機械翻訳2

興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

2014年6月19日

2014-06-25 16:29:46 | 

膵癌の抵抗性メカニズムが特定される



成長と進行のために変異したKrasシグナル伝達に頼っている膵癌腫瘍は、そのKrasシグナルがいきなり強制的に止められても、出来あいの代用物を利用できる。



テキサス大学MDアンダーソン癌センターの研究者は、マウスで膵癌の成長を刺激するためにKras変異をオンにした。

彼らがそれを強制的にシャットダウンすると、腫瘍はKras変異とは独立して再発した。その腫瘍はKrasとは異なる癌遺伝子に依存していた。

再発性腫瘍はKras変異体の代わりに、Yap1という別の既知の癌遺伝子によるシグナル伝達に依存すると判明した。

そのYap1に依存的な腫瘍は、予後不良な膵癌の種類に似ていた。



研究で使われた遺伝子改変マウスモデルは、ドキシサイクリンで処置することによってKrasをオンにして膵癌を発病することができる。

腫瘍はすみやかに発病して、ドキシサイクリン処理の24時間の停止後に消失し始める。

ドキシサイクリン停止から3週以内に、腫瘍は全28匹のマウスで完全に消失した。

その後、そのマウスのうち20匹は9週から47週後の間に再発した。

再発した腫瘍は、15匹で肺または肝臓に転移する悪性の特徴を有した。

再発した腫瘍の半分は誘導可能なKras導入遺伝子が再び発現していたが、残り半分はKrasまたはそれに関連する経路が活性化している徴候がなかった。



非Kras再発性腫瘍を引き起こす分子機序を同定するためにチームは分析を行い、腫瘍遺伝子のコピー数多型を確認した。

「増幅していた唯一の遺伝子はYap1だった。Yap1は既知の癌遺伝子なので、これは道理にかなっている」、Avnishカプーア博士は言う。

Yap1の発現をRNA干渉によりノックダウンすると、Yap1が増幅していた再発性の腫瘍は縮小した。

Yap1は遺伝子の転写に関与するが、それ自体はDNAと結合しない活性化補助因子である。

Yap1はTead2と複合体を形成して、別の転写因子であるE2Fと共に作用する。

全体として、それらは腫瘍生存と成長を支える細胞周期とDNA複製プログラムを活性化する。



最近、膵癌は遺伝子転写プロフィールに基づいた分類により、Krasに依存的でないサブタイプが特定された。このいわゆる間葉系様の腫瘍(quasimesenchymal tumor)は予後不良である。

研究チームは、Yap1がこれらの腫瘍細胞系で強く発現していて、Yap1をノックダウンするとこれらの細胞の増殖が抑制されることを確認した。

Yap1は増殖と上皮間葉転換(EMT)、浸潤、そして転移に関与することが知られている。

Yap1は腫瘍の再発と進行を引き起こすが、しかし、膵癌の最初の形成を引き起こすには不十分であるとカプーアは言う。

学術誌参照:
1.Yap1活性化は、膵癌において発癌性Kras傾倒の迂回路を可能にする。

Cell、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/06/140619125034.htm

<コメント>
いったんKrasが変異した癌をマウスで発症させると、たとえ変異Krasの発現を止めてもYap1/Tead2/E2Fによる迂回路ができてしまうという研究です。

何が起きているのかさっぱりわかりませんが、とにかく変異が起きた遺伝子を元に戻せばいいというものではないようです。



他にもKrasとYap1が協力してVimentinSnail2を発現させてEMTにつながるという同様の記事があります。

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/06/140619125315.htm


2014年6月24日

2014-06-25 11:52:54 | 

脳の遺伝子は腎臓癌と関連がある



脳の成長と発達を制御する遺伝子は、もっとも一般的な病型の腎臓癌である腎明細胞癌の促進に大きく関与することがフロリダのメイヨー・クリニックの研究者によって報告された。

遺伝子NPTX2はこのタイプの癌において必須の役割を果たし、一般の化学療法に抵抗性で、転移する患者では5年全生存率は10パーセント未満である。

「NPTX2がなぜ腎臓癌で発現するかはわからないが、我々はそれが何をしているか、そしてそれがどのように癌進行に寄与するか現在知っている」、彼は言う。

正常な腎臓組織ではNPTX2遺伝子は発現しないので、そのタンパク質を目標とする薬はきわめて焦点を合わせた治療を提供する。



研究者は、通常はNPTX2タンパク質が脳で標的とする受容体(GluR4)が、腎臓癌のサンプルでも見られることを発見した。

腎臓癌で過剰に発現されたNPTX2タンパク質は細胞から分泌され、それ自身の細胞膜上のGluR4に結合する。

NPTX2は複数のGluR4タンパク質を集合させ、細胞内へのチャネルを形成してカルシウムを流入させる。

GluR4チャネルをブロックすると癌細胞の死を引き起こした。

NPTX2は腎臓癌のすべての段階、特に転移で発現される。

学術誌参照:
1.ニューロンPentraxin2は腎明細胞癌悪性の調節因子で、それはAMPA選択的グルタミン酸受容体4の活性化を通してである。

Cancer Research、2014年6月;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/06/140624105845.htm

<コメント>
乳癌でも同じようなことが起きているという記事がありました。

http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/bd101d81952b1c0b38f9d950e93c9617

>乳癌は、脳発達プロセスを再現する


2014年6月23日

2014-06-25 11:24:07 | 

ココア抽出物は、アルツハイマー病の特異的な機序に対処するかもしれない



ラバド(Lavado)ココア抽出物は、アルツハイマー病の頭脳で見られる損傷を低下させるかもしれない。

具体的に言うと、アルツハイマー病を模倣する遺伝子改変マウスを使用した研究で、Lavadoココア抽出物はベータアミロイド(Aβ)が脳で凝集するのを防止することが示唆された。



パシネッティ博士によって指揮される研究チームは、ダッチ(Dutched)、ナチュラル(Natural)、そしてラバド(Lavado)によるココア抽出物の効果をテストした。

Lavado抽出物は3つの間で最も高いポリフェノール含有量と抗炎症活性があり、研究のマウスではAβオリゴマーの形成を低下させ、シナプスへの損傷を逆転させることに最も効果的だった。

「Dutchedココア抽出物ではなくLavadoココア抽出物によってシナプスが欠損から保護されたという我々の発見は、ポリフェノールがシナプス伝達を救う活性がある構成要素であることを強く示唆する。

なぜなら、Dutchingプロセスは高いアルカリ度によってポリフェノール含有量の多くが失われるためである。」

学術誌参照:
1.ココア抽出物は、アミロイド-βのオリゴマー形成を低下させる:
アルツハイマー病の認知改善に対する意味。

J Alzheimers Dis、2014年6月;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/06/140623224910.htm

<コメント>
アルツハイマーにはココアが効くと言いたいところですが、ダッチプロセスによる抽出ではポリフェノールが失われるのであまり効かないようです。

ラバド(Lavado)はスペイン語で「洗った(washed)」を意味するので、おそらく水かお湯で抽出するのでしょう。
ただ残念なことに、日本語で「ラバドココア」と検索しても1件も引っかかりませんでした。


2014年6月23日

2014-06-25 10:23:25 | 

ハンチントン舞踏病における致命的な細胞の機能不全が特定される



ワシントン医科大学(セントルイス)のヤノヒロコ博士は、ハンチントン病では脳細胞のエネルギー工場、つまりミトコンドリアへのタンパク質の輸送が損なわれることがマウスの研究でわかった。

「細胞に輸送タンパク質を過剰生産させることで問題を解決できることを我々は示した」、ヤノは言う。

科学者は、ハンチンチン・タンパク質の変異がミトコンドリアを破損させ、脳細胞を殺すことをしばらく前から知っていた。

新しい研究でヤノとピッツバーグ大学の協力者は、疾患の初期をシミュレーションするために遺伝子組み替えマウスで研究した。

変異ハンチンチン・タンパク質はTIM23複合体というタンパク質のグループと結合する。

このタンパク質コンプレックスは通常、必要なタンパク質と他の必需品をミトコンドリアへと移動させるのを助ける。

研究者は、ハンチンチン・タンパク質の変異がそのプロセスをそこなうということを発見した。

学術誌参照:
1.変異体ハンチンチンによるミトコンドリア・タンパク質移入の抑制。

Nature Neuroscience、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/06/140623224908.htm

<コメント>
ハンチントン病についての関連記事は多いですが、ミトコンドリアが機能しなくなるのはもっとも致命的なように思います。

TIM23(Translocase of the inner membrane 23)はTim17、Tim21、Tim23、Tim50等の複合体で、さらにTim44とmtHSP70等と協力してミトコンドリアにタンパク質を移入するようです。