ストレス誘発性の発熱に関与する脳回路が特定される
精神的にストレスに曝されたと感じるとき、我々はしばしば心拍数や体温の上昇のような生理的変化を感じる。
この反応は「闘争または逃走」の状況において筋肉を暖めるのに有効である;
しかしながら、今日の社会ではストレスが長い間続くことがある。それは体温の慢性的な上昇と強度の疲労をもたらす。
京都大学の中村和弘博士の研究チームは、ヒトの社会的ストレスと似ている社会的敗北ストレスをラットに与えて、心因性ストレス誘発性高体温(psychological stress-induced hyperthermia; PSH)を誘発した。
2つの脳領域 ― 背内側視床下部(dorsomedial hypothalamus; DMH)と吻骨髄縫線(rostral medullary raphe; rMR) ― のどちらかでニューロンを阻害すると、褐色の脂肪組織でのストレス誘発性熱発生は消失した。
あるいは、これらの2つの脳の領域をつなぐニューロンを促進すると、褐色の脂肪組織の熱産生ならびに血圧と心拍数の増大を引き起こした。
学術誌参照:
1.ストレスは背内側視床下部と骨髄縫線回路を活性化して、褐色の脂肪組織の熱発生と高体温を引き起こす。
Cell Metabolism、2014;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/06/140626121842.htm
<コメント>
社会的ストレスは交感神経を経由して褐色脂肪細胞による発熱を刺激するという研究です。
下の図のPVHは、室傍核(Paraventricular hypothalamus nucleus)でしょう。
※vDMH(ventral DMH)、dDMH(dorsal DMH)
京大の発表はこちら。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2014/140627_1.htm