「左手の証明」小澤実 2007Nanaブックス
被告人の無実を信じ、冤罪だと決め付けた立場で書かれている。なので多少割り引いて読んでしまうのだった。
「彼女は嘘をついている」でも思ったのだが、認めるわけには行かない事情(心情)というのがあるだろう。それは生き方の問題であり、それを信じるかどうかではない。当事者以外の人間にとっては、そこに存在するショッキングなシステムの事実が問題となる。それを納得いく形に直していくにはどうすればいいのか。そうなると被疑者(被告)となった方にがんばってもらうしかない。
システムの当事者たちは「面倒」なだけで何も不利益がない。
互いに守られているから。
それでは改善されていくはずがない。
そこに石を投じるのはマスコミということになる。
やり方と主張に問題はあったとしても。
一人ひとりに目をやっていくと、客観的立場からの感情的な判断で見ると、結局一番悪いのは責任としては検事であり、個人(人柄)としては取り調べの警察官が悪いということになりそうだ。どちらもその原因は単純に「怠慢」「懈怠」ということになるのだが。
ただ、この件だけにしてみれば、警察官の怠慢によって無罪を勝ち取れたともいえる。調書段階で見逃された大きな腕時計が原告の証言を否定する働きをし、それがその調書の信頼性を否定することになるのだから。取調べの段階でこの時計に目が行っていれば、その調書はそれを前提にしても尚、有罪に導くようにつくられただろうから。(ただし、きちんとした警察官と検察官であれば、起訴されることがなかったかもしれない)
あ、冤罪が多いと言いながら、不起訴や起訴猶予もあるよね。冤罪事件では【酷い警察官】【酷い検察官】【酷い裁判官】とたまに【酷い弁護士】が出てくるけど、大多数は実はきちんと調べられているんじゃないかとも思える。だから、女性側からも文句が出ているんじゃないだろうか。
この本の被告人の場合は【労働組合】が動いてくれている。これが後の現場復帰に大きな力になっている。また、それが可能になったのは世の中の変化もあっただろう。それでも【冤罪発生システム】に変化はなく、1審で執行猶予がついた時に弱気になる。その時に尻を叩いたのはそれまで弱気(それまではなにかと、精神的にも追い詰めれらていた)に見えた妻だった~やっぱり・・・女性の影響力はすごいな。
痴漢容疑で家宅捜索って、
他の事例でも行われているようだけど
・・・職権乱用だよね。
そこにエロビデオがあったところで
何の証拠にもならない
ただ、それによって被疑者を精神的に追い込もうとしているだけ
どう考えてもプライバシーの侵害でしかない
それを認める裁判所
(ルーティン業務だから)
思考停止システム
この思考停止システムといえば、
拘留期間の延長も
それを認めるのは裁判官
逃げる心配のあるものなどほとんどいないというのに
この人たちの責任を問うて欲しいものだ
人事異動・・・
裁判官が途中で代わるって・・・
他の事例でもそうだったな~
確かに仕方ない
でも、それなら
やっぱり裁判も全録画にして、
それを引継ぎで利用すべきだな
鉄道側の非協力的な態度はいただけないのだ。あ、それにもともとの原因はラッシュ時の鮨詰め状態だぞ。改善しないのは鉄道側も悪いけど、それを管理する行政にも問題ありだな。
奥さんについての記述では、最後まで『離婚するんだろう』って思っていたよ。ちゃんと夫婦喧嘩もしていた。それが控訴を促して勝利を勝ち取って一緒に生活再建していくなんて・・・旦那が言い返さなかったからよかったのか。
奥さんの心の動きも気になるところだ。(たぶん、離婚は何度も考えていただろう)
時計はバッグの中にでもあって【後出し】だという疑いも消えない。持ち物として保管はされていたが、それを腕につけていたという証明は出来ていない。常にそれを付けたままで行動するのは不便な場合もあるだろう。引っかかってベルトをいためたりするのは嫌だろうから、満員電車などでは外していたんじゃないかと思ったりするわけですよ。でも、警察のいい加減な取調べのおかげで決定的な証拠にされたわけですね。
いい加減な取調べはさらに続き、付着物検査をしなかったことと、再現実験でのいい加減な判定と発言が発覚。さらには不利(になるかもしれない)な証拠写真(時計をはめた)を隠蔽。現場写真が別のホーム~
もう、警部補のうろたえぶり「忘れてしまいました」は読んできて気持ちよかったです。たぶん、被告人もこの時が一番うれしかったんじゃないだろうか。
無罪を勝ち取れたのは警部補のおかげですwww
再現ビデオ~
作成費用は警部補へ負担してもらいたいですね
だって、いい加減な再現実験が原因ですもん。
取調べのときに警部補が「裁判やって~」といっていたのは単なる脅しで、『裁判なんかするはずがない』と被疑者をなめていたのだというのが手に取るようにわかる。
最初から責任感が欠如している。それは、あとが残らないということからも、一生懸命やって間違ったよりも怖い。
本当の犯人(がいるなら)はまだ捕まっていない。常習性があると思われ、被害は出続けているだろう。
図地分節
心理学の登場~
被害者女性の思い込みや思い違い、
捜査機関による示唆と誘導に基づいて作られた記憶。
警視庁戸塚警察署
職業裁判官は検察を信用して弁護士と対決する構造に慣れてしまっている。
そこに生まれるのが【推定有罪】タテマエである【推定無罪】と180度違う実態である。
裁判員制度が
痴漢事件を裁く日は来るのか
それにしても、2007年の「それでも僕はやってない」は影響力があったみたいですね~(良いにつけ悪いにつけ)