雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

天上天下唯我独尊

2012-01-15 | 日記

  釈迦が生まれてすぐに歩き、天と地を指さして言ったと伝えられている。 これは、天上天下に於いて、自分が一番尊い存在であると主張したものと私は教わってきた。 最近では、「唯我」の我は、それぞれの個人の事だと言われている。 「この世の中で、あなたにとってあなた自身が一番尊いのだよ」と諭していると解釈されている。 私は、その両者とも違うと思う。 

 この言葉は、釈迦が言ったことではないと考える。 「仏典」は、釈迦の言葉を集めて編纂されたものであるが、釈迦像に様々なデフォルメがなされていると思う。 釈迦誕生のエピソードも、「天上天下」のくだりも、のちに仏典の編纂時に付け足されたものだろう。 釈迦(ゴータマ・シッダッタ)は、私には人間臭さが残る仏教の開祖だと映る。 その赤ん坊の釈迦が、「ぼくが一番尊いよ」と言うのは不自然だし、世の人々に「あんたが一番尊のだよ」と叫ぶのも、その必然性がない。 

 釈迦は、菩提樹の下で何と闘ったか、何をどう悟ったか、生とは何で、死とはなにか。 諸行無常の不思議とは…。 私は立派な人間ではないし、まだ仏でもないが、そのようなことは科学的に悟っている。 尊いのは大宇宙の営みである。