Three months of intensive insulin therapy equal to 15 months of intensive oral therapy and may protect insulin-producing beta cells
October 17, 2015
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/10/151017152227.htm
新規に2型糖尿病と診断された23人によるパイロットスタディで、早期のインスリンによる治療は経口薬による治療と同等に有効であり、インスリンを作る能力を改善する可能性もあることが明らかになった
現在の標準治療では、最初に経口薬(メトグルコ)で肝臓によるグルコース産生を抑制するよう求められている
それとは対照的に、インスリンは人体がグルコースを使えるようにすることで血糖値が高くなり過ぎないようにするホルモンである
インスリンを早く使うとより効果的な治療となり、代謝的な副作用も少なくなる
オハイオ大学と、ウェスタン健康科学大学・骨疾患学カレッジ/College of Osteopathic Medicineの研究者は、この最新のupdated研究成果をフロリダ州オーランドで開かれているOMEDカンファレンスで10月17日に発表する予定である
※American Osteopathic Association (AOA) Osteopathic Medical (OMED) Conference
15ヶ月の無作為化試験randomized controlled trialの結果、インスリン治療群のA1Cは10.1%から6.7%に改善し、経口治療群では9.9%から6.8%に低下した
インスリン治療群は重度の低血糖もなく忍容性も良好well toleratedで、体重も平均5ポンド(約2.3kg)減少したが、経口治療群は体重が増加した
※1ポンド=0.4536kg
「両グループでのグルコース改善はかなり似たようなものrelatively comparableだったが、
我々の結果は早期のインスリン治療が膵臓の自然なインスリン分泌能力を改善できるという考えを支持する」
筆頭著者のJay Shubrook, DO(Doctor of Osteopathy)は言う
「これはおそらく早期のインスリン治療がグルコースに応答してインスリンを作るβ細胞を保護するためだろう」
2014年にCell Metabolismで発表された別の研究から(※)、
このメカニズムはβ細胞の再分化/re-differentiationであるようだとShubrookは言う
※http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24746806
"Pancreatic β cell dedifferentiation in diabetes and redifferentiation following insulin therapy."
Shubrookは今回の研究の限界について
そのサイズと重度の肥満(BMIが40以上)と考えられる参加者の数について記している
そのような限界にもかかわらず、
今回の研究は糖尿病と新たに診断された患者の治療結果の改善について新たな手がかりcluesをもたらすものである
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24746806
Pancreatic β cell dedifferentiation in diabetes and redifferentiation following insulin therapy.
Highlights
・長期の糖毒性glucotoxic糖尿病では、β細胞のインスリン量が減少する
・糖尿病では、β細胞はニューロジェニン3陽性/インスリン陰性へ脱分化する
・血糖の正常化後(脱分化したβ細胞は)インスリン陽性β細胞に再分化する
Summary
糖尿病は糖毒性によるβ細胞の機能ならびにインスリン量の喪失が特徴である
我々はβ細胞の非興奮性(KATP機能獲得)によりインスリン分泌ができないマウスモデルの研究により、糖尿病の発症を実証し、ヒトの新生児糖尿病の特徴を再現するreiterates
糖尿病状態のβ細胞は成熟したアイデンティティを喪失し、ニューロジェニン3陽性/インスリン陰性の細胞に脱分化する
細胞系統追跡実験では、インスリン治療による血糖の低下後、脱分化したβ細胞は成熟したニューロジェニン3陰性/インスリン陽性の細胞に再分化する
我々はβ細胞はアポトーシスではなく脱分化がインスリン陽性細胞喪失の主なメカニズムであり、再分化はインスリン量回復ならびに抗糖尿病薬への応答性responsivityの原因であることを実証する
これらの結果は、長期の糖尿病でβ細胞量が徐々に減少することやインスリン治療後にβ細胞機能ならびに薬への応答性が回復することについての説明を助け、
さらに、『疲弊』したβ細胞を助けるアプローチをも示唆するものである
関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150923134207.htm
ヒトの成体の膵臓では発現しないと思われていたニューロジェニン3/NGN3が、消化酵素を分泌する外分泌腺の細胞exocrine cellsで発現していた
NGN3を発現する細胞は、ヒトとマウスの外分泌『前駆体細胞』の特徴に極めて一致していた
この『前駆体細胞』は、膵島という膵臓組織の細胞のみを生じ、そして膵島の細胞の全てに分化する
http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0133862
Neurogenin 3 Expressing Cells in the Human Exocrine Pancreas Have the Capacity for Endocrine Cell Fate.
ヒトの膵臓の外分泌腺でニューロジェニン3を発現する細胞は、内分泌細胞に分化する能力を持つ
関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/82f7c3a7cfab9d357ba28ebd02a421bb
α細胞からβ細胞へ、β細胞からδ細胞へのtransdifferentiation(分化転換)
関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/21d0fd40e16dc12a2751eb54ade553d7
若い時に限って、δ細胞はβ細胞に変換することができるようだ
関連サイト
http://www.cell.com/cell/abstract/S0092-8674(12)00940-3
Pancreatic β Cell Dedifferentiation as a Mechanism of Diabetic β Cell Failure
糖尿病のベータ細胞欠乏のメカニズムは、ベータ細胞の脱分化
Highlights
・アポトーシスではなく脱分化Dedifferentiationがβ細胞欠乏failureの主な原因
・FoxO1は、β細胞が代謝性ストレスに適応adaptation to metabolic stressする間に、β細胞の運命を強制するenforce
・脱分化したβ細胞は、α細胞、δ細胞、Pp細胞に変換する傾向がある
Summary
FoxO1は、β細胞の増殖を、適応的β細胞機能と結びつけるintegrates
我々はβ細胞でFoxO1を欠損させたマウスを使い、これら二つのプロセスがβ細胞の機能不全に寄与するのかを調べた
FoxO1の除去ablationは、
多産multiparityと加齢のような生理ストレスphysiologic stressの後に、β細胞量の減少をともなう高血糖を引き起こした
驚いたことに、
β細胞量の喪失はβ細胞の細胞死ではなく脱分化によることが系統lineage追跡実験で実証された
脱分化したβ細胞は前駆体様の細胞に逆戻りし、その細胞はニューロジェニン3/Neurogenin3, Oct4, Nanog, L-Mycを発現していた
FoxO1欠損β細胞のサブセットはα細胞の運命を受け入れadopt、その結果として高グルカゴン血症になった
印象的だったのはStrikingly、
異なるマウス糖尿病モデルの特徴featureとして同じイベントの連続sequenceを同定したことである
我々は、β細胞欠乏の自然な経過において内分泌細胞の死ではなく脱分化が中心であることを提案する
そしてβ細胞の機能不全の治療は、β細胞の増殖ではなく、脱分化を回復すべきであることを示唆する
October 17, 2015
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/10/151017152227.htm
新規に2型糖尿病と診断された23人によるパイロットスタディで、早期のインスリンによる治療は経口薬による治療と同等に有効であり、インスリンを作る能力を改善する可能性もあることが明らかになった
現在の標準治療では、最初に経口薬(メトグルコ)で肝臓によるグルコース産生を抑制するよう求められている
それとは対照的に、インスリンは人体がグルコースを使えるようにすることで血糖値が高くなり過ぎないようにするホルモンである
インスリンを早く使うとより効果的な治療となり、代謝的な副作用も少なくなる
オハイオ大学と、ウェスタン健康科学大学・骨疾患学カレッジ/College of Osteopathic Medicineの研究者は、この最新のupdated研究成果をフロリダ州オーランドで開かれているOMEDカンファレンスで10月17日に発表する予定である
※American Osteopathic Association (AOA) Osteopathic Medical (OMED) Conference
15ヶ月の無作為化試験randomized controlled trialの結果、インスリン治療群のA1Cは10.1%から6.7%に改善し、経口治療群では9.9%から6.8%に低下した
インスリン治療群は重度の低血糖もなく忍容性も良好well toleratedで、体重も平均5ポンド(約2.3kg)減少したが、経口治療群は体重が増加した
※1ポンド=0.4536kg
「両グループでのグルコース改善はかなり似たようなものrelatively comparableだったが、
我々の結果は早期のインスリン治療が膵臓の自然なインスリン分泌能力を改善できるという考えを支持する」
筆頭著者のJay Shubrook, DO(Doctor of Osteopathy)は言う
「これはおそらく早期のインスリン治療がグルコースに応答してインスリンを作るβ細胞を保護するためだろう」
2014年にCell Metabolismで発表された別の研究から(※)、
このメカニズムはβ細胞の再分化/re-differentiationであるようだとShubrookは言う
※http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24746806
"Pancreatic β cell dedifferentiation in diabetes and redifferentiation following insulin therapy."
Shubrookは今回の研究の限界について
そのサイズと重度の肥満(BMIが40以上)と考えられる参加者の数について記している
そのような限界にもかかわらず、
今回の研究は糖尿病と新たに診断された患者の治療結果の改善について新たな手がかりcluesをもたらすものである
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24746806
Pancreatic β cell dedifferentiation in diabetes and redifferentiation following insulin therapy.
Highlights
・長期の糖毒性glucotoxic糖尿病では、β細胞のインスリン量が減少する
・糖尿病では、β細胞はニューロジェニン3陽性/インスリン陰性へ脱分化する
・血糖の正常化後(脱分化したβ細胞は)インスリン陽性β細胞に再分化する
Summary
糖尿病は糖毒性によるβ細胞の機能ならびにインスリン量の喪失が特徴である
我々はβ細胞の非興奮性(KATP機能獲得)によりインスリン分泌ができないマウスモデルの研究により、糖尿病の発症を実証し、ヒトの新生児糖尿病の特徴を再現するreiterates
糖尿病状態のβ細胞は成熟したアイデンティティを喪失し、ニューロジェニン3陽性/インスリン陰性の細胞に脱分化する
細胞系統追跡実験では、インスリン治療による血糖の低下後、脱分化したβ細胞は成熟したニューロジェニン3陰性/インスリン陽性の細胞に再分化する
我々はβ細胞はアポトーシスではなく脱分化がインスリン陽性細胞喪失の主なメカニズムであり、再分化はインスリン量回復ならびに抗糖尿病薬への応答性responsivityの原因であることを実証する
これらの結果は、長期の糖尿病でβ細胞量が徐々に減少することやインスリン治療後にβ細胞機能ならびに薬への応答性が回復することについての説明を助け、
さらに、『疲弊』したβ細胞を助けるアプローチをも示唆するものである
関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150923134207.htm
ヒトの成体の膵臓では発現しないと思われていたニューロジェニン3/NGN3が、消化酵素を分泌する外分泌腺の細胞exocrine cellsで発現していた
NGN3を発現する細胞は、ヒトとマウスの外分泌『前駆体細胞』の特徴に極めて一致していた
この『前駆体細胞』は、膵島という膵臓組織の細胞のみを生じ、そして膵島の細胞の全てに分化する
http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0133862
Neurogenin 3 Expressing Cells in the Human Exocrine Pancreas Have the Capacity for Endocrine Cell Fate.
ヒトの膵臓の外分泌腺でニューロジェニン3を発現する細胞は、内分泌細胞に分化する能力を持つ
関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/82f7c3a7cfab9d357ba28ebd02a421bb
α細胞からβ細胞へ、β細胞からδ細胞へのtransdifferentiation(分化転換)
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http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/21d0fd40e16dc12a2751eb54ade553d7
若い時に限って、δ細胞はβ細胞に変換することができるようだ
関連サイト
http://www.cell.com/cell/abstract/S0092-8674(12)00940-3
Pancreatic β Cell Dedifferentiation as a Mechanism of Diabetic β Cell Failure
糖尿病のベータ細胞欠乏のメカニズムは、ベータ細胞の脱分化
Highlights
・アポトーシスではなく脱分化Dedifferentiationがβ細胞欠乏failureの主な原因
・FoxO1は、β細胞が代謝性ストレスに適応adaptation to metabolic stressする間に、β細胞の運命を強制するenforce
・脱分化したβ細胞は、α細胞、δ細胞、Pp細胞に変換する傾向がある
Summary
FoxO1は、β細胞の増殖を、適応的β細胞機能と結びつけるintegrates
我々はβ細胞でFoxO1を欠損させたマウスを使い、これら二つのプロセスがβ細胞の機能不全に寄与するのかを調べた
FoxO1の除去ablationは、
多産multiparityと加齢のような生理ストレスphysiologic stressの後に、β細胞量の減少をともなう高血糖を引き起こした
驚いたことに、
β細胞量の喪失はβ細胞の細胞死ではなく脱分化によることが系統lineage追跡実験で実証された
脱分化したβ細胞は前駆体様の細胞に逆戻りし、その細胞はニューロジェニン3/Neurogenin3, Oct4, Nanog, L-Mycを発現していた
FoxO1欠損β細胞のサブセットはα細胞の運命を受け入れadopt、その結果として高グルカゴン血症になった
印象的だったのはStrikingly、
異なるマウス糖尿病モデルの特徴featureとして同じイベントの連続sequenceを同定したことである
我々は、β細胞欠乏の自然な経過において内分泌細胞の死ではなく脱分化が中心であることを提案する
そしてβ細胞の機能不全の治療は、β細胞の増殖ではなく、脱分化を回復すべきであることを示唆する