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乳癌幹細胞は正常な幹細胞からは生じない

2015-09-07 06:02:04 | 
Variations in cell programs control cancer and normal stem cells

September 3, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150903121944.htm

(乳腺を再構成する際に乳腺幹細胞と乳癌幹細胞が利用する『上皮間葉転換(EMT)を誘導する転写因子』は異なっていて、
しかも両者は異なる細胞状態で存在する
正常な乳腺幹細胞は、幹細胞性stemnessを維持するためにSlugというEMT誘導転写因子に依存し、細胞の状態は上皮細胞でもあり間葉系細胞でもある
対照的に乳癌幹細胞は、原腸形成gastrulationのEMT誘導転写因子であるSnailを発現し、ずっと間葉系に近い状態である)


ホワイトヘッド研究所によると、乳癌幹細胞と正常な幹細胞は異なるタイプの細胞から生じる
それらが利用するtap into幹細胞プログラムは、異なってはいるが関連するものであるという


腫瘍の源となる細胞tumor-initiating cellsは、転移の種を体中にまいて再発を引き起こす
この源の細胞が、幹細胞、特に癌幹細胞と言われるものであるかどうかが議論されてきた
この疑問は純粋に意味論である
つまり、それら細胞のアイデンティティと細胞内部の活動についての科学者の理解を表している

「我々の研究は、正常な幹細胞プログラムと癌幹細胞プログラムとの間の関係を初めて確定した
乳腺の状況に限ってではあるが」
ホワイトヘッド研究所の設立関係者Founding MemberであるRobert Weinbergは言う

「少なくとも乳腺においてはこの関係は十分確実なものであり、乳腺は他の上皮組織にとって非常に良いモデルであると思われる
腫瘍の源となる細胞は実際に癌幹細胞であるが、癌幹細胞は正常な幹細胞からは生じない」
Weinbergラボの発見はNatureで発表される


ラボの以前の研究で、
 癌幹細胞は上皮間葉転換/EMTを経た後に現れるものであり、
 EMTは新しい腫瘍の種をまくために必要な運動性motilityと柔軟性flexibilityを細胞に与える
ことが証明されている
さらに、EMTは細胞に通常の化学療法に抵抗する能力をもたらす


筆頭著者のXin Yeはマウスモデルを使って、正常な乳腺と癌の乳腺の中でどの細胞が、
互いに関連するマスター調節因子のSnailとSlugを発現するのかを示した
どちらも幹細胞の性質を乳腺細胞にもたらすが、
Slugは、その(乳腺の)部分に関しては、悪性度の高い癌と関連する間葉系細胞的な性質を特に強力に誘導する


Yeは、乳腺組織の異なる層で異なるタイプの細胞が発現し、これらのマスター調節因子によって影響されることを確定した

Slugは乳房組織において乳腺の再構築活性を調節するが、
Slugは乳管mammary ductの基底層basal layerで見られる正常な幹細胞において高レベルで発現している

Snailはショウジョウバエの胚発達の状況で初めて発見された因子である
Snailは乳管の管腔層luminal layerの腫瘍の源となる細胞で発現されている
Snailは悪性の性質を癌細胞に与えるが、
Slugは正常な発現レベルの時はそのようなことはできない


「Snailが陽性の癌幹細胞は、正常な幹細胞を内部に持つ細胞とは異なる細胞集団において生じる」
Weinbergは言う
彼はMITの生物学の教授であり、MIT/ルートヴィヒ分子腫瘍学センターのディレクターでもある

「正常な幹細胞は乳管の層の一つに存在するが、癌幹細胞は別の層から生じる
それが意味するのは、癌幹細胞は正常な幹細胞から生じるのではないということだ
これはずっと論議の焦点だったが、我々はついに証拠を得たのだ!」


この癌幹細胞の源についての根本的な洞察insight、そして正常な幹細胞と癌のそれとの間の違いは、新たな癌の治療へとつながる可能性がある

「正常な状態と癌の状態では多くの事柄が異なって調節されることを我々は認識し始めている」
Yeは言う

「癌幹細胞と正常な幹細胞である必要すらまったくない
実際、癌と正常では本当に異なっている
もし違いをうまく認識できれば、この疾患を治療するチャンスを我々は手に入れるだろう」


http://dx.doi.org/10.1038/nature14897
Distinct EMT programs control normal mammary stem cells and tumour-initiating cells.

この考えを支持するように、
我々や他の研究者は
 SlugというEMT誘導転写因子/EMT-TFが、正常な乳腺幹細胞の乳腺再構築活性のマスター調節因子として作用し、
 SlugをSox9とともに乳癌細胞で強制発現させると効率的にTIC/Tumour-initiating cellsの状態への開始を誘導する
ことを確定した(8

※8)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22385965


しかし、これら以前の研究は異種移植モデルと培養細胞系統に焦点を当て、異所性ectopicにEMT-転写因子を発現させたもので、しばしばそれは生理学的レベルではなかった
今回我々は遺伝子工学によるノックインレポーターマウス系統を使った
 


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