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癌にとって重要な遺伝子変化のネットワークを分析する

2016-01-18 06:06:36 | 
Breast cancer study suggests new potential drug targets and combinations

January 14, 2016

http://www.sciencedaily.com/releases/2016/01/160114162542.htm

これまで判明してきた乳癌細胞の機能を大規模に分析することにより、
既存の薬剤の新たな利用法や、薬剤発見の新しい標的、新しい薬剤の組み合わせが数多く示唆された

著者たちは他のタイプの癌における新たな薬剤候補を明らかにしたり、癌細胞が治療に抵抗するメカニズムを特定するために
1月14日にCellのオンライン版で発表された今回の研究結果に世界中のラボが飛びつくseize onだろうと言う

ニューヨーク大学のランゴンメディカルセンター/NYU Langone Medical Centerとローラ・アイザック・パールマターがんセンター/Laura and Isaac Perlmutter Cancer Center、カナダ・トロントのプリンセスマーガレットがんセンターの研究者を中心とする研究チームは、
以前の研究よりも多くのタイプの乳癌の遺伝子の分析、新たな統計学的手法、分子シグネチャーならびに抗癌剤の効果のデータベースとの比較、を組み合わせることにより結論に達した

「この研究は、乳癌細胞における遺伝子の変化がどのようにして増殖と生存に重要な経路に干渉するのかについてのこれまでの最大の研究を代表する
その経路は既存の薬または新しい薬の組み合わせで標的にできる可能性がある」
筆頭著者のBenjamin Neel, MD, PhD.は言う

「癌細胞の遺伝子変化の入り組んだ関係websを、癌細胞が依存する複雑な機能へと関連付けることが以前の方法では不可能だった
我々の新しい統計学的アプローチはそれを改善することを示す」

以前のアルゴリズムとは異なり、新しい統計学モデルは
特定の乳癌サブタイプにとって必須であることが既知の遺伝子を複数同定することが可能である(例えばHER2、エストロゲン受容体/ER, HER3など)

検出と治療の改善は乳癌の5年生存率を85%以上に引き上げたが、罹患者の半数は未だに疾患で亡くなる
現在の治療法は単一の疾患メカニズムに対処しようとするものであり、そのどんな治療法に直面しても癌細胞の分子的変化の複雑なネットワークがほとんどを生存させ続けることを可能にする
これまで治療が限定的な成功しか収めてこなかったのは、そのようなネットワークについての理解不足を反映している


新たに発見されたパターンがこれからの治療の改善を刺激する
Newfound Patterns to Drive Future Treatment

長年の間、世界中のラボが乳癌に寄与する多くの遺伝子の変化を同定するために大規模なゲノム研究を実施してきた
そのような研究は癌の様々なタイプとサブタイプにおいて遺伝子の変化が見られるという情報をもたらしてきたものの、
それらの変化のどれが癌細胞の増殖や生存にとって重要なのか、その変化がどのようにして治療に利用されるのかを決定することにはあまり成功してきていない

ゲノム研究を補うために近年多くのラボがスモールヘアピンRNAの『ドロップアウト・スクリーニング/dropout screens』を利用している
これは癌細胞の遺伝子を一つ一つそれぞれ妨げることにより、どの遺伝子が最も生存に重要かを調べるというものである
しかしながら、最も最近の研究でも、乳癌全体を通して見られる様々な変化のランドスケープlandscapeを捉えるために十分な細胞系統を調べていない

今回の研究では77の乳癌細胞系統でのshRNAスクリーニングを実施した
これは乳癌の多くのサブタイプを表すのに十分大きなサンプルである

研究チームは新たにデザインした統計学的技術であるsi/shRNA Mixed-Effect Model (siMEM) を適用して、
細胞系統の遺伝子ノックダウンの研究結果をスコア付けし、癌の増殖にとって最も重要な候補遺伝子を同定した
また、彼らはその結果を
薬剤が有効である時とそうでない時に癌細胞で見られる、癌遺伝学、タンパク質相互作用、遺伝子の変化の大規模なデータベース情報と比較した

このように方法を組み合わせることで
癌細胞の性質に影響するよう密接に結びついたデータにおける新たなシグナルがもたらされ、偽陽性をうまく排除screen outした

この研究でこれまで知られていなかった乳癌細胞の生存に重要な役割を演じる多くの候補遺伝子が明らかにされ、
さらに、90の抗癌剤に対して感受性または抵抗性のどちらかである細胞にとって必要な遺伝子クラスターが見つかった

トリプルネガティブ乳癌で同定された新しくかつ潜在的な『創薬可能druggable』な標的の中では、
シグナル伝達タンパク質(EFNB3、EPHA4)、
細胞増殖経路を調節するタンパク質(MAP2K4、MAPK13)、
炎症を促進するタンパク質(IL-32)が、過去の研究によって脳腫瘍と関連付けられている

今回のデータでは、乳癌サブタイプを治療するための新しい潜在的な薬剤の数十通りの組み合わせについてのさらなる研究が示唆された
その中には、RAF/MEK阻害剤・CDK4阻害剤・EGFR阻害剤・BET阻害剤とエピルビシンepirubicin・ビノレルビンvinorelbineとの組み合わせや、
PLK1阻害剤とAKT阻害剤の組み合わせが含まれる

※エピルビシン: アントラサイクリン系抗腫瘍性抗生物質。DNA・RNAポリメラーゼ反応を阻害
※ビノレルビン: ビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍薬。有糸分裂微小管タンパク質のチューブリンの重合を選択的に阻害

新たな方法によりあらゆる乳癌サブタイプごとにさらなる研究すべき経路が示唆されたものの、この分野を導いて研究の可能性を示すために著者はさらなる研究対象として一つを選び出し、
さらなる実験によりBRD4がほとんどの管腔乳癌/HER2+乳癌細胞にとって、さらにトリプルネガティブ乳癌のサブセットの生存にとっても必須の遺伝子であることを確認した

BRD4はBETファミリー(bromodomain and extra terminal domain)のメンバーであり、細胞増殖にとって重要な多くの遺伝子の調節を助ける
BET阻害剤という種類の薬剤の標的であり現在白血病の臨床試験中である
研究結果はBET阻害剤が乳癌のいくつかのタイプで有用である可能性を示唆し、
その阻害剤への抵抗性はPI3Kの遺伝子変異によって影響され、
この抵抗性はBET阻害剤とエベロリムスを組み合わせることによって無効化される可能性も示唆された

Neelは言う
「世界中の研究者の究極の目的は
治療法を開発すべき分子標的ならびにどんな治療であれ応答する可能性が高い患者グループを明らかにできるほど十分にそれぞれの癌細胞の配線図wiring diagramを最終的に理解することである」


http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2015.11.062
Functional Genomic Landscape of Human Breast Cancer Drivers, Vulnerabilities, and Resistance.
ヒト乳癌のドライバ・脆弱性・抵抗性の、機能的なゲノムのランドスケープ

Highlights
・ゲノムワイドなスモールヘアピンRNA/shRNAのプールされたライブラリを使うことにより、77の乳癌細胞系統をスクリーニングした
・アルゴリズム (siMEM) を開発して、状況依存的な遺伝子context-dependent genesの同定を改善した
・スクリーニングの結果をゲノムデータと統合することにより、潜在的な『ドライバ』を明らかにする
・BRD4は管腔乳癌に必須である一方、PIK3CA変異体はBET阻害剤への抵抗性をもたらす

Summary
大規模なゲノム研究により、乳癌における多数の体細胞異常(コピー数変化/copy number alteration(CNA)や点突然変異point mutationなど)が同定されてきた
しかし今なお、原因となる変異causal variantsと、遺伝子の変化の結果として生じて現れる脆弱性emergent vulnerabilitiesの同定は、大きな問題である

我々は77の乳癌細胞系統に対して
スモールヘアピンRNAにより全ゲノムの『ドロップアウト・スクリーニング/dropout screens』を実施した

階層的hierarchicalな線形回帰linear regressionアルゴリズムを使用してスクリーニング結果をスコア付けし、随伴する詳細な遺伝子・プロテオーム情報にそれらを統合して、
乳癌において候補となる『ドライバ』などの脆弱性を同定し、癌細胞の機能的なゲノムの性質を全体的に明らかにする

遺伝子の必要性を薬剤感受性データと比較することにより、
潜在的な抵抗性メカニズム、既存の抗癌剤の効果、組み合わせ療法の機会が示唆される


最後に我々はBRD4が管腔乳癌における潜在的な標的であり
PIK3CA変異がBET阻害剤への抵抗性の決定因子であるとして同定することにより、
この大規模なデータセットの有用性を実証する