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凝集しやすい領域を保護する構造

2016-01-28 06:06:17 | 
Milestone for Parkinson's research: The amyloid protein α-synuclein has been visualised in the cell for the first time

January 26, 2016

http://www.sciencedaily.com/releases/2016/01/160126090055.htm


(生きた健康な細胞でのα-シヌクレインタンパク質の状態
中心のNAC領域は十分に保護されている(灰色の棒線)
この保護により細胞質(白)や他の成分との相互作用が確実に起きなくなる
神経変性的な変化の場合、灰色の領域はからみ合いgrow together、アミロイド構造を形成する
Credit: Philipp Selenko)

α-シヌクレインというタンパク質はパーキンソン病や他の神経変性疾患で重要な役割を演じる
パーキンソン病に典型的なアミロイド沈着内でのα-シヌクレインの構造についてはかなり知られているが、
健康な細胞での元々の状態についてはこれまでまったく知られていない

ドイツ・ベルリンのライプニッツ分子薬理学研究所/Leibniz-Institut für Molekulare Pharmakologie(FMP)の科学者は、高解像度の分光器spectroscopyを使って健康な細胞内におけるα-シヌクレインを初めて可視化した
驚いたことに、α-シヌクレインは構造化されていない状態unstructured stateだった

NatureとNature Communications誌で発表される今回の発見は世界中の研究にとって画期的な出来事milestoneである
疾患の経過を通じてこのα-シヌクレインタンパク質の構造が劇的に変化することはこれまで知られていなかった


パーキンソン病やアルツハイマー病、ハンチントン病のような神経変性疾患には一つの共通点があり、いわゆるアミロイドの凝集したものが脳に沈着している
アミロイドとは断片化したタンパク質の包括的umbrellaな用語であり、人体によって作られ最終的に神経細胞の死につながるものを指す
α-シヌクレインタンパク質はアミロイド凝集体の主な構成要素の一つであり、したがってパーキンソン病の発症に大きく関与する

凝集体の構造的な性質について知られていることは多い
例えばα-シヌクレインは非常に固体的な構造を持つが、これは特定のパターンに従った青写真/計画blueprintを基盤としていることを意味する
そしてそれとは対照的に、そこから分離して精製されたα-シヌクレインがまったくどんな構造も持たないno structure whatsoeverことが知られている

※whatsoever: whateverの強意形。否定+名詞+whatever「少しの~も(ない)」

しかしながら、これまでα-シヌクレインが健康な細胞の内部でどのような姿をしているかは知られていなかった
そして病理的な『変化』は、そのタンパク質の元々の状態がわからなければ完全には説明することはできない

ドイツ・ベルリンのライプニッツ分子薬理学研究所(FMP)の研究チームはα-シヌクレインタンパク質の構造を詳しく調べ、
ニューロンとそれ以外の細胞におけるα-シヌクレインを可視化して証明することに世界で初めて成功した

それを可能にしたのは核磁気共鳴分光学/nuclear magnetic resonance spectroscopy(NMR)と電子常磁性共鳴分光学/electron paramagnetic resonance spectroscopy(EPR)という二つの方法の組み合わせであり、原子レベルの解像度でタンパク質構造の相対的配置を記述することが可能になった


『我々は今、α-シヌクレインの原点を知る』
"Now we know the starting point of α-synuclein"

「我々はα-シヌクレインが精製した状態でも構造化されていない状態unstructured stateであることを発見した」
Philipp Selenko博士が説明する

「これは実際、かなり驚くべきことだ
なぜなら、そのような構造化されていない状態のタンパク質が細胞内の環境で存在し続けられるというのはこれまで思いもよらないことだったからだ」

しかしながら、見たところ細胞は実際、構造化されていないタンパク質を扱えているようである
Nature誌に発表された画像は、健康な細胞内でこのタンパク質がいわゆる『NAC領域』をどのようにして無関係の分子から保護するのかを示す

※NAC: non-amyloid-β component「非アミロイドβ成分」。凝集しやすい傾向を持つ領域

この中心領域は、高度に構造化されたアミロイド凝集体の発達において、決定的な役割を演じる
このα-シヌクレインの保護的な性質がなぜ神経変性疾患で失われるのかは、将来の研究で扱うであろう中核的な質問の一つである

「病的な状態では、NAC領域が他の分子にとってアクセス可能になる程度までα-シヌクレインは構造的に変化するはずだ
そうしてこの領域は凝集することが可能になり、成長してアミロイド構造を形成する」


タンパク質が構造を変化させるのを観察する
Watching the protein change its structure

このベルリンの研究チームの研究結果は、これらの構造変化を解明するための基礎を提供する
研究チームは既にこれから数ヶ月の具体的なプランを立てている

いくつかの巧みな方策tricksにより、人工的に老化した細胞を作成してアミロイドタンパク質を導入し、それを今回と同じ分光学的手法spectroscopic proceduresで観察する
パーキンソン病などの神経変性疾患は加齢と関連する疾患であるため加齢のシミュレーションを実施し、最終的には疾患の起源と一致する状態を構築したいと研究者は考えている

「我々はNAC領域の保護がだんだん失われるにつれてタンパク質がどのようにしてアミロイドのような構造を形成し始めるかを観察したいと考えている」
研究グループのリーダーSelenkoは言う


この面に関して、Nature Communications誌で発表された研究でチームは既に刺激的な発見をしている

彼らは年老いた細胞では普通に見られるようにα-シヌクレインの複数の箇所にダメージを与え、
それを若い健康な細胞に導入した

その結果、細胞がどのようにして欠陥を修復できたかを観察した
その修復はある領域では驚くべき完璧さだったが、別の領域ではそうではなかった
修復されなかった領域は、タンパク質の機能にとって非常に重要なものだった


パーキンソン病の原因の発見へと近づきつつある
The discovery of the cause of the disease is getting closer

彼らはこれからの研究で、どのような欠陥がこの修復メカニズムの失敗を引き起こし、それにより神経変性的なプロセスの基礎を形作るのかについての包括的な洞察を得たいと考えている

Philipp Selenkoによると、それにより疾患の原因の発見への鍵をとうとうつかむことができるという
それはいつの日か今回の研究結果を基礎として開発される有効な薬剤を使って、破壊的なプロセスへ介入することにつながる

「α-シヌクレインタンパク質の最初の状態を発見したことにより、我々はその方向へと決定的な一歩を進んだ」
Selenkoは言う


http://dx.doi.org/10.1038/nature16531
Structural disorder of monomeric α-synuclein persists in mammalian cells.


http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/fig_tab/nature16531_F4.html
Figure 4
αSyn interactions and conformations in cells.



http://dx.doi.org/10.1038/ncomms10251
Intracellular repair of oxidation-damaged α-synuclein fails to target C-terminal modification sites.