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Notch阻害剤に例外的な反応を示した患者のゲノミクス

2015-10-11 06:38:34 | 癌の治療法
From molecular case studies: Genomics of exceptional responder to NOTCH inhibitor

October 6, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/10/151006123752.htm


(患者の骨髄の組織学的染色histology stainingの画像(左)、治療の4週後(中)、7週後(右)
治療前は主に白血病芽球だったが、治療後は消えている)


T細胞の発達にはNotchシグナルが必要だが、過剰な活性化は癌につながる
γ-セクレターゼ阻害剤/GSIのようなNotch阻害剤が現在様々な種類の癌に対して試験中だが、臨床的寛解の報告はまだこれからであるyet

新しい論文で著者らは、急性リンパ芽球性白血病acute lymphoblastic leukemia (ALL) 患者をBMS-906024というGSIで治療し、完全寛解complete remissionに至った結果を説明する
これはGSIがALLや他の癌に対して有望な治療であることを示唆する


53歳の男性患者が初期前駆T細胞型の急性リンパ芽球性白血病/early T-cell precursor leukemia (ETP-ALL) と診断されたが、あらゆる化学療法に応答しなかった
彼は再発時にDana-Farber Cancer Instituteによって診察され、Notch阻害剤のBMS-906024の臨床試験に登録された
彼は3サイクルの造血幹細胞移植の後に急速に回復を示し始め、癌の徴候はこれまで19ヶ月間見られていない

彼の例外的な反応exceptional responseに対する遺伝的基盤を確かめるため、
Dana-Farber Cancer Institute、Stanford University、Brigham and Women's Hospitalの研究者たちは白血病細胞のエキソームシーケンシングを実施した
分析の結果、癌の進行を促進する可能性がある4つの変異を同定し、その中にはNOTCHシグナル伝達を過剰に活性化するNOTCH1遺伝子の新たな変異が含まれていた
さらに、この変異遺伝子コピーは重複duplicatedしてもいたために、癌ゲノムでの発現は上昇していた
GSIでの治療後、寛解した骨髄ではNOTCH1変異と他の2つの変異はなくなっていた


著者らが患者の白血病細胞を培養してGSIに対する分子レベルでの反応を調べた結果、変異NOTCH1タンパク質のレベルが著しく低下していた
RNA-seq分析ではNotchの標的遺伝子は治療に感受性があることが実証された
しかし興味深いことにMYCはGSIに対して感受性はなく、
エピジェネティック分析ではMYC発現を促進するエンハンサーは白血病細胞ではNotchではなくBRD4に依存していた
これはMYCを発現する腫瘍に対する別の治療選択肢の可能性を示唆する


http://dx.doi.org/10.1101/mcs.a000539
Complete hematologic response of early T-cell progenitor acute lymphoblastic leukemia to the γ-secretase inhibitor BMS-906024: genetic and epigenetic findings in an outlier case.



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/efa9b37871681a6a0d8a0b3bf923aa85/
白血病でBRD4によって制御される特に重要な遺伝子はMYCという癌遺伝子である
BRD4阻害剤はMYCを停止させ、それにより白血病細胞は死ぬか正常な血球へ発達する



関連サイト
http://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/33000
初期前駆T細胞(ETP)型の小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)は、標準的な化学療法を用いる治療では予後不良である。
全ゲノム塩基配列解読法による分析の結果、サイトカイン受容体およびRasシグナル伝達を調節する遺伝子の活性化変異、造血を損なう変異(その多くは新規のキメラ型インフレーム融合遺伝子を生み出す染色体再編成から生じる)、およびヒストン修飾にかかわる遺伝子の不活性化変異の頻度が高いことが明らかになった。
 
 

ウイルスによる遺伝子治療は再発膠芽腫の生存を改善する

2015-10-11 06:35:22 | 癌の治療法
Gene therapy doubles survival in recurrent glioblastoma

October 1, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/10/151001154107.htm

ウイルスベクターのVB-111による膠芽腫に対する遺伝子治療の臨床試験フェーズIIの最終結果が発表された
今回の試験にはテキサス大学ヘルスサイエンスセンターのがん治療研究センター/Cancer Therapy & Research Center/CTRCのほか3箇所から再発膠芽腫の患者62名が登録された
アバスチン/ベバシズマブ(VEGF阻害剤)単独では生存が平均8ヶ月だったのに対して、VB-111では平均15ヶ月生存した

VB-111は膠芽腫glioblastomaの全生存率を改善し、安全で忍容性が高いwell-toleratedことに加えて、再発した膠芽腫に対して有効であり、かつアバスチンと組み合わせても有効であることが証明された

※tolerability: 忍容性


VB-111は腫瘍の血管新生の能力を阻害することで腫瘍を効果的に飢えさせ、しかもそのプロセスは腫瘍自身が分泌する因子によって活性化されて開始される
VB-111は2ヶ月に1度静脈内に注入/静注されるだけなので使い勝手が良いconvenient

最も頻度の高い副作用は発熱であり、注入後1日から2日間続く
これは免疫系の関与を示唆するとBrenner博士は言う

VB-111は現在アメリカとヨーロッパではオーファンドラッグ状態である



関連サイト
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3374632/
>VB-111 is a nonreplicative adenovirus engineered to express the chimerical receptor (Fas-c) gene under the regulation of a modified preproendothelin-1 (PPE-1) promoter (Ad-PPE-Fas-c).4,5 This modification results in specific expression of Fas-c transgene in endothelial cells (ECs) of angiogenic blood vessels, resulting in attenuation of tumor blood supply.
(VB-111は複製不可能なアデノウイルスであり、修飾されたプレプロエンドセリン-1 (PPE-1) プロモーターの調節下においてFas-c受容体の遺伝子を遺伝子工学により発現させる
これによりFas-cを血管形成の血管内皮細胞に特異的に発現させ、腫瘍への血液供給を抑制する)