ケイコちゃんたら…

昨夜はケイコちゃんが来てくれた

前にも書いたが、アマチュア女装家だ

仕事帰りなのかスーツ姿がシブイ

黙って飲んでればちょっとしたイケメンだ

なのに「そろそろ変身したいわ～」とソワソワしてる

ヒマだったので念入りにメイクしてあげた

そして今回は新しいヅラで、より艶やかに変身だ


鏡の中の自分に酔いしれている彼女

「さあ、そろそろ徘徊の時間よ～」

店の周りをウロウロして一般ピープルにお披露目だ

街灯が金色のスパンコールを怪しく照らす

昭和レトロの香り漂う裏通りには

ケイコちゃんの姿が妙にマッチしている

何枚か写メを撮った後

前回も立ち寄った熟女スナックを覗く


「あら～、女優さんの登場よ！」

チーママの歓迎にケイコちゃんは顔をほころばせている

この店はアンティークな内装なので

ケイコちゃんの雰囲気にピッタリだ

「星の流れに」や「叱らないで」を

熱唱してもらいたいところだ


そろそろ店に戻る時間だ

居心地良さそうなケイコちゃんを

無理矢理連れて帰る


店では若い女の子たちが

ケイコちゃんに熱い視線を送っている

女好きの彼女は嬉しそうだ

「良かったね、若い子からも歓迎されて」

その時、彼女がヅラを取ったのだ

暑くて仕方なかったようだ

頭をボリボリ掻いている

女の子たちは呆気に取られていたが

すぐに「私にも貸して～！」と

ヅラの奪い合いになった


ケイコちゃん、最後まで女で居なきゃダメよ