2009年10月27日
アルコールと癌の関連が説明される：
アルコールは、腫瘍細胞を拡散させる細胞変化を活性化する
ラッシュ大学医療センターの研究者は、アルコールがいわゆる上皮間葉転換（EMT）を刺激することを発見した。
研究者は、結腸と乳癌細胞系をアルコールで処置して、上皮間葉転換の生化学的な特質を探した。それは例えば、転写因子Snail、ならびに上皮増殖因子受容体のような証拠である。
Snailは上皮間葉転換を制御する; マウスで過剰発現すると、それは多発性腫瘍の形成を誘導する。
上皮増殖因子は多くの癌細胞によって必要とされる。
臨床検査は、アルコールが上皮間葉転換に特有のこれらと他のバイオ化学物質を活性化することを示した。
アルコールで処理した細胞は、隣接した細胞とのタイトジャンクションを失うことが示された。それは転移細胞が移動するための準備と同様である。
加えて彼らは、それらと同じバイオマーカーのリストが、アルコールで処置された正常な腸細胞で活性化されるとわかった。
このことが示唆するのは、アルコールが既存の癌細胞を悪化させるだけでなく、上皮間葉転換を刺激することによって癌を開始する可能性もあるということである。
学術誌参照：
1.アルコールは、結腸と胸部癌細胞において、Snailと、上皮成長因子受容体シグナル、そして上皮間葉移行のバイオマーカの活性化を刺激する。
Alcoholism Clinical and Experimental Research、2009;
http://www.sciencedaily.com/releases/2009/10/091026172052.htm
2014年2月11日
アルコールを分解する分子は、乳癌発症で役割を果たす可能性がある
マンチェスター大学とソルフォード大学の科学者は、酵素（化学的反応を加速するタンパク質）CYP2E1に注目した。
「CYP2E1は、アルコール消費との関連があるさまざまな肝疾患に関係する。例えばアルコール性肝臓疾患（ALD）、そして糖尿病や肥満、癌である。」
「我々は、なぜ肝臓で主に機能しているCYP21が、いくつかのタイプの乳癌組織で大量に存在しているかを知りたかった。」
この酵素は細胞の中で、アルコールを含むさまざまな分子を分解する。
代謝の副産物には活性酸素種（ROS）が含まれ、酸化ストレスに帰着する。酸化ストレスは正常な生理的条件では細胞の機能を補助するが、ROSが集中して酸化ストレスが慢性的になると、細胞はひどく損傷を受ける可能性もある。
先行研究では、この酵素は発達した腫瘍よりはむしろ、初期の乳房腫瘍で最も強く表れることを示した。科学者はそれが乳癌の進行に寄与すると考えている。
マンチェスター・チームは、乳癌細胞のさまざまな細胞機能において、その酵素が演じる役割を見た。
Breast Cancer Researchで発表される今回の研究で、乳癌の段階に応じて、高レベルのCYP2E1がストレスの間の細胞生存を助ける可能性があることを発見した。
さらに、高い移動潜在性を持つ細胞におけるCYP2E1の活性の阻害は、細胞の移動を促進した － このプロセスは癌の拡散（転移）と関連する。
Demonacos博士は以下のように述べた：
「疾患の後期の段階において、CYP2E1は癌の拡散を遅くするための標的として使える可能性がある。」
「CYP2E1はアルコール代謝にも関係しているので、我々の発見は慢性的なアルコール消費と乳癌の潜在的な関連に関して、新しい洞察を可能にするはずである。アルコールがどのように癌の進行に影響するかを示すことによって、それは可能になるだろう。」
学術誌参照：
1.シトクロムP450 2E1（CYP2E1）は、乳癌細胞の酸化ストレスへの反応、ならびに細胞の移動を調節する。
Breast Cancer Research、2013;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/02/140211083901.htm
<コメント>
アルコールと癌の関連です。
前者は、アルコールがSnailという転写因子の発現を促進してEMTを刺激するなどの影響があるという内容です。
後者は、アルコールはCYP2E1という酵素を誘導してROSを生じるというものです。
CYP2E1はストレスの間の細胞の生存を助ける一方で、細胞の移動は抑制するとあります。
しかし、アルコール摂取は乳癌の発症には関連するものの、死亡率とは関連しないという関連記事もあります。
アルコールはエストロゲンの産生を増加させることがその理由だろうと推測されています。
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/04/130408172023.htm
> "It could be that the kind of breast cancer that is more likely to be diagnosed among women who drink may be more responsive to hormone-reduction therapies," Newcomb said.
>Alcohol consumption is believed to influence breast cancer risk through increases in estrogen production in both pre- and post-menopausal women.