夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

地デジへの切り替えに疑問がある

2009年05月05日 | 社会問題
 鳩山総務大臣が、地デジのCMが中止になる事に対して、その原因となった草?くんを「最低の人間」と一時的ではあっても評した事を書いた。そう言った鳩山さんにお尋ねする。地デジへの切り替えって「最低の人間がする事ではない」と確信持って言えますか?
 切り替えには少なくとも家庭へのしわ寄せがある。従来のテレビしか持っていない家庭では、テレビを買い替えるか、デジタル対応のチューナーを買わなければならない。それにアンテナだって要るだろう。そんな負担を掛けても地デジの方が素晴らしいのか。
 確かにデジタル放送の画質は素晴らしい。だが、そうした素晴らしい画質に対応した番組を放送しているのか。すべて笑わせてそれで視聴率を稼ごうと言う魂胆の番組ばかりではないか。番組欄のデジタル放送の所を見れば、見たいなあ、と思う番組があるのは分かる。しかしそれは今はマイナーとも言えるデジタル放送だから可能なのである。
 すべてがデジタルになってご覧。こうした良心的な良い番組は姿を消してしまうから。そして今と同じような馬鹿馬鹿しいだけの番組で埋まってしまうから。だって、そうしなければスポンサーが付かないんだもの、しょうが無い。

 テレビは国民の啓蒙のために放送をしている訳ではない。単にカネを稼ぎたいだけである。だからこそ、民放はNHKの受信料による放送体制を死守したいのである。そのようにはっきりと発言している。もちろん、本当の事は言わない。単に「放送の二元性を守る必要がある」などと、分かったような分からない事を言うだけである。
 受信料によるNHKが必要なのは、有料放送だから、いい加減な事は出来ない。きちんと正しい報道をして教育番組もやって、と言うテレビとしての責任を求められる。しかしそれを民放は出来ない。やればCMが取れないから儲けられない。
 けれどもそうした放送をするべきだと民放は考えている。そうしなければ、限られた国民の電波を独占使用している事は許されない。だから、自分達が出来ない事を、受信料と言う犠牲を国民に強いて、やっているのである。はっきり言って、NHKの存在が無ければ、民放は成り立たないのである。民放各局の電波使用料って知ってましたか? 私も知らなかった。売り上げのわずか1%に過ぎない金額を「使用管理料」の名目で支払っているだけだと言うのである。1%ってさ、1億円の売上に対して、たった100万円だよ。100万円の売上なら1万円だよ。そんなわずかな金額で、公共の電波を独占出来るのである。

 こうした路線の上に立って地デジへの切り替えがある。地デジでは画質は言うまでも無いが、局と視聴者の双方のやりとりが可能だとの点も評価に入っている。やりとりと言ったって、番組に対する批判を受け入れようなどと言うのではない。単に、クイズ番組などで視聴者も参加出来ますよ、と言う程度の事なのである。大体、くだらないクイズ番組に参加して何の得する事があるか。
 料理番組のレシピなどを見る事が出来るのも役には立つだろう。しかしそうした情報は本来、きちんとテレビ放送でやるべき事柄なのである。今、画面に流れるのは、文字通り「流れる」であって、瞬時に消えてしまう。メモしようと私は必死になるが、速記が出来る私にも結構難しい。速記なら「速記が出来る」との言葉をわずか2秒で書ける。それでも間に合わないのである。
 レシピを伝えるのが目的ではないからだ。単に番組の展開を面白く魅力的にする事だけにしか頭が回らない。そうした欠陥をデジタル放送で穴埋めしたいと考えている。とんでもない事である。
 テレビ放送をおかしな方向に引きずってしまうデジタル化を推進している鳩山大臣にこそ、「最低の人間」とのコメントを差し上げたい。もちろん、その発言を撤回したのだから、私も言わない。