日本のゆくえ

日本の経済と、日本人の精神はどこへ行くのか? 新自由主義社会に反乱を起こし、生き残るためのブログ

広告費の割合

2008-04-08 20:52:12 | Weblog
毎年、日経広告研究所が出している『有力企業の広告宣伝費』という統計があります。

企業別に、売上高、営業利益、広告宣伝費などが掲載されているのですが、その売上高に対する広告宣伝費の割合は下記の通りです


◆ 自動車業界     約1~2%
◆ 飲料業界      約5%
◆ 通販/サービス業界 約15~20%
◆ 流通業界      約1~3%
◆ 金融業界      約1~5%
◆ 化粧品業界     約10%


もう一方の角度からモノを考えると、2007年3月期連結決算で、電通が2兆939億円、博報堂で1兆884億円と、大手2社だけで3兆円もの長大な広告費売り上げがあります。

もちろん広告費を払っているのは消費者なわけですから、日本の全世帯数がおおよそ5千万世帯、国民一世帯あたりだと年間6万円を、電通と博報堂の2社に払っている計算になります。

今度は、テレビ局の収益を考えてみましょう。NHKの受信料は年に14,910円、BS込みの受信料で25,520円ですが、それは高いのか安いのかよく考えてみましょう。

NHKの売上高は6500億円くらいです。フジテレビと日本テレビの売上高が、それぞれ3000億円くらいですから、この2社を合計したくらいの金額がNHKの売り上げ高ということになります。さらに民放5社の合計金額を考えると、おおよNHKの2倍くらいが民放放送売り上げ高であると推測できます。

民放テレビがタダだから、NHKなんていらないと言っている人が、少なからずいますが、上記の通り、私たちは間接的にかなりの広告費を上乗せして民放テレビの受信料を払っています。年間、何兆円もの金額を払っておいて自覚がないのですから困ったものです。

飲食業だけで考えても、消費税と同じ5%程度の広告費を払っているということは、これは国家と平行するもう一つの徴税制というか、目に見えない国みたいなものがあるわけです。そして、こちらの方が完全に情報の誘導権を掌握しているのです。

視聴率の取れる番組というのは、視聴者が何も考えなくてもストレスなく視聴できる番組のことをいいます。従って、民放テレビばかり見ている日本国民は、僅かな金持ちの利益のために、簡単に情報誘導されることになります。

情報誘導権が民業に集中してしまった場合、結果として、大企業批判がまずできない。企業が嫌がる、労働分配率の低下に対する批判なども真面目に取り組まない。大企業や、大企業に金を貸している都市銀行や、そこから企業献金を受けている自民党清和会への批判もできない。もちろん、電通批判などもってのほか、ということになります。

最近はパチンコのテレビコマーシャルがとても多く放送されていますが、サラ金やパチンコなど、貧乏人から金を吸い取るのがテレビ広告の一番の目的になっています。

そういう図式を知っていながら、小泉政権を後押ししていた電通批判を行った森田実さんは、テレビ業界から完全追放されてしまいました。

亀井静香さんも貧乏人の味方でしたから、広告業界からは相当嫌われました。

皆さん知らないかもしれませんが、大手広告代理店が政府系広告を入札する場合、競争入札すら無いのですよ。そして、電気事業法という許認可事業で、新規参入を排除した楽な商売をずっとやっています。自分のところだけは、規制緩和なんてまったくやる気がないし、自分たちの言い値で広告事業を落札できます。下請けに番組制作を丸投げし、人材派遣ばかりを使って10%以上の高利益を上げています。

テレビ報道は、談合批判や規制緩和を合い言葉にやってきましたが、自分たちのことを全く棚に上げたまま、あれだけの報道ができるのですから、よほど心臓が強いと思われます。

子どもの頃、僕の父親は「テレビはNHKだけにしろ」と繰り返して言っていましたが、大きくなってみるとその意味はよく分かりました。

まあ、NHKもワーキングプアなど貧乏人の味方の放送をしたせいか、会長が降ろされたりしましたが、NHKスペシャルなどはとても良い番組が多いですし、「ER」も「デスパレートな妻たち」も、めちゃくちゃ面白いです

僕が言いたいことは、私たちが直接スポンサーになっている公共放送なのですから、皆さんも受信料を払って、NHKを応援しましょうということです。わっはっは。