雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

2012-07-31 | 日記
 アブラゼミが、「謝、謝、謝、謝」と鳴いている。 公園など散歩していて、蝉の鳴く木の下へ立つと、つい見上げてしまう。 数えきれない程齢(よわい)を重ねていても、少年の頃に着いた習性がまだ抜けきれていないらしい。 
 短パンに麦藁帽子そして虫篭と長細い竹の先に、直径10センチほどの布製の網を取り付けた手製の蝉取り竿を担いで子供ばかり4~5人で遠くまで出かけたものだ。 蝉を捕まえる方法として、トリモチという手もあった。 ただし、くっついた蝉をトリモチから離すのが面倒で汚らしいのと、駄菓子屋さんでトリモチを買う必要があるのであまり好みのやりかたではなかった。
 あの頃、一番よく採れた小さな「ニイニイ蝉」の声を、近年はとんと聞かなくなった。 まさかとは思うが、絶滅危惧種になっているのではないかと案じられる。  もともとあまり聞けなかったクマゼミの声も、声が途絶えて幾久しい。 我が家、神戸の六甲山系の程近くで聞かれる蝉の声と言えば、アブラゼミとつくつく法師、それとほんの稀に夕方に鳴くヒグラシの声。
 
   若蝉の 部屋に飛び入る 暑さかな 

   干天に カラス日陰に 宿るかも

   公園に 人影はなく 照り返る

   夕立の くる兆し無く 蝉しぐれ   (俳句のつもり・・猫爺)