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検出が難しい癌遺伝子の変異を明らかにする

2015-12-17 06:10:07 | 
Study uncovers hard-to-detect cancer mutations

Findings could help identify patients who would benefit from existing drugs

December 14, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/12/151214130353.htm

ワシントン大学医学部の新たな研究によると、
現在のゲノム分析へのアプローチは患者の腫瘍に存在するある種の『複合的な突然変異/complex mutation』を検出するのに一貫してsystematically失敗することが示された
さらに、この複合的な変異のかなりの割合がよく知られた癌遺伝子で見つかるという
その遺伝子は既存の抗癌剤で標的にできる可能性があり、おそらくそれにより利益を得る患者の数を拡大するだろう
この研究結果はNature Medicineの12月14日号に掲載される

「標的になりうる変異を発見できないというのはショッキングであるdevastating」
ワシントン大学マクダネル・ゲノム研究所/McDonnell Genome Instituteのアシスタントディレクターであり、
医学部の准教授associate professorでもある首席著者senior authorのLi Ding, PhDは言う

「我々はこれまでの癌ゲノム研究で一貫してconsistently見逃されてきたある種の遺伝子エラーを発見するためのソフトウェア・ツールを開発し、そのようなイベントを重要な癌遺伝子で非常に数多く発見した
この種のイベントを発見する能力は癌の研究と臨床的な実践のどちらにも重要である」


ゲノムの変異の生じ方は様々だが、最も単純なものはおそらくDNAコードの『文字』の一つが変化することだろう
より複雑な変異には文字がいくつか消えたり挿入されるものがある

今回の新たな研究では8,000人の癌患者の変異に焦点を当て、文字が挿入されると同時に削除されるという変異も調べた
「挿入と欠失がゲノムの同じ箇所に同時に起きていることから、我々はこの種の変異を『挿入欠失indel』と呼ぶ」
Dingは言う

「このようなイベントを捉えるのは非常に難しいが、
それは既存のアプローチがどちらか一方を見つけるようにデザインされているからである
両方のタイプを同時に同じ箇所で検出できるようにはなっていない」

研究者は複合的な挿入欠失を見つけるために特殊化したコンピューターソフトウェアを開発し、
意図的に複合的な変異を導入することでそのゲノム配列決定の正確さを確認した

次に研究者は既に配列決定された癌のゲノムを調べ、
癌と関連する遺伝子内に285の複合的な挿入欠失が存在するのを発見した

これらの複合的な挿入欠失イベントの約81パーセントがこれまでのアプローチによる最初の分析で見過ごされており、
他の18パーセントは別の種類の変異と誤認されていた


Dingはこれら複合的な挿入欠失を見つけるための特別なツールを開発する重要性を強調する
なぜなら、今回の研究データから
それらが既存のツールではほとんど全く検出されず、
加えてランダムとは考えられないほどそれらが重要な癌遺伝子に集中するように見えることが示唆されるからである

この情報は、挿入欠失が見つかった遺伝子にその変異の影響を打ち消すようにデザインされた薬剤が既に存在する時に価値を持つ
研究者は特に肺癌に関連するEGFRに複合的な挿入欠失変異を同定したが、
もしそのような挿入欠失がEGFRに見つかった場合、
エルロチニブのようなEGFR阻害剤が腫瘍のタイプとは関係なく有益な可能性があることをDingたちは示唆する

また、研究者は複合的な挿入欠失を、メラノーマに関与すると思われる遺伝子のKITにも発見した
この分析は、KITに複合的な挿入欠失を持つ患者にイマチニブソラフェニブのようなKITを標的にする薬剤が有効だろうということを示唆する

研究者が開発したソフトウェアはPindel-Cという名称で、 2009年に筆頭著者のKai Ye, PhD准教授によって公表されたPindelを元に構築されたものである
どちらも現在オンラインで自由にダウンロード可能である
http://www.ebi.ac.uk/~kye/pindel/
http://gmt.genome.wustl.edu/packages/pindel/


http://dx.doi.org/10.1038/nm.4002
Systematic discovery of complex insertions and deletions in human cancers.
ヒトの癌における複合挿入欠失の体系的な発見

Abstract
複合的な挿入欠失(インデル/indel)は、
DNAが削除されると同時に様々なサイズのDNA断片が同じゲノムの場所に挿入されることにより形成される

今回我々は8000人を越える癌患者のサンプルのコード配列における体細胞の複合インデルの体系的な分析を発表する
使用したソフトウェアはPindel-Cである

分析した患者の約3.5%において285の複合的なインデルが癌関連遺伝子に存在するのを我々発見した (PIK3R1, TP53, ARID1A, GATA3, KMT2D)
以前の2199人のサンプルの報告では、これらはほぼ全ての例で見落とされていたoverlooked (81.1%) か、アノテーション/注釈が間違っていたmisannotated (17.6%)

フレーム内の複合インデルはPIK3R1とEGFRに多く、フレームシフトはVHL, GATA3, TP53, ARID1A, PTEN, ATRXに広く見られた

さらに、複合インデルは強い組織特異性tissue specificityを示す
(例えばVHLは腎細胞癌サンプル、GATA3は乳癌サンプル)

最後に、これまで見過ごされてきた薬剤開発の対象となりうる変異の発見は、構造的分析により支持される

今回の研究は複合インデルの発見改善ならびに医学研究における解釈の重要性を示す