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腸内細菌の増殖速度を計測する

2015-09-11 06:36:54 | 腸内細菌
How does your microbiome grow?

Reproduction rates of bacteria in gut may be a good indicator of health or disease

September 2, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150902093256.htm

(極端に食事を変化させた被験者で細菌の増殖速度を計算した
食事法の変化により細菌の増殖速度ダイナミクスに全体的な変化が観察された
 上段: 平均
 下段: 特定の種類
 赤の方が増殖が速い)

腸内細菌が健康に与える影響について、新たな視点からのアプローチをワイズマン研究所の科学者がScienceで報告している
それは、様々な細菌の増殖速度を評価する方法である
この方法は既に細菌の増殖速度と2型糖尿病や炎症性腸疾患との興味深い関連を明らかにしている

このコンピュータによる新たな分析手法は、単一のサンプルによる静的な『スナップショット』から増殖のようなダイナミックなプロセスを明らかにするものであり、ゆえに診断法と新しい研究法の両方と関連するだろう


コンピューターサイエンス・応用数学部のEran Segal教授のラボは免疫学部のEran Elinav博士のラボと協力して、まず現在多くの微生物研究で使われている次世代ゲノムシーケンシング技術advanced genomic sequencing techniquesから研究を始めた
これはすべての細菌DNAを配列決定/sequencingして、短い配列から細菌の種類とその相対量relative abundanceを描き出す

しかしワイズマン研究所の研究チームは、このシーケンシング技術が持つもう一つの『情報』を明らかにした

「サンプルの細菌は、どの細菌が最善を尽くしているかを明らかにする:
つまり、増殖できるようにゲノムを複製しているかどうかである」
Segalは言う

「そのため、細菌のほとんどは1つ以上のゲノムを持つ
例えば、ゲノム1つともう半分だったり、ゲノム1つと4分の3を持つ」

ほとんどの細菌株は、前もってプログラムされた『開始』配列と『終了』配列を持っている
そのため、研究チームはサンプルで最も優勢prevalentな短い配列として『開始』箇所を同定することが可能だった
最も優勢prevalentではない、ゲノムのもう片方の末端は、DNAが最後に複製される場所である
研究者は、『開始DNA』と『終了DNA』の相対量relative amountsが個々の細菌株の増殖速度に変換できることを発見した


研究グループはこの公式化formulationをまずコントロールと観察がしやすい単一の細菌株で実験し、
次に複数の動物モデル系で行い、最後にヒトの微生物叢のDNAシーケンシングでテストした
彼らの方法は予想以上にうまくいった
推定される細菌の増殖速度は、観察された増殖率とほとんど同一であると判明した

「我々は今や微生物叢のダイナミクスがどれほど疾患への傾向と関連するのかについて述べることができる
微生物の増殖速度は他のどんな分析法でも明らかにできなかった我々の健康についての事柄を明らかにする」

例えば、ヒトの微生物叢のデータの検査では特定の細菌の増殖速度の変化が2型糖尿病と独特のuniquely関連があることを明らかにした
別の変化は炎症性腸疾患と関連があった

これらの関連は将来、疾患の検出や病原体感染の早期診断、プロバイオティクスや抗生物質の効果を判定するためのツールとして使える可能性がある
さらに、科学者たちはこの微生物叢の新たな理解が我々とその健康の内にある複雑でダイナミックな生態系ecosystemとの関連についてのさらなる研究の促進につながると考えている


http://dx.doi.org/10.1126/science.aac4812
Growth dynamics of gut microbiota in health and disease inferred from single metagenomic samples.

Abstract
今回我々は、様々な細菌メタゲノムシーケンシング読み取り深度のパターンthe pattern of metagenomic sequencing read coverage for different microbial genomesには、単一の溝troughと単一の頂点peakが含まれていることを示す
後者は細菌の『複製起点origin of replication』の配列と一致する

さらに、シーケンシング範囲での頂点と溝との間の比率は、種speciesの増殖速度を定量化する方法を提供する

いくつかの細菌の種類に関しては、相対量relative abundancesではなく、頂点と溝の読み取り深度比率peak-to-trough coverage ratiosが、
炎症性腸疾患ならびに2型糖尿病の徴候/症状発現manifestationと相関する

※coverage: 「次世代シーケンサー関係の英語の文献や話題を追っていると,よくcoverageという単語が出てきます.coverageはどう和訳するべきなのでしょうか?


Editor's Summary
シーケンシング読み深度のパターンが細菌の増殖速度を反映するのは、細菌のゲノムが円形circularであり、複製起点が一つだからである
 


微生物と遺伝と食事の相互作用が肥満につながる

2015-09-11 06:27:18 | 腸内細菌
Genetic factors drive roles of gut bacteria in diabetes, obesity

Study examines how bacterial, mammalian genomics interact to boost insulin resistance, other metabolic disorders

September 3, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150903131728.htm

消化管内の無数の細菌はヒトの代謝に大きく関与していて、それらは2型糖尿病や肥満、メタボリック症候群のリスクと関連がある
糖尿病や肥満のヒトと動物モデルはそうでないものとは異なる腸内細菌を持ち、科学者が微生物を肥満のヒトや動物から無菌動物に移植するとレシピエントは肥満や糖尿病にかかりやすくなる

Cell Metabolismで報告されたジョスリンのマウスを使った研究は、
宿主の遺伝子がどのように微生物の遺伝子と相互作用してそのような病態を作り出すのかを明らかにしたと
ハーバード・ジョスリンのKahn博士は言う

研究の結果、
遺伝的に肥満になりやすいマウスの系統は、
単に腸内微生物を別のマウスの環境と共有することによりその腸内微生物集団が変化するだけで
過剰な体重増に対して抵抗するようになるという

また、ジョスリンの科学者は
糖尿病や肥満、それと関連するメタボリック症候群に正または負の影響を与えるように思われる特定の細菌株を同定することに成功した
そしてそれは部分的には、ホストの動物の遺伝子構成に依存するという


ジョスリンの科学者は、3つの一般的なマウスモデル
 肥満と糖尿病の両方になりやすいマウス
 肥満になりやすいが糖尿病にはなりにくいマウス
 肥満にも糖尿病にもなりにくいマウス
は、腸内の微生物が初めから非常に異なることを発見した

マウスに高脂肪食を与えると、それらのマウスのすべてで腸内の微生物集団が劇的な変化を示す
やがてこれらの微生物集団は、同じ動物施設facilityで維持されているそれらのマウスとその子孫のすべてで似たようなものになる

ジョスリンの研究者は
3つのマウスモデルの世代を新しく育て、
それらのマウスから採取した微生物を無菌マウスに与えて
ドナーと同じように肥満や糖尿病になりやすいかどうかをテストした

微生物を移植したあと、糖尿病になりにくいマウスの中には、体重が増えて血糖レベルが上昇するものがあった
しかし別のマウスでは
「代謝的に悪い細菌でさえ、問題を引き起こさなかった」
とKahn博士は言う
「それらが問題になったのは、その細菌が増殖して影響を引き起こすような感受性をマウスが遺伝的に持つ場合だけだった」


研究で使われたDNAシーケンサーは3000種の細菌をマウスの腸内に同定し、その中でも約300種が比較的多かった
シーケンシングにより特定の細菌株の集団が実験の状況下でどれぐらい変化するかを定量化することが可能になり、
それにより研究者はマウスの障害との関連を探すことが可能になった

この分野の実験では概して個々の細菌株についてではなく細菌グループの役割を分析することが多い
しかしジョスリンの研究者は、肥満や高血糖のような状況と強く相関する特定の細菌株に焦点を絞った
それらの状態を引き起こすのを促進することが示唆されるような細菌株についてである


ジョスリンのチームは、無菌マウスに個々の細菌株のいくつか与えてインスリン感受性や代謝性パラメーターの変化を促進するかどうかを調べようと計画している
また、マウスに抗生物質を与えるなどして微生物集団を変化させた結果を調査したいとしている


http://dx.doi.org/10.1016/j.cmet.2015.07.007
Interactions between Gut Microbiota, Host Genetics and Diet Modulate the Predisposition to Obesity and Metabolic Syndrome.
腸内微生物、ホストの遺伝的特徴、そして食事は、肥満と代謝性症候群への素因を調整する


Highlights
・ホストの遺伝的特徴は、高脂肪食に応じた腸内微生物の変化を決定する
・環境的な履歴historyは、腸内微生物ならびに食事による変化への応答に対して強い影響を与える
・Specific bacterial taxa correlate with metabolic phenotypes within and across strains
・Diet, host genetics, and gut microbiota interact in development of metabolic syndrome

Summary
3つの同系交配系inbred strainsのマウス

※近交系: 近親交配を繰り返して作り上げた動物系統


肥満と糖尿病になりやすいマウス
obesity/diabetes-prone C57Bl/6J mice

肥満にも糖尿病にもなりにくいマウス@ジャクソン研究所
obesity/diabetes-resistant 129S1/SvImJ from Jackson Laboratory

肥満にはなりやすいが糖尿病にはなりにくいマウス@タコニック
obesity-prone but diabetes-resistant 129S6/SvEvTac from Taconic

そしてこれらの系統から新たに一般的な環境で作られた3つの派生系統derivative lines


これら全ての系統ならびに環境的に正常化された派生系統の代謝的パラメーターならびに腸内微生物の分析により、
腸内微生物、食事、育成場所、代謝的表現型の強い相互作用が明らかになった

系統依存的な相関ならびに系統に依存しない相関が特定の微生物と表現型との間に見られ、
それらのいくつかは糞便移植により無菌マウスレシピエントに移行することが可能だった

微生物の環境再プログラムにより、肥満になりやすい129S6/SvEvTacは、肥満に抵抗性になった


ゆえに、肥満/代謝性症候群の発症は、腸内微生物とホスト遺伝的特徴と食事の相互作用の結果である
許容的な(細菌が育つことが許される)遺伝的背景permissive genetic backgroundsならびに微生物の環境的再プログラムは、代謝性症候群の発症を緩和しうる



関連サイト
http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=50877&-lay=lay&-Find
>魚油の利点は腸内細菌が媒介している?