
「隠し事」羽田圭介 2012河出書房新社
『文藝』2011年冬号
P27 自分のメールを消したのは「隠し事を消したのか」「隠し事を作ったのか」
必死でごそごそ恋人のメールを盗み見ていたのだが、相手の方が上手だった。
ってか、浮気の確認をする目的が相手よりも優位に立つためのように見えるぞ。だって別れる気がないんだろ。他の女に可能性を残していたりするあたりに、覚悟のなさと決定してしまうことへの恐れが見える。まあ、それを描いているんだろうけどね。
この終わり方からすると、茉莉に主導権を握られたまま、適当な時期に結婚を承認させられる運びになるのだろう。茉莉にはどんな隠し事があるのか、それをどうやって隠しているのか、または隠し事なんてないのか。もしかすると茉莉はほかの男とうまくいって、捨てられるかもしれない。それはそれでほっとするかもしれないが。とにかく、その決定権は相手に握られている。なんか、結婚以上に「オワタ」感があるいいラストです。
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