「沈黙の春」レイチェル・カーソン 新潮文庫
46年前(1962年)の作品でありながら、毎年2回重版のベストセラー
『科学によって死んだ神』の次に信仰の対象となる『エコ』のバイブル
化学薬品の直接の害と見えざる害を訴え、生物多様性を説く。
17章の「べつの道」の方法と考え方は、「害虫」を生物によって滅ぼそうとするものであり、現在の生物多様性の考え方とは異にするものであり、技術によって自然を支配しようとする態度は化学薬品の使用と基本的な思考形態はおなじ「思い上がり」であるのだが、当時としては期待されていたらしい。
もちろん、あと数年彼女が生きていたならば、その部分についての改訂があったのだろうと想像できる。
そして、裏表紙の説明にあるとおり、「人類は、この問題を解決する有効な手立てを、いまだに見つけ出してはいない」のだ。
2010年の名古屋で行われるCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)に向け、関係者必読作品の一つだろう。まあ、読んでいないはず無いけど。
政府や官僚の出す資料への懐疑的姿勢を育てるのにも役立つ本だ。実際、どの国のどの時代においても、政府や官僚は全ての人間が疑いを持って監視をすべきだというのは、常に歴史が証明している。現在においてはそれがさらに顕著となっているが、情報化社会のおかげで改善されようとしているものと期待したい。
この作品を中学生の時に読んでいたら・・・もっとへそ曲がりになっていただろうな。