夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

巨泉さんの発言もおかしいよ

2009年05月05日 | 政治問題
 草?くんの事はやっばり騒ぎ過ぎだった、と多くのマスメディアが反省しているらしい。マスメディアと言うのは、どうも平常心を簡単に失ってしまうらしい。騒いで自分の存在感をアピールするのが仕事らしい。で、情況だけをそれもヒステリックに報道して、それが一体どのような意味を持ち、どのような問題になるのかには踏み込まない。
 彼が出演している地デジのCMが中止になって、鳩山総務大臣が怒ったそうだ。「最低の人間」と言ったそうな。もっとも、その発言はテレビでの報道によれば、あとで不適切だったと撤回したそうだが。これはその撤回前の話である。その発言を、「週刊現代」で大橋巨泉氏が「全裸以上に醜態だった」と次のように批判したと言う。
 「ほとんど誰にも迷惑をかけていない酔った青年を評する言葉ではない。それを言うなら、詐欺まがいのスローガンで当選し、いまだに知事の座にしがみついている、森田健作君に向けるべきだろう」

 泥酔は非常にみっともなく恥ずかしいが、警察に保護するだけで済みそうな話である。最低の人間とまで言う事はないだろう、と言うのはよく分かるのだが、その後が私には分からない。森田氏のスローガンは詐欺まがいだったのか。自民党なのに無所属と称した事にクレームを付けている市民団体はある。
 だがそれを言うなら、ほかの事実にも触れなければ片手落ちになる。確か郵政選挙の時、郵政民営化反対の候補者は自民党から公認されず、小泉氏からは刺客を立てられ、無所属で出たのではなかったか。そして無事当選を果たして、ちゃんと自民党に所属している。それは詐欺まがいではなく、森田氏は詐欺まがいだと言うのか。
 政党の公認を受けない以上、無所属としか言いようが無い、との森田氏の説明は間違っていないと私は思うが、それ以上に、彼は前回の千葉県知事選にも出馬して惜敗している。彼がどのような人間なのかは千葉県民なら知っているだろう。そして知っているからこそ、彼に投票し、圧倒的な勝利を勝ち取ったはずである。
 詐欺まがいのスローガンだと言うなら、そのスローガンの真意を見抜くのが選挙民の務めではないのか。詐欺まがいに引っ掛かるようなら、選挙民としての資格を疑ってしまう。つまり、森田氏が圧倒的な勝利を勝ち取ったと言う事は、千葉県民は真実を見抜く能力が無かったのだ、と言っているのと同じである。森田氏の当選に文句を付けている人々はそう言っているのと同じなのだ。そして巨泉さんも同じ事を言っている事になる。千葉県民は馬鹿なんだ、と。
 その肝心の巨泉さんにしても、参議院だったろうか、選挙に打って出て、当選して議員になった。しかし簡単に辞めてしまった。そんないい加減な気持で立候補したのなら、それこそ詐欺まがいである。投票した人は、巨泉さんなら、と信頼して一票を入れたはずである。その信頼をいとも簡単に裏切る。
 そして巨泉さんの言い分が面白い。「最低の人間」との言い方を醜態だと言い、「それを言うなら、詐欺まがいの……」なのだから、森田氏が最低の人間だ、と言っている事になる。初心をあくまでも貫いた人間と、簡単に捨て去ってしまった人間と、どちらが偉いか。

 以上は私が自分で週刊誌を読んだ結果ではない。東京新聞の「週刊誌を読む」と題するコラム(執筆者は月刊『創』編集長・篠田博之氏)を読んで考えた事である。誤解はしていないと思う。
 今日の東京新聞は「4月を送る」と題して色々な写真を紹介している。その一つ。笑顔の森田氏に付いているコメントは「初登庁して知事室のいすに座り、笑顔を見せた森田健作知事だったが…=千葉県庁で」である。「だったが…」の意味は明らかに知事の資格を否定している。えっ? そんなに窮地に立たされているのですか?