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CTL019療法の高い奏効率と長期の寛解が観察される

2015-12-19 06:12:20 | 癌の治療法
High response rates, long-term remissions seen in trials of personalized cellular therapy CTL019 for pediatric and adult blood cancers

December 7, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/12/151207164042.htm

再発/難治性の急性リンパ芽球性白血病/acute lymphoblastic leukemia (ALL) に罹患した59人の子供のうち、93%の55人がCTL019療法により寛解した
CTL019はまだ研究中の治療法で、自分自身の免疫細胞であるT細胞を使う
子供の18人は1年を越えて寛解を維持し、9人は2年以上寛解が続いている

CTL019は非ホジキンリンパ腫/non-Hodgkin lymphoma (NHL) の治療法としても認識され始めており、
今回の研究では患者の半数以上の57% (28人中15人) が奏効した

ペンシルベニア大学ペレルマン医学大学院とフィラデルフィア小児病院/CHOPによるこれらニつの臨床試験の研究結果は、
第57回米国血液学会議/American Society of Hematology (ASH) で発表される

この結果はペンシルベニア大学のキメラ抗原受容体/chimeric antigen receptor (CAR) 療法を使った研究を広げるものであり、
2010年に始まった慢性リンパ性白血病/chronic lymphocytic leukemia (CLL) への臨床試験の結果が元になっている

「観察されている奏効率response rateと持続性durabilityは前例がないものであり、
個別化された細胞療法はこの困難な血液がんを長期間コントロールするための強力な方法となるだろうという希望を我々に与える」
ペンシルベニア大学ペレルマン医学大学院の教授であり
フィラデルフィア小児病院でがん免疫治療フロンティアプログラムのディレクターでもあるStephan Grupp, MD, PhDは言う


ALLについての発表は以下の通りである (Abstract #681)
再発/難治性ALLの子供59人にCTL019細胞を注入する臨床試験の結果、55人が完全奏効に至り、1年全生存率は79%だった
6ヶ月時点での非再発生存率relapse-free survivalは76%で、1年経過時点では55%だった
中央値12ヶ月のフォローアップで34人の患者が完全寛解を継続し、6人が幹細胞移植のような追加治療を受けた
再発した20人の患者のうち、3人は追加の治療後に疾患が再発し、13人はCD19陰性による再発が生じた(CD19はCTL019療法の標的である)


もう一つの発表は非ホジキンリンパ腫の試験についてである (Abstract #183)
CTL019の細胞注入から3ヶ月後、評価対象となった28人の患者のうち、57%の15人が治療に応答した

濾胞性リンパ腫/follicular lymphoma (FL) の患者の奏効率は72% (11人中8人)、
びまん性大細胞型リンパ腫/diffuse large B-cell lymphoma (DBCL) は47% (15人中7人)、
マントル細胞リンパ腫/mantle cell lymphomaは50% (2人中1人) が奏効した

全体として、14人の患者が完全寛解complete remissionに至った
CTL019を受けた患者の全てが、試験以前に既存の治療(多くが幹細胞移植)に応答しなくなっていた

濾胞性リンパ腫/FLならびにびまん性大細胞型リンパ腫/DBCLの患者で、
無増悪生存期間/progression-free survival (PFS) の中央値は
フォローアップ中央値の14ヶ月~後にまだ到達していない


ペンシルバニア大学アブラムソンがんセンターとペレルマン医学大学院の慢性リンパ性白血病/リンパ腫臨床治療研究で
ロバート・マルガリータ・ルイス-ドレフュス准教授/Robert and Margarita Louis-Dreyfus Associate Professorである
Stephen Schuster, MDは言う
「過去数年、この免疫療法の分野は、血液がんに対する新しく有望な一連の実験的治療を提供してきた
今回の臨床試験の結果は、
ホジキンリンパ腫/NHLの患者における個別化医療が果たす役割に関して増えつつあるエビデンスに加わるものとなる」


CTL019ではそれぞれの患者自身のT細胞を透析と同様の方法で集め、癌細胞を追跡して殺すようにラボで再プログラムする
患者はリンパ球を枯渇させるよう化学療法を受けた後、作り変えられたT細胞を注入される
修正されたT細胞はキメラ抗原受容体/chimeric antigen receptor (CAR) という抗体のようなタンパク質を持ち、
このCARはALLならびにホジキンリンパ腫を特徴づける癌性B細胞を含めたB細胞の表面に存在するCD19タンパク質を標的にするようにデザインされている
こうして患者の体内に戻された『ハンター』細胞は、増殖して癌細胞を攻撃すると考えられている

CARに組み込まれたシグナル伝達ドメインは修正細胞の急速な増殖を促進し、
今回の試験で単一の修正細胞それぞれから1万以上も増殖することが明らかになった

T細胞療法を受けた患者の中には注入から数週以内にサイトカイン放出症候群/cytokine release syndrome (CRS) を発症する者がいるが、これは典型的には修正細胞が体内で最も増殖する時期である
この病態ではインフルエンザのような症状を様々な程度で生じ、
高熱、吐き気nausea、筋肉痛、幻覚hallucinationやせん妄deliriumのような神経症状を伴い、
重症の場合は血圧低下と呼吸困難が起きるため集中治療intensive careが必要となる
今回の試験でリンパ腫患者の18人がCRSを経験し、子供のALL試験では88%がCRSを発症した

フィラデルフィア小児病院/CHOPとペンシルベニア大学の研究チームはこれらの副作用を治療するためにIL-6阻害剤のトシリズマブtocilizumabを含むマネジメント・ストラテジーを開発した
二つの臨床試験に参加した患者全てがCRSから回復したが、リンパ腫患者の一人が重症の脳炎encephalitisに数ヶ月苦しんだ

現在、CLL、多発性骨髄腫、中皮腫mesothelioma、卵巣癌、膵臓癌、脳腫瘍に対するCARの臨床試験がペンシルベニアで進行中である

CTL019は研究中であるため安全性と効能のプロファイルはまだ十分に確立されておらず、
十分にコントロールされた監視下での臨床試験を通してのみアクセス可能である
これらの試験は治療についてのさらなる理解と潜在的な利益、そしてリスクを調べるために注意深く設計されている



関連サイト
http://www.afpbb.com/articles/-/2917476
米ペンシルベニア(Pennsylvania)州のフィラデルフィア小児病院(Philadelphia)の医師らは先週、白血病で余命わずかとみられていた7歳の少女の命を救うことに成功したと発表した。
改変エイズウイルスを使い、医師らはエミリーさん自身の免疫細胞を、白血病に打ち勝つことができる細胞に変えて治療に使用。エミリーさんは、正式には「CTL019治療法」と呼ばれるこの治療を受けたわずかな患者の1人であり、最初の小児患者だ。



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150909213412.htm
September 9, 2015
Source: University of Pennsylvania School of Medicine

9つの治療が効かなくなった多発性骨髄腫multiple myelomaの患者が、ペンシルベニア大学によって開発されたCTL019という治療法により完全な寛解を経験した
この研究中の方法は化学療法ならびに自家移植の幹細胞移植と組み合わせたもので、骨髄細胞になる細胞を標的にして殺すようデザインされた新たな治療戦略である

キメラ抗原受容体/CARを持つT細胞は、B細胞表面に見られるCD19を標的にするようデザインされる
B細胞には癌化したB細胞も含まれ、これは複数タイプの白血病とリンパ腫の特徴である

「多発性骨髄腫の患者にCD19治療が有効なのかという疑念もあるが、それは患者の癌化したプラズマ細胞はほぼすべてがCD19を発現していないためである」
首席著者のEdward Stadtmauer博士は言う

「しかし、幹細胞の可能性がある細胞はCD19が陽性でありうるというデータが存在する
我々の仮説は、それら細胞前駆体を標的にした治療を開発できる可能性があるというものだ」


http://dx.doi.org/10.1056/NEJMoa1504542
Chimeric Antigen Receptor T Cells against CD19 for Multiple Myeloma.




関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/12/141207091419.htm
December 7, 2014
Source: Children's Hospital of Philadelphia

急性リンパ芽球性白血病/acute lymphoblastic leukemia (ALL) に対して、生体工学でbioengineered生成したCTL019細胞/CD8+によりCD19を標的にする
副作用は免疫調整薬immunomodulating drugで抑制する
健康なB細胞も死んでしまうため、抗体を投与して対応した

試験には39人の子どもが参加
1ヶ月後、36人 (92%) が完全奏効complete responses
36人中25人 (69%) が中央値6ヶ月フォローアップ時に寛解を維持remained in remission
36人中10人が再発、10人中5人が死亡



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/12/141204152703.htm
December 4, 2014
Source: University of Texas M. D. Anderson Cancer Center

急性リンパ性白血病/acute lymphocytic leukemia (ALL)、非ホジキンリンパ腫/non-Hodgkin lymphoma (NHL)、慢性リンパ性白血病/chronic lymphocytic leukemia (CLL) に対するCAR T細胞療法
CD19特異的キメラ抗原受容体をT細胞に発現させ、B細胞に発現するCD19を標的にする

CAR発現T細胞を作成する際にトランスポゾンのSleeping Beautyを利用する
ドナーまたは自分の幹細胞にトランスポゾンを使ってT細胞にCARを発現させる



関連サイト
http://www.cancerit.jp/28187.html
患者のCARを作成するのに、ウイルスを使わず、それほど費用もかからない方法を開発した。この手法はSleeping Beauty(眠れる森の美女)と呼ばれる。
なぜなら、この手法が、何百万年も前に脊椎動物の最後の共通祖先に存在したトランスポゾン(ゲノムの中でその位置を移動することができるDNA塩基配列)を再構築したものに依存しているためである。



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/10/141015190826.htm
October 15, 2014
Source:University of Pennsylvania School of Medicine

急性リンパ芽球性白血病/acute lymphoblastic leukemia (ALL)に対して、B細胞のCD19を標的にするようにT細胞をリプログラムして投与するCTL019療法
副作用はサイトカイン放出症候群/cytokine release syndrome (CRS) であり、最悪の場合は血圧低下と呼吸困難が起きる
さらに、CD19を発現しないB細胞による再発が起きることもある