肺癌で特定された不均一な遺伝子突然変異は、標的を定めた治療につながる可能性がある
学術誌Oncotargetで公表される研究では、腫瘍の不均一性(tumor heterogeneity)を調査した。同じ癌の範囲内であっても、異なる細胞は異なる外観を持ち、またそれら自身のDNA署名を持つ。
そのような差は、有効な、標的を定めた治療戦略を設計することを難しくする可能性がある。
第1に、EGFR突然変異と、KRASまたはBRAF突然変異の間には、相互の排他性が確認された。
第2に、顕微鏡的外見に関係なく、EGFR遺伝子突然変異によって引き起こされる肺癌では、その特異的変異が一様に腫瘍の全体を通じて存在することが発見された。
それとは完全に対照的に、KRASまたはBRAF遺伝子突然変異の腫瘍は、腫瘍の全部にその突然変異があるわけではないことを彼らは発見した。
メルボルン大学のリード研究者で、セントヴィンセント病院の外科腫瘍学部長である准教授ギャビン・ライトたちは、この発見は、腫瘍がEGFR遺伝子で治療可能な突然変異を含む患者のための良いニュースであると言った。
EGFR遺伝子突然変異を特徴とする肺腺癌(もっとも一般的な病型の肺癌)は、女性と非喫煙者に起こる傾向がある。
それらは経口薬ゲフィチニブによって非常に効果的に治療されるので、この突然変異が正確に検出されることは不可欠である。
「EGFR突然変異は、テストされた腫瘍のすべての領域の全体を通じて存在するとわかったので、小さい針生検によってさえ、この突然変異のある患者は容易に特定されるだろう。」
「このことは、それらが常にこの適切な目標とされた治療を提供することを意味する。それは標準的な化学療法よりも効果的である」、彼は言った。
「幸いにも、この突然変異のある肺癌の生検の診断精度は、テストするための充分な腫瘍細胞があるかどうかに依存しているだけである。」
しかし、他の肺癌では話はもう少し複雑になる。
研究者は、2つのより一般的でない突然変異 ― KRASとBRAF ― は、小さい生検の検体では見逃される可能性があることを発見した。
彼らがテストした症例の4分の1以上において、その突然変異は腫瘍の1つのサブタイプとしてのみ存在し、そして必ずしも一様でない。
「これらの遺伝子の突然変異は重要な構成要素としては存在しない可能性があり、それほど確信をもって生検を実施することができない。それらはただ癌のより悪性の部分だけに存在する」、ライト准教授は言った。
「これらの発見は、診断法と肺腺癌の正確な医療にとって重要である。他の腫瘍型でも同様の研究に至るかもしれない。」
学術誌参照:
1.肺腺癌における組織サブタイプ領域(domains)に対する、作用し得る突然変異(actionable mutations)の地図作製:
正確な医療にとっての意味。
Oncotarget、2014年3月;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/04/140423101854.htm
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24742923
<コメント>
非喫煙者と女性がなりやすいEGFR変異の肺腺癌は、生検での判断が正確である可能性が高いという研究です。
関連記事を見ると、喫煙者の非小細胞性肺癌のDNAは10倍も損傷しているという記事がある一方で、
http://www.sciencedaily.com/releases/2012/09/120913122836.htm
非喫煙者の肺癌のDNAは不安定という記事もあります。
http://www.sciencedaily.com/releases/2011/07/110705071653.htm
>Up to 25% of lung cancer cases worldwide occur in people who have never smoked, and never smokers with lung cancer typically exhibit traits different from those of smokers.
>They are more often women, Asian, have a higher incidence of epidermal growth factor receptor (EGFR) mutations.
>On average, never smokers' lung tumors showed higher frequencies of copy number alterations and greater proportions of altered genomes compared with those of smokers.
>This difference was more pronounced when former smokers were excluded and never smokers were compared with current smokers only.
アジア人の女性でDNAが不安定とあるので、なんとなく、
インスリンの分泌低下/インスリン抵抗性→ブドウ糖の取り込み低下→セリンとグリシンの合成低下/葉酸の代謝低下→ヌクレオチドとグルタチオンの合成低下/メチル基の供与の低下→DNAの不安定化/トリソミー
という流れを想像しましたが、すみません、根拠は特にありません :P