アナタが捨てた女を…

自室にて更新している

随分前に書いた記事の中に

男を寝取られた女性の話があったのだが

何と先日、取った女と取られた女がバッティングしたのだ


Ａ子がキャッチ中に店前を通りかかった

久々に会う彼女は少し痩せて

更にメイクも変えたのか見違える様に美しくなっていた

淡い赤紫のスプリングコートも素敵だった

「１時間だけ飲んで行こうかしら？」

立ち話のつもりが軽く飲んで行ってくれる事に…


サナエさんもＡ子に会うのは久々で

素敵に変身した彼女に驚いていた

私はＡ子を見ながら複雑な思いを抱いていた

なぜなら彼女はＢ子の別れた男と付き合っているからだ

別れたと言うよりは

Ｂ子と付き合っていたＣさんが

ある日、Ａ子と出会い心変わりしてしまったと言う方が正しい

そのいきさつは過去の記事を参照して欲しい

結果的にＢ子はＡ子に男を取られた女と言う形になった

実はＢ子とてＣさんを本当に好きではなかった様だ

「なんか違うのよね～

　小さな事が積み重なると嫌悪になって行くのよ」

カラオケ好きと言う共通点で

何軒かの店を飲み歩いていたＢ子とＣさん

「最初は良かったのだけど

　徐々に私は冷めて行ってたのよね」

今となっては負け惜しみにも聞こえるセリフを吐いていた


Ａ子が美しくなった理由は

恋をしているからと打ち明けた時だった

ドアが開いてＢ子が女友達２人と来店した

カウンターにはＡ子一人だけだったので

すぐにＢ子は気付き軽く挨拶をした

Ｂ子がＣさんと別れた後にＡ子に会うのは初めてと思われる

だが、精いっぱいの矜持が先ほどの挨拶だったのだろう

一瞬、気まずい空気に包まれたが

Ａ子とＢ子の関係性を知っているのは

私だけだったので

Ｂ子が連れて来たＤ子を道化に見立てて

彼女をイジる事で重い空気を変える事にした

幸いにもＤ子は明るいタイプで

オカマのトークに絶妙な合いの手を入れてくれた


しばらくはそんな中での営業だったが

サナエさんと話をしていたＡ子がお会計

彼女が帰った後もカラオケで盛り上がっているＢ子

何とも言えない気持ちだったに違いない

心底惚れていた男を取られたのなら

穏やかでは居られなかっただろう

飽きたおもちゃを取り上げられただけ

きっとそんな風に思う事で

何とか自分を保っていたに違いない

きっとＡ子はＣさんに言うだろう

「アナタが捨てた女をあの店で見かけたわよ…」