機械翻訳2

興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

スタチンで筋肉痛が起きる理由

2015-09-06 06:25:45 | 代謝
Statin side effects linked to off-target reaction in muscle mitochondria

September 1, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150901134944.htm


(スタチンは副作用として筋障害/ミオパチーが起きることが多い。Schirrisらは、スタチンラクトンがミトコンドリア複合体IIIのQo部位を的外れにoff-target標的にすることを明らかにした)

スタチンを服用する人の4分の1に、筋肉痛や硬直stiffness、痙攣cramp、脱力weaknessが起きる

※a cramp in the leg: こむら返り

※weakness: 脱力。随意運動・動作が障害されること



Cell Metabolismの9月1日号でオランダの研究者は、スタチンが的外れな反応を引き起こして筋肉のミトコンドリア機能を混乱させ、これらの副作用を生じる可能性があることをマウスとヒトで示す

「スタチンなど多くの薬剤の副作用はミトコンドリアと関係があるが、その正確なメカニズムは不明だった」
首席著者の一人でオランダのラドバウド大学メディカルセンター・ミトコンドリア病ナイメーヘンセンター/Nijmegen Center for Mitochondrial DisordersのFrans Russelは言う

「今回の研究は筋肉への副作用がない新たなコレステロール低下薬の合成や、これらの影響に拮抗する新たな方法の開発につながる
どちらも現在研究中である」


スタチンは体内で酸型acid formとラクトン型lactone formという2つの形で存在する
酸型のスタチンは肝臓のコレステロール産生を低下させるが、酸型は体内でラクトン型に変化し、ラクトン型は治療的効果がない


Russelは共著者のJan Smeitinkたちとともに、ラクトン型が意図せずunintentionallyミトコンドリアのATP産生に干渉することを発見した
マウスの筋肉においてラクトン型は酸型よりもミトコンドリアの機能を約3倍強く阻害した
この発見はスタチンの副作用に苦しむ患者の筋肉の生検でも確認され、ATPの産生は減少していた
ラクトンはミトコンドリアの酸化的リン酸化経路の一つ、複合体IIIのQo部位を阻害する


「様々なスタチンのミトコンドリアへの影響と、複合体IIIがスタチンの筋障害の予測マーカーとして使えるかについてはさらなる研究が必要だが、
酸型からラクトン型へ変換する酵素の個人差はスタチンによる筋肉痛の感受性の違いの説明となりうるだろう」
Russelは言う


http://dx.doi.org/10.1016/j.cmet.2015.08.002
Statin-Induced Myopathy Is Associated with Mitochondrial Complex III Inhibition
スタチンによる筋障害は複合体IIIの阻害と関連する

Highlights
・ほとんどのスタチンラクトン型は、酸型より強く複合体IIIを阻害する
・複合体IIIのQo部位は、スタチンラクトン型のoff-targetである
・複合体IIIの活性は、スタチンによる筋障害の生じた患者で低下している
・複合体IIIへの電子の流れを集中させることにより阻害は弱まりうる


Summary
スタチンの最も重要な副作用は筋障害myopathyであるが、そのメカニズムは不明だった

C2C12の筋芽細胞myoblastsにおいて、いくつかのスタチンラクトンは呼吸能を低下させ、複合体IIIの活性を強く阻害するようである(84%阻害)
概して、ラクトン型は相応するcorresponding酸型よりも3倍強く細胞毒性cytotoxicityを引き起こす

スタチンラクトンのoff-targetとして複合体IIIのQo部位を同定した

スタチンによる筋障害の生じた患者でも確認され、複合体IIIの活性は18%低下していた

C2C12筋芽細胞における呼吸の阻害は複合体IIIへの電子の流れを集中させることにより弱まり、呼吸はコントロールの89%まで回復した



関連サイト
http://ta4000.exblog.jp/18404873/
>高用量の経口イソトレチノイン治療を受けた患者のうち、2%から5%で関節痛と筋肉痛が起きる可能性がある

>C2C12: マウス由来の筋芽細胞株



https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%93%E3%82%AD%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AB-%E3%82%B7%E3%83%88%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%A0c%E3%83%AC%E3%83%80%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%BC
複合体III

Qo site
 ubiquinol oxidation site
 ユビキノール酸化部位/ ユビキノールが酸化される部位

Qi site
 ubiquinone reduction site
 ユビキノン還元部位/ ユビキノンが還元される部位
 

イルカのメタボが飽和脂肪酸で改善

2015-09-06 06:12:03 | 代謝
Research with dolphins provides hope for prevention of diabetes in humans

A modified diet higher in heptadecanoic acid, a saturated fat present in some fish and butter, reversed metabolic syndrome in dolphins

July 22, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150722144627.htm

オメガ3脂肪酸がヒトの健康サプリメントとして人気があるので、NMMFの研究チームは49頭のイルカとエサの魚で55の脂肪酸を研究した
驚くべきことに、飽和脂肪酸の一つ「ヘプタデカン酸」がイルカの代謝に最も有益な影響があるようだった

National Marine Mammal Foundation/NMMFのVenn-Watsonは言う
「ヘプタデカン酸の血中濃度が最も高かったイルカは、インスリンとトリグリセライドがより低かった」

研究では魚によってヘプタデカン酸の濃度が高いものとそうでないものがあることもわかった


ヘプタデカン酸/マルガリン酸/C17:0の脂肪酸は、魚やチーズ、バター、全脂肪乳に多い
ヘプタデカン酸の摂取は、イルカでのフェリチンferritinの減少ならびにメタボリック症候群の軽減と関連した


ヘプタデカン酸の濃度が低かった6頭のイルカは、この脂肪酸が多い魚を与えられた
メタボリック症候群の指標/indicators、例えばインスリン上昇、グルコース、トリグリセライドは、6ヶ月以内に正常化した

驚くべき結果は高かったフェリチンレベルの低下である
高フェリチンはメタボリック症候群への基本的な前兆underlying precursor to metabolic syndromeである

「この食事を与えると、3週以内に6頭のイルカすべてで血中フェリチンレベルの低下を観察した」
Venn-Watsonは言う


http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0132117
Increased Dietary Intake of Saturated Fatty Acid Heptadecanoic Acid (C17:0) Associated with Decreasing Ferritin and Alleviated Metabolic Syndrome in Dolphins.



関連サイト
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2014/022236.php
飽和脂肪酸でも炭素原子が奇数(15、17)のものの血中比率が高かったグループでは、糖尿病のリスクは低かった。



<コメント>
イルカの代謝はまったくヒトの参考にはならないという話も


http://kettouchi-iji.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/victo.html




なぜランニングをするとハッピーになるのか?

2015-09-06 06:04:55 | 代謝
Why does running make us happy?

September 1, 2015 Source:University of Montreal

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150831085456.htm

「持久運動の報酬効果はrewarding effects of endurance activityは、レプチンによって調整される
レプチンは、ドーパミンニューロンを通じて身体運動physical activityを阻害する」
CRCHUMの研究者であり筆頭著者のStephanie Fultonは言う

レプチンは脂肪組織から分泌され、空腹感feeling of satietyを制御するのを助ける
そしてレプチンは身体活動にも影響する

「脂肪が多いほどレプチンも多く、食べたいという気分になりにくい
我々の発見はレプチンが走る動機付けmotivationにおいても重要な役割を演じることを示す
走ることは食物を探すことにつながる」
Stephanie Fultonは、モントリオール大学の栄養学部Université de Montréal's Department of Nutritionの教授でもある


事実、摂食と運動を調整するホルモンシグナルは近い関係にあると考えられている
哺乳類の持久走能力endurance running capacity、特にヒトのそれは、食料を見つけるチャンスを最大化するために進化してきたと考えられる
今回の研究は、レプチンが
 エネルギーバランスの調節と
 食料を見つけるための身体活動に没頭させるengaging in
その両方で重要な役割を果たすことを示唆する


研究では、レプチンによって活性化される分子のSTAT3を抑制するよう遺伝子を修飾したマウスと、通常のマウスの身体活動を比較した
これらのマウスに回し車を1日7キロメートル走らせた
STAT3は中脳midbrainのドーパミンを作るニューロンで見られる
この『中脳辺縁系のドーパミン作動性経路mesolimbic dopaminergic pathway』は、動機付けを促進する脳内の高速道路のようである

「ドーパミン作動性ニューロンにSTAT3を持たないマウスはかなり多く走るが、
通常のマウスはそれほど活発に走らない
なぜなら、レプチンがドーパミンニューロンのSTAT3を活性化させ、
『体内のエネルギーの蓄えは十分で、これ以上活動して食料を探しに行く必要はない』というシグナルを伝えるからだ」


レプチンはヒトの動機付けにおいても重要なのか?
答えはイエスだ

「これまでの研究でレプチンとマラソンの走る時間marathon run timeの相関が明確に示されている
つまり、レプチンレベルが低いほどパフォーマンスは高い

我々のマウスの研究では、レプチンが身体運動をした時に経験する報酬作用rewarding effectsにも関与することが示唆される
ヒトでは、レプチンレベルの低さは運動の動機付けを増してランナーズハイを得やすくするのだろうと我々は推測している」


マウスやヒトのような哺乳類は一般に、効果的な食料獲得行動に対する報酬returnを増すように進化してきたと考えられている
結局Ultimately、ホルモンは脳に「食べ物が足りない時は、走って追いかけるchase some downのが楽しい」という明確なメッセージを送っているのである


http://dx.doi.org/10.1016/j.cmet.2015.08.003
Leptin Suppresses the Rewarding Effects of Running via STAT3 Signaling in Dopamine Neurons


中脳の腹側被蓋野ventral tegmental area (VTA) のドーパミン作動性ニューロン