雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

猫爺のコラム「小さな喫茶店」

2015-09-27 | コラム
こんな時代があった。
 夏の暑い日、町の民家を改装した喫茶店で、入り口横に窓があり、かき氷を作る手回しの道具が外から見えている。涼しげな暖簾をくぐると、木枠のガラス戸がある。ガラガラガラと手で横に開けると、木製のテーブルが数台と椅子が四つずつ並んでいる小さな喫茶店である。
 その一つに腰を掛けると、「おひや」と、丸く巻いてビニール袋に入ったタオル製の「おしぼり」がテーブルの上にトンと置かれて「何しましょう」と注文の催促。
   「レーコーひとつ」
   「はい、レーコーひとつですね」
 おしぼりは、左の掌で真ん中を握って、両端を右掌で「ポン、ポン」と大きな音を出して袋を破裂させて取り出す。
 若者はそんなことはしないが、年配客は「おしぼり」で顔を拭き、首筋を拭き、それを懐に突っ込んで体まで拭く。中には、靴まで磨く人がいたりして…。
 察しがつくと思うが、「レーコー」は、アイスコーヒーのこと。因みにミルクコーヒーは「ミーコー」である。
 メニューを見ると、「スーパー」というのがある。何かと思えば、永谷園のお吸い物みたいなインスタントものである。メニューに「お雑煮」というのがあり、先ほどのスーパーに焼き丸餅が一つ入っている。
 バタートーストは、トーストにバターを塗っただけのものと、その上に砂糖を振り撒いたものの二種類があった。
 ホットドッグを注文すると、ロールパンにウインナーを挟んで、蒸し器で蒸してアツアツでフニャフニャのホットドッグが出てくる。これがなんとも美味いのだ。今の若者には、「だせっ!」と、一瞥されることばかりであろう。
 このホットドッグは、学食の喫茶コーナーにも似たものがあった。ここは蒸し器ではなく、大阪ガスの「コンベック」とかいうオーブンで蒸し焼きにしていた。学生の朝食に最適なのだ。おまけに、ゆでたまごが一つ付いていたが、不器用な自分は、皮を剥くのに苦労したものである。

猫爺のコラム「ららランチ」

2015-09-27 | コラム
 ららランチ(この名詞は、ここちよい響きなので某ブログより盗用)に、サイゼリアのパエリア風ピラフ(写真)を食べた。ドリンク、スープ飲み放題で499円とは安い。
 若い人には「放題」は有難いのだろうが、年寄には無意味。スープにオリーブ油と胡椒も入れ放題とか。「そんなもの要らん」

 以前は、ムール貝が三個入っていたが、思い違いだろうか二個になっていた。好みではないので、どちらでも良いのだが。

 このムール貝は、日本各地の磯に分布するイガイの種類で、野生のものは貝毒を持つものがある。私の育った須磨の海にも、非常にたくさん生息しており、子供の頃、岩に付いたこの貝で、よく足を切ったものである。日本人は決してこれを食べなかったが、朝鮮の人は調理が巧みなのか、時化のあとなどに海岸に房ごと打ち上げられたこれを持ち帰っていたのを思い出す。
 自分達は、この貝を石で叩き潰して、磯釣りの餌にしていた。料理に使うのは養殖もので、貝毒は無く大粒なので誤解なきように。

 で、サイデリアのパエリア風ピラフの味はどうだったか。答えると店の者に叱られるので、聞かないでほしい。