脳癌のリスクと関連する、より長いテロメア:
遺伝子異型は全体的な健康を促進するかもしれないが、神経膠腫のリスクを増すという両刃の剣
テロメアが長いほど細胞は老化から保護されて健康をもたらすと、多くの科学者は考えていた。
しかし新しいゲノム研究は、より長いテロメアにつながる2つの一般的な遺伝子変化が、神経膠腫として知られる致命的な脳ガンを発病する危険を有意に増すことを明らかにする。
TERTとTERCとして知られる2つのテロメア関連の遺伝子の中に、一般集団の51パーセントと72パーセントのそれぞれが、遺伝子的な異型を持っている。
そのようなリスクを与える異型が人々の過半数で持たれていることはあまり普通ではないので、UCサンフランシスコ(UCSF)の研究者は次のように提案する。
これらの遺伝子を持つ人たちにおいて、より長いテロメアによって与えられる全体の細胞の頑丈さが、高悪性度の神経膠腫(glioma)のリスクの増加に勝つ。その腫瘍は常に致命的であるが、比較的まれな癌である。
この研究は、2014年6月8日にNature Geneticsオンラインで発表された。
「おそらく脳が特別な予防をするので、神経膠腫を発病することに対して明らかに高い障害がある」、マーガレットWrensch博士は言う。
「神経膠腫と診断される人々が、次のようにコメントするのはまれでない。
『私は人生でこれまで病気になったことがない。』」
テロメアの長さの利益と不利益の間の遺伝子的な危ない綱渡り(balancing act)の可能性を示す例として、イギリスのレスター大学による約40,000人のテロメア長の大規模なゲノム分析では、短いテロメアが心血管疾患の有意なリスク増加と関係していた。
本研究では以前のUCSFの研究で行われたTERTと神経膠腫の関連を確認し、さらにTERCを神経膠腫の危険因子と初めて確認した。
これらの遺伝子はどちらもテロメラーゼ(テロメア長を維持する酵素)の作用を調整することでの役割が知られていたので、研究チームは、レスター大学のデータを徹底捜索した。
そして彼らは、神経膠腫リスクと関連する同じTERTとTERC異型が、より大きなテロメア長とも関係していたことを発見した。
記事ソース:
上記の記事は、カリフォルニア大学サンフランシスコ(UCSF)により提供される材料に基づく。
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/06/140608152542.htm
<コメント>
テロメアは長くても短くても何らかのリスクがあるという研究です。
神経膠腫の他にも、特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)もTERTとTERCの多型によってリスクが上がるとあります。
何事も単純に関連しないという興味深い内容でした。