「ニックとグリマング」フィリップ・K・ディック/菊池誠 訳 筑摩書房
ディックの唯一のジュブナイル(児童文学)だそうだ。
ペットが飼えなくなった地球から「農夫の星」へ移住するニックと家族。
平和だった星は「グリマング」によって荒らされていた。
この話は3部作とか5部作とか膨らませられるし、ハリウッドで製作するに相応しいアイデアが溢れていると思うよ。
エンターテイメントとしては「ブレードランナー(アンドロイドは電気羊の夢を見るか?)」よりも上を行く映像とストーリーができるだろう。
- 猫のホレースは・・・
- 実は別惑星からの調査員なのだろう。
- その証拠に、「老いたホレースが「巨大な魚」に入って海のかなたに去っていく」と言うくだりが「ある夏の日」に載っていたではないか。「巨大な魚」とはおそらく潜水艦か宇宙船であろう。
- エンディングにおいてニックモドキにニックが喰われなかったのは、ホレースが細工をしたものと考えられる。
- オトウサンモドキはきっと正体を暴かれない町を作っているに違いない。
- そこは彼らの正体を見破るスピッドルが入れない場所だろう。
- そして、外との連絡を保つために人間と混在していそうだ。
私が児童文学レベルなのか、すごく楽しんで読んでしまった。
間違っても、「ぎすぎすした都会からおおらかな田舎を求めて引越しをしたが、待っていたのは部外者を排除しようとする不便で閉鎖的な田舎社会だった」と言う解釈だけはしたくない。(ほとんどそういう構造だけど)
この作品と似たアダルト向けの「銀河の壷直し」と言う作品があるらしく読んでみたいものだ。あと、ディックといえば「ヴァリス」ですか。これも出会いがあれば読みたい・・・かなぁ