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ミトコンドリアとNKT細胞の活性化

2015-09-25 06:28:56 | 免疫
Novel role of mitochondria identified in immune function

September 18, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150918083115.htm

スクリップス研究所/The Scripps Research Institute (TSRI) の研究者は、RIPK3というキナーゼの新しい役割を発見した
RIPK3はネクロプトーシスという細胞死に関与することが知られているが、ミトコンドリアと免疫系との間のシグナルも中継する
今回の研究は、このクロストークが腫瘍への免疫応答を開始するために重要であるだけでなく、自己免疫疾患につながるような炎症応答の調節にとっても重要であることを示す


RIPK3はネクロプトーシス/necroptosisと呼ばれる細胞死を制御し、ネクロプトーシスは有害な変異や感染から人体を守っている
しかしながら、RIPK3の免疫系における役割を完全には理解されていなかった

RIPK3を欠損するマウスで実験したところ、RIPK3はNKT細胞の活性化を調節することがわかった
NKT細胞は自己免疫疾患の発症と癌の破壊の両方に関わる免疫細胞である

RIPK3はネクロプトーシスを直接は引き起こさず、
代わりにRIPK3はミトコンドリアの酵素であるPGAM5の活性を調節してNKT細胞で炎症性サイトカインの発現を引き起こす

科学者たちの知る限り、これはミトコンドリアとNKT細胞との間の経路を示す初めての研究である
この経路を理解することでNKT細胞をうまく制御して腫瘍を攻撃する方法を開発できるかもしれない

また、今回の研究はこの経路に介入interveneして炎症を抑制する方法の存在を示唆する
実際、RIPK3を欠損させたマウスまたは阻害したマウスは急性肝臓障害の誘導から保護された


http://dx.doi.org/10.1038/ncomms9371
Regulation of NKT cell-mediated immune responses to tumours and liver inflammation by mitochondrial PGAM5-Drp1 signalling.

Abstract
RIPK3キナーゼはNKT細胞のサイトカイン産生機能にとって重要だが、それはPGAM5ミトコンドリアホスファターゼの活性化を介する

RIPK3: receptor-interacting protein kinase 3
PGAM5: mitochondrial phosphatase phosphoglycerate mutase 5
※PGAM5はムターゼmutaseという名称だが、ムターゼとしての活性はなくホスファターゼとして機能する

RIPK3によって仲介されるPGAM5の活性化は、NFATの核への移行ならびにDrp1の脱リン酸化によってサイトカインの発現を促進する
(Drp1はミトコンドリアの恒常性homoeostasis/homeostasisにとって重要なGTPアーゼ)

Ripk3−/−マウスは転移腫瘍細胞に対するNKT細胞の反応が低下し、
RIPK3の欠失deletionならびにDrp1の薬理学的阻害はどちらもNKT細胞を介する急性肝障害の誘導からマウスを保護する

※実験ではα-ガラクトシルセラミド/α-galactosyl ceramide/α-GalCerによってNKT細胞を活性化させて、サイトカイン(IFN-γ, TNF, IL-4)を発現させている

まとめると、今回の研究はNKT細胞の活性化においてRIPK3-PGAM5-Drp1/NFATシグナル伝達に関する重要な役割を同定するものであり、
さらに、RIPK3-PGAM5シグナル伝達がミトコンドリア機能と免疫シグナル伝達との間のクロストークを仲介することを示唆する


Results
TCR signalling regulates RIPK3-mediated NKT cell activation

T細胞受容体/TCRを介するPLCγとVav-1シグナル伝達は、TGF-β-activated kinase 1 (TAK1) を活性化させる
TAK1は、T細胞の発達と活性化の調節に関してTCRシグナル伝達を統合する際に関与する
TAK1はRIPK3の上流に作用してその活性を調節し(47、そしてTAK1の活性化にはアダプタータンパク質のTAK1-binding protein 2 (TAB2) が必要である(48, 49


まとめると、今回の結果はT細胞受容体に依存的なRIPK3-PGAM5-Drp1シグナル伝達がNKT細胞を介する免疫応答に深く関与する (Fig. 9i) ことを示す
このシグナル伝達の中心軸/axisにはPLCγ, Vav-1, TAB2が必要であり、このシグナル伝達はNFATの核移行とDrp1の脱リン酸化を促進することにより炎症性サイトカインの発現を誘導する

PGAM5はミトコンドリアの外膜に局在することを考慮すれば、我々の研究結果はこのホスファターゼが
癌や急性の炎症性疾患のような疾患における
NKT細胞のミトコンドリア機能とサイトカイン産生との間のクロストークの調整において
重要な役割を演じることを示唆する



Figure 9

(i) A model of RIPK3-PGAM5-Drp1-mediated NKT cell activation.

[NKT細胞]
 T細胞受容体→カルシニューリン,RIPK3→NFAT,Drp1→サイトカイン産生
 


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http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/4229f11c7beae7aa3401732c2526dc74
高脂肪に加えてコリンが不足した食生活を続けていると、NKT細胞が分泌するLIGHT(TNFSF14)が脂肪肝を引き起こし、CD8T細胞とNKT細胞が肝細胞を傷害して炎症が起きる



関連サイト
http://first.lifesciencedb.jp/archives/9449
RIPK3はネクローシスに非依存的にサイトカインの産生および組織の修復を促進する
 

関連サイト(pdf)
http://www.astellas.com/jp/byoutai/other/reports_h21/pdf/14_imai.pdf
パーキンソン病原因遺伝子産物PGAM5がミトコンドリアの機能を維持する分子メカニズムの研究