「ママの狙撃銃」荻原浩 2006双葉社
『小説推理』2005年03月号~2006年01月号、加筆訂正
さすがに入り込みにくい設定、イメージが平板な劇画になってしまう。
しかし、事件をマスコミが取り上げたあたりからやっと、作品中の人が私の頭の中で存在を始めた。
まあ、暗殺者的な技術は高いけれど、社会的には無知な方に入る主人公なわけだな。
傾いた家を買わされて、賠償請求すらできないし。
携帯電話の扱いなど、暗殺者としても能力的には疑問が残るし。
自分の子供をいじめる性悪同級生をやりこめるのは気持ちいい。
上手く悪役にしているわ。
まあ、これもちょっと行動が迂闊なんだけど、結果オーライでよかったね。
旦那が上手く行かないのは、Kが裏で手を回しているのではないかという疑いが常にあったわけだが、作者はそれも選択肢に入れていただろうか。それともわざともったいぶらせて読者をやきもきするように誘導していたのか。
内容からすると、書き込みが足りなさ過ぎる気がする。
生活も過去も価値基準も全てがバラバラ。
まあ、それが狙いで書いているのであれば読み込みが足りないということだろう。
P321 秀太くん!きみは素晴らしく「ともお」的な少年だ!留守番を任せるとピンをコンセントに突っ込んだりするんだって?わかるよ。
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