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酸素が不足した肝細胞癌はブドウ糖の代わりに酢酸を使う

2015-12-03 06:08:44 | 
Blocking body's endocannabinoids could be effective liver cancer treatment

November 23, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/11/151123103057.htm


(肝臓癌の患者をACSS1の発現に基いて階層化するstratified)

スウェーデン王立工科大学(KTH)による新しい研究で、
肝臓のカンナビノイド受容体は肝臓癌患者の何割かで標的となりうることが明らかにされた
Cell Reportsで発表された今回の研究結果は、患者にどんな治療が最も効きやすいのかを予測する方法も提供する

この研究では、最も一般的なタイプの肝臓癌である『肝細胞癌/Hepatocellular carcinoma (HCC)』が酸素の不足した低酸素の環境でも増殖できるようにする代謝プロセスを明らかにする
その中で研究者は、どの患者がCB1受容体を阻害する薬物に反応するのかを予測するために代謝プロセスをどのようにしてモデル化するのかについての方法を示す

ストックホルムのKTH王立工科大学/Royal Institute of Technologyのシステム生物学者であるAdil Mardinogluは言う
「これは患者が特定の薬物療法に応答するかどうかを予測するプレシジョン・メディシン(精密医療/precision medicine)への可能性を開く」

「我々の研究はなぜいくつかの抗癌剤が全ての患者に効果があるわけではないのかを説明し、
そして癌を治療する前に何をすべきなのかを示す」

「たとえ同じ癌でも(この場合は肝臓癌)治療の前に腫瘍の特徴を明らかにすることが重要である
肝細胞癌/HCCの治療で利用可能であり臨床で最も使われている抗癌剤は、患者の30%しか応答しない
その理由の一部は患者の階層化stratificationが欠けているためである」


癌細胞は増殖するという要求requirementsに合わせるために代謝を調整しなければならない
その要求の一つがアセチル-CoAのコンスタントな供給である
アセチル-CoAは多くの生化学反応において重要な役割を演じる分子であり、癌細胞を構成する材料の主な前駆体の一つである

栄養が豊富で酸素の供給が十分な状態では、アセチル-CoAは主にブドウ糖から作られる
しかしながら、腫瘍の内部はしばしば酸素が限られた状態になり、それは結果としてブドウ糖の利用を制限する

研究チームは、酸素が欠乏したHCC細胞がブドウ糖の代わりにミトコンドリアによって作られる炭素を食べて育つthrive on carbonことを発見した
ミトコンドリアは短鎖脂肪酸の酢酸acetateという分子を分解してアセチル-CoAを作り、脂質を作るための材料を生じる
そして、このHCCの増殖プロセスではミトコンドリアアセチル-CoA合成酵素(ACSS1)が鍵となる重要な酵素であることが判明した


今回の研究ではスウェーデンのヒトタンパク質アトラスプロジェクト/Human Protein Atlasのプロテオミクスデータを利用して作成されたコンピュータモデルを使い、
約360のHCC腫瘍と50の健康な肝臓サンプルの全遺伝子発現をプロファイリングして分析した

KTHで微生物学の教授でありHuman Protein AtlasプログラムのディレクターでもあるMathias Uhlénは、
このオープンソースである研究データベースの目的は「新たな診断法diagnosticsと薬剤の開発を刺激するだけでなく、
正常なヒトの生物学的な基本的洞察を提供するためでもある」と言う
「今回の研究は、肝臓癌のようなヒトの疾患を探求するためにオープンソースな情報を利用した優れた例である」


ヒトの体はマリファナのような物質を体内で作っていて、これをエンドカンナビノイドendocannabinoidと呼ぶ
エンドカンナビノイドはcannabinoid type 1 receptor (CB1) という受容体を活性化させて肝臓の脂肪酸合成を増加させることが知られている
CB1受容体は脳や肺、肝臓、腎臓に見られ、気分、食欲、痛覚pain sensation、記憶など多くの生理的プロセスに関与する

今回の研究ではCB1受容体の発現が通常よりも肝臓癌サンプルで増加することが明らかになった
これはCB1受容体を阻害する薬が肝細胞癌に有効である可能性を示唆する

「そのような薬は望ましくない精神病的な副作用を引き起こすことがわかっているが、
脳に入り込まないCB1アンタゴニスト/拮抗薬はそのような副作用を生じず、しかし末梢のCB1受容体を通じて治療効果は保たれる
そのような薬が現在開発中である」
研究の共著者であり米国立アルコール乱用依存症研究所/National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism (NIAAA) で科学ディレクターのGeorge Kunosは言う


http://dx.doi.org/10.1016/j.celrep.2015.10.045
Stratification of Hepatocellular Carcinoma Patients Based on Acetate Utilization.


Highlights
・HCC腫瘍に関するゲノムスケールでの代謝モデルを再構築
・HCCにおける代謝の変化を明らかにする
・HCC腫瘍間でのACSS1とACSS2の不均一な発現を分析
・低酸素状態下でのネズミとヒトのHCCサンプルにおけるACSS1の誘導

Summary
ACSS1はヒトHCCの低酸素状態下での腫瘍の増殖ならびに悪性度malignancyと関連する



[肝細胞癌]
 CB1↑→脂質合成↑

[肝細胞癌]
 酢酸─(ACSS1↑)→脂質合成↑