雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

クロネコ

2012-07-29 | 日記
 今年の夏の土用は8月の6日までだそうである。 私たちの子供の頃は、土用が過ぎたら海で泳いではいけないと大人たちから教えられていた。 海で亡くなり、成仏できない霊に「足を引っ張られる」と、戒められていたのだ。 それでなくとも、夏の土用が終わった頃の海は、なんでもかんでも海に流すので、ゴミが波間を漂っていて汚くて泳げない。 山から流れてきた木片や、笹の葉くらいなら良いのだが、スイカの皮や見たことも無い風船のようなものがプカリ、プカリ浮かんでいたものだ。
 暑い夏の日の子供たちの逃げ場は海であった。 男の子は海水パンツはかなり大きくなってからで、小さな子はみんな「クロネコ」と呼ばれる褌であった。 夢中で泳いでいると紐が緩んでクロネコが流れていってしまう。 水ら上がって気が付き、恥かしくはないがまた親に小言を言われて買ってもらうのが辛かった。 運がよいと、「これ、お前のやろ!」と、波間に浮かんでいたクロネコをお兄ちゃんが見つけてきてくれたりして、大喜びすることも。 クロネコ1着は、数十円だったと記憶する。

 今日も蒸し暑い日であった。 部屋の気温を見ると31度。 眩暈に悩ませられながらスポーツドリンクで水分補給をする。