/6阻害は、RB経路を通じて酸化的リン酸化を増大する
・CDK4/6阻害の下流で、mTORの補償的な活性化が起きる
・組み合わせ療法は細胞代謝に対してまったく異なる種類の効果をもたらす
・CDK4/6で停止した細胞の特徴を治療として選択的に標的化することは合理的である
Therapeutically targeting select features of CDK4/6 arrested cells is feasible
Summary
膵管腺癌/pancreatic ductal adenocarcinoma (PDA) ではp16ink4aが失われているため、薬理学的にCDK4/6を阻害することは強力な治療標的の代表となりうる
PDAモデルにおいてCDK4/6阻害は細胞周期に対して可変性variableの影響を与えたが、ATPとミトコンドリアの蓄積を生じた
薬理学的なCDK4/6阻害剤はサイクリンD1タンパク質レベルを誘導したが、それにはRB活性化が必要であり、RB活性化はミトコンドリア蓄積に十分だった
CDK4/6阻害は解糖的glycolytic・酸化的oxidativeな代謝を刺激し、mTORC1活性の増大と関連した
MTOR阻害剤とMEK阻害剤は、強力にCDK4/6阻害と協力して細胞周期脱出exitを誘発elicitした
しかしながら、異種移植モデルにおいてMTOR阻害は完全に代謝を抑制し、アポトーシスさせて腫瘍増殖を抑制した
CDK4/6阻害によって仲介される代謝状態は、ミトコンドリア数を増やして活性酸素種/reactive oxygen species (ROS) を増大させる
それらと一致して、ROSの捕捉の抑制/suppression of ROS scavengingまたはBCL2アンタゴニストは、CDK4/6阻害と協力して作用した
※ROS scavenger: ROSの捕捉。ROSの捕捉を抑制して、ROSを増大させる
合わせて考えると、これらのデータはCDK4/6阻害剤治療のPDA代謝に対する効果を明らかにし、細胞分裂抑制cytostaticを腫瘍細胞殺傷killingへと変化させるための戦略をもたらす