雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

ひとつ積んでは母のため…

2012-03-18 | 日記
 親より先に死ぬことは子供にとって最大の親不孝として、極楽浄土へ行けずに「賽の河原」で報いをさせられる。 河原の石を一つ一つ積み重ねて、親の供養塔を作ろうとするが、夜になると鬼が現れてその塔を壊してしまう。 また一から幾度となく積んでも、次々と鬼に蹴散らされてしまう。 

 今も、50日間親に放置されて、飢えで死んだ幼児二人が泣きながら石を積んでいる。 その時に謳わされるのがこのご詠歌。

  これはこの世のことならず
  死での山路の裾野なる
  賽の河原の物語
  聞くにつけても哀れなり
  二つや三つや四つ五つ
  十にも足らぬ幼子が
  賽の河原に集まりて
  父上恋し母恋し
  この世の声とは事変わり
  悲しき骨身を通すなり
  かの幼子の所作として
  川原の小石を取り集め
  これにて回向の塔を積む
  一重積んでは父のため
  二重積んでは母のため
  三重積んでは故郷の…
  
 父親は誰かも判らず、母親には見捨てられて死んでいったこの子供たちは、仏の世界にも行けずに賽の河原で親の為に石を積んでいる。 この子達の両親に、己の罪深さを思い知る日が来るのだろうか。  
 

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