雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

猫爺のエッセイ「ひっつきむし と オケラ」

2015-09-18 | エッセイ
 猫爺が住むところは、山を削って住宅地にしたところである。まだ周りには山が見え、少し歩けば田畑が見られる。
 子供の頃は、野原で遊ぶと、必ずお土産を持ち帰ったものだ。ヤブジラミ、イノコヅチ、センダンクサの種子で、猫爺等は「ひっつきむし」と言った。センダングサは、まだ枯れていないものを胸にくっつけて勲章遊びに、ヤブジラミは子供同士で投げ合って遊んだ。だが、センダングサの枯れたものや、イノコヅチは、母親の敵であった。服やズボンにびっしりと付いて、一個一個剥がして取るのが面倒なのだ。
 どこにでも生えていたその雑草を、猫爺が住む住宅地の周辺の叢で探してみたが見つからなかった。

 子供の頃によく捕まえて遊んでいた「ケラ」や「ハサミムシ」も、最近は全く見たことがない。見た目は恐そうに見える虫だが、ケラは噛みもしないし刺しもしない。しかし、力が強くて、掌で包み込んでも、子供の指なら抉じ開けて出てくる。その力の強い前足で土に穴を掘るのである。
 当時、こんなCMソングがあった。

   ゆうべミミズの鳴く声聞いた、あれはケラだよ、オケラだよ
   オケラなぜ鳴く、アンヨが寒い、……が無いから鳴くのだよ

 「ジー」抑揚のない虫の声が、土の中から聞こえてくるので、ミミズが鳴いていると思い込んでいたのを、このCMソングでケラだと知った。

 ハサミムシは、尻のハサミで挟まれると多少痛い。サソリのように尻をピンと上に向けて威嚇してくるが、毒が無いのでそのハサミをつまむと、難なく採れる。もっとも、捕まえても面白くもなんともない虫ではあるが…。

猫爺のエッセイ「うーん、これは美味い」

2015-09-18 | エッセイ
 猫爺は、テレビのバラエティー番組で、タレントが試食して《おいしい》と感想を言っているのを信じないことにしている。
 食べ物を口に入れたか入れないうちに、《うーん》と美味そうに声を発しているが、大概の物は最初口に入れたときは美味しく感じるものだ。二口、三口と食べていると、不味さを感じてくることもある。
 例えば、どこかの地方では、どこの家でも「芋餅」を食べているように番組で紹介していた。レシピは簡単そうだったので、猫爺も作ってみた。最初の一口は、「美味しいかな?」と思ったのだが、「うーん、これは…」などと声を発する程ではなく、二口三口で飽き飽きした。何個か作っていたが、もう二個目は食べる気がしなかった。猫爺の作り方が下手だった所為かもしれないが、そんなに難しいものではないので、大した違いはかった筈だ。

 料理の先生が「味の広がり」と言う表現していたら、某アイドルは食べてみて、すかさず「口の中で味が広がった」と感想を言っていた。物を食べたら、口の中いっぱいに味が広がるのは当然のことで、先生の「味の広がり」とは、そう言う意味ではなかったと思う。

 また、某六十歳を過ぎた漫画家は、某ドッキリ番組で故意に作った「不味い料理」を食べさせられて、「すごく美味しい」と感想を言っていたが、ドッキリと明かされると、「美味しいと言わないといけないと思った」と打ち明けた。猫爺は、それを見た所為で、タレントの感想が信じられなくなったのだ。

 類似したことで、大物タレントとやらがクイズの答えを間違えると、「最初からやりなおそう」と言う人が居る。その所為で大物タレントが難しいクイズにずばり正解したところで、「ははーん、やり直したな」と思う。或いは、「スタッフから答えを教えて貰っていたな」と思うだけで、決して「すげぇ」なんて思わない。